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2022年度上期総集編 その4

今回でこのメルマガも130回目となりました。一週間に一度発行しているため約2年半続いたことになります。これも一重に読者の皆様のおかげです。大変感謝しております。毎週読んでいただきまして誠にありがとうございます。
半年に一度この半期の振り返りとして総集編を実施しております。Back numberに関してはCentury HoldingsのHPのトップにnoteとして記載しておりますので、検索で『YCS125』と入力して頂ければ検索ができるようになっておりますので、ご興味のある記事がありましたら、ご確認のほどよろしくお願いします。
今回は振り返り第4回目と言うことで、YCS No117-121です。

https://www.pj100.co.jp/
 
<No117 安い、低いニッポンからの脱却>

iPhoneやビッグマック価格が主要先進国に比べ割安感が出ています。賃金も割安で、OECDのデータによると26〜40歳の可処分所得は2.6万ドルとアメリカの5万ドルの6割以下、G7では最低です。給料が安いため結婚資金や子供の教育費もたまりません。国立社会保障・人口問題研究所の2015年の調査では1年以内に結婚するための障害として18〜34歳の4割以上が『結婚資金』を挙げました。
スイスのビジネススクールIMDが発表した2022年の世界競争力ランキングで、日本は過去最低の34位でした。学歴も低く、人口100万人当たりの博士号取得者数で米英独韓4カ国を大きく下回ります。
日本経済はこの30年間ほとんど賃上げをせずに低価格のデフレ経済下の中で動いてきました。結果として賃金は上がらず人々の可処分所得もダウンしました。
可処分所得が増えないため生きていくのが精一杯で、教育等の資金にお金が回りません。その結果日本の低学歴化が進んだものと思われます。また投資等にもお金が回らず、資産運用ができていないため、老後の生活資金の確保ができていないため将来不安に繋がっています。
20代で賃金が上がらず結婚資金が貯められないため、結婚を躊躇する人が増えています。結果として子供を産む数が少なくなり出生率の問題、少子高齢化の問題等に繋がっています。年金財政を確保するため社会保険料の料率がどんどん上がり、結果として可処分所得はますます減っていきます。
こう考えると日本の抱える様々な問題が、実は一つの問題から繋がっていることに気がつきます。要はお金がないのです。

しかし一方で家計の資産は2000兆円を超え過去最大です。社会全体としてはお金があるにも関わらず、消費をメインとする若い世代にお金がないのです。2000兆円のうち1200兆円は65歳以上の高齢者が有している状況です。 お金のある場所が間違っているというのが私の私見です。
『安いニッポン