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学校運営に外部の力を!PTAにダイバーシティを!

<前提条件>

私も小学生の娘がいるため、1月になると翌年度PTA役員の立候補アンケートが学校から送られてきます。私の周りで積極的にPTA活動に関わっている人がいないため、偏見ですが私のPTAに対するイメージは非常に悪いです。『役員、卒業生担当はやりたくない』『PTA活動に関わるのであればなるべく活動回数が少ないもの、負担が少ないものをやりたい』『高学年の役員よりは、低学年の役員の方が活動が楽』という話しか聞いていないのが現状です。PTAの本来の目的に沿って活動をされている人にお会いしたことがないため、今回のメルマガはそういう状況に置かれた私の独断と偏見によるものということを予めお断りさせて頂きます。 

<教育基本法の理念>

教育基本法は、教育の理念として『幅広い知識と教養(知)』『豊かな情操と道徳心(徳)』『健やかな体の発達(体)』を目標に掲げます。

<公立高校は減少>

少子化で全国的に公立高校の統廃合が進みます。2021年度時点で全国の公立小の4割以上が標準規模である12から18学級に満たない状況です。2012年に21166校あった公立小学校は、2022年には18851校とこの10年で約2300校減少しました。

<部活動も減少>

日本中学体育連盟によると、2021年度時点で全国には19競技1793の合同チームがあり、2001年度の6.7倍となりました。野村総合研究所の推計では、中学軟式野球の一校あたりの部員数は、2018年の約20人が2050年には3.5人に減る見込みです。部活を続けるには合同チームを作る必要がありますが、合同チームを作った場合、部員の送迎や練習時間の調整など学校側の負担が増し、担い手となる教員の負担が増えます。
教育基本法の理念の1つ『健やかな体の発達(体)』の充実を支えてきた部活の衰退は、人材育成の土台を揺るがす恐れがあります。
欧米は会費や補助金で運営する地域のクラブが主になります。文科省も段階的に部活運営を地域団体に移す方針を掲げています。

<先生も減少>

日経新聞の調査では、教員人事権を持つ68の都道府県・政令市などで公立小中高校等2092校で、計2778人の欠員が生じていました。 
東京都は欠員が小学校50校で計50人いる状態で、2022年度の始業式を迎えました。欠員は夏休み明けに約130人に増えました。授業の質低下に目をつぶり、担任確保のため複数教員による手厚い指導を止めるなどしてしのいでいます。
2021年度実施の小学校の採用試験受験者は約4万人と10年前の3割減、採用倍率は4.4倍と過去最低の2.5倍となりました。
社会人を起用するための特別免許の授与件数は2020年度で237件と、一般の教員免許の0.1パーセントです。 
 
<不登校児童は増加>

文科省によると、年30日以上登校しない小中学生は2021年度に過去最多の24万人に達し、約10年前からほぼ倍増しました。不登校の加速度的な増加は、教室に集まって教員が一斉に教える学校文化に対する子供達の異議申し立ての広がりを映し出します。
現代の教え方は明治維新に遡ります。明治維新から戦後の高度成長期に至るまで工業化が社会の課題だった時代は、マニュアルに従って正確に作業する均質な人材が必要とされ、学校での画一的な教育は効率的でした。
デジタル社会を迎えた今、求められているのはイノベーションを起こせる人財で、特異な才能を持ちギフテッドと呼ばれる小中校生が対象となります。しかし、文科省が2021年に実施したアンケートで『周囲に合わせろと叱られた』『授業でわからないふりをするのが苦痛』と現在の教え方が全く合っていない実態が明らかになっています。
文科省も登校を基本に据えつつ、従来の画一的な教育から一人ひとりに合わせた『個別最適な学び』へと転換する目標を掲げます。しかし日本は家庭で学ぶホームスクーリングへの支援体制が欧米ほど整っておらず、不登校児の4割弱は学校にもフリースクール等の民間機関とも繋がっていません。利用に年100万円ほどかかるフリースクールもあり、学びの保障は経済力に左右されています。

<PTAは限界>

PTAは戦後GHQの推奨で広がりました。目的は『学校と保護者が協力して子どもの幸福を目指す』ことです。法的には設置義務も加入義務もありませんが、全校にあり全員が入るのが不文律です。
今でも平日に学校で長時間かけて会議し、前例踏襲の行事の準備をしています。父親は会社、母親は家庭という専業主婦を前提とした家庭構造が前提です。1980年は専業主婦のいる世帯が共働き世帯数の1.8倍でしたが、現状は共働き世帯数が専業主婦のいる世帯数の2倍を越し、前提条件が全く変わっております。家庭の前提条件が変わったにも関わらず、PTAの前提条件が変わっていないため、PTAの活動スタイルに保護者がついていけなくなり、役員の押し付け合いが起きています。

<PTAの外部委託>

近畿日本ツーリストは2022年8月、PTA業務を代行する事業を開始し、これまで100件超の問い合わせがあります。 
東京都が2019年に設立した『東京学校支援機構』は、デジタル機器の操作補助から行事の準備補助まで、幅広く手伝う人材を学校に派遣する事業を始めました。2022年10月時点で会社員や学生主婦ら約6000人と140団体が登録しています。しかし登録した学校は全体の6割で、派遣を求める学校などからの求人数も2021年度は約2900人と、目標の3000人を下回っております。 

<学校運営にも外部の力を>

日本企業も2000年以前は全て自前主義でやっていました。社内にIT部から研究開発部、人事部等を一通り揃え、社員もほぼ正社員でした。ジェネラリストと言う社内に通じた人材を育てるため、3から5年おきにローテーションを実施し、全ての事業部に社内人脈を作るような人材を育成してきました。その結果スペシャリストが育たない環境となり、中国等の新興国に後塵を拝すことになりました。
今の日本企業は自前主義を捨てて自分の得意なところ、コアの事業に経営資源を集中し、コアではない部分に関してはアウトソースすることが一般的となっています。IT部門しかり研究開発しかり、自社で抱える必要のない人材は社外に依頼しています。
学校は20世紀の自前主義の日本企業を未だに踏襲しています。外部環境が大きく変わっている中で自前主義を貫くことには無理があり、その歪みが各箇所で発生している現状です。

学校を現在の状況にあった姿にすることはそれほど難しくないと思います。先行事例として日本企業があるからです。『How』の部分は日本企業の事例から真似ればいいのです。難しいのは昭和の時代から頭が固まったままの一部の方々が納得することでしょう。マインドが『教育は神聖なるもの』という昭和の時代から抜け出せない限り、学校運営を改善することは難しいと思います。ボトルネックは『やり方』ではなく、学校関係者の『考え方』による部分だと私は思います。『考え方』を変えるには、文科省や教育委員会の方々が一般企業の方々と交流する機会を持ち、実際に人材交流を進め、10年程度かければ達成は可能ではないかと思います。

最も重要なことは『学校改革をやるぞ!』というトップの決断だと思います。私がもし首相だったら子ども庁の発足に合わせて、民間の採用を実施し文科省や教育委員会に派遣します。デジタル庁が機能していない部分を反省し、どうやったら民間の力が省庁で活躍できるのかをスタディしてから、解決策をデジタル庁と子ども庁で実践します。
学校の教頭に民間を採用し、校長と協力しながら学校運営のアウトソース化を進めます。教頭一人では学校は変えられないため、各学年の学年副主任にも民間を採用し、ボトムアップで何が変えられるのかということを職員会議で議論させた上で、教育委員会に提出します。
教育委員会にも約4割の民間人を派遣します。過半数まではいきませんが、この4割が学校から上がってきた改善事項を検討します。

上記の民間人材は、各民間企業の副業をしたい人から募集します。各社で副業解禁となっていますが、問題は副業先がないことです。そのため学校という副業先を提供することで副業したい人が副業できる、しかも子供達の未来を創り、地域社会に貢献するという『自己実現』『他者承認』を満たす方法を作るのです。『お金』よりも『やりがい』を目的とする人を採用します。しかし薄給で働かせるつもりはありません。このお金は以下に記載する PTA から徴収します。
不登校やいじめ等の問題も、企業で人事部として同様の事例に当たったことのある専門家を副業として雇うことで、より効果的な対処ができると思います。 

<PTAにダイバーシティを>

昔、株式会社への出資は現金に限られていました。しかし現在は現金以外にも、現物出資や労働等の出資も認められています。PTAへの貢献もボランティアという無償肉体労働に限る必要はないと思います。
私が仮にPTAの会長になり、全権を委任された場合、以下の改革を実施します。まずはPTAに対する各家庭の貢献の仕方にダイバーシティを設けます。共働きで平日活動が難しい家庭には、金銭出資による貢献も認めます。毎年一定額のお金を拠出して頂ければ役員就任は不要です。PTA活動も不要です。運動会や子どもの送り迎えに関する付き添いも不要です。
知識による貢献も認めます。すなわち、企業運営で培われた知識・経験を元に、どのように学校運営を改革していくべきかという意見を出し、実際に運営に携わっていただく形でも貢献とみなします。
現物出資による貢献を認めます。例えば農家であれば給食に使う食料を提供して頂いたり、文房具屋であれば学校の文房具等を提供して頂いても貢献と認めます。勤め先の取り扱い商品を社員価格で購入した上で、学校に提供するのも一案かと思います。 
もちろん、今まで通り肉体労働による貢献も認めます。すなわち、毎朝信号の所で子供達を見守ってくれたり、運動会の運営のお手伝いを労働力で提供して頂くことも可能です。 
 
ここで言いたいのは、PTAの目的である『学校と保護者が協力して子どもの幸福を目指す』は変えず、子供の幸福に対して親がどのような協力をできるのかというのを親に決めさせるという点です。当然各家庭の環境が違うため、一律で貢献の形を決める方が間違っていると思います。要は親がPTAへの関わり方に関してダイバーシティを導入するということです。自分の得意な分野で貢献するのが、一番モチベーションが上がる方法です。私も1人の親として『子供達には幸福になってほしい』と切に願うため、PTAの目的は変える必要はないと思います。ただ外部環境が変わっているのであれば、やり方も環境に合わせて変化させるべきだと思います。

金銭出資による貢献で集めたお金を元に、民間人の副業を雇用し、アウトソース化を進めます。今まで購入していた文房具等を現物出資に置き換えます。節約できたお金で今までPTA役員がやっていた肉体労働等を外部委託します。このような形で各家庭でできる貢献を取捨選択してもらう方が、より親も子供も学校教育に熱心になるのではないでしょうか。

私が運営しているコミュニティ『C-ALL』も『自分が得意なことだけやろう!苦手なことは他人に頼ろう』というスローガンを掲げています。得意なことをやるほうがモチベーションは高いですし、うまくいくからです。学校という教育現場にも共通して当てはまることではないでしょうか?
一人の親としての意見ではありますが、自分の子どもの幸福を願って考えてみましたので、是非皆様のご意見等いただければ幸いです。 


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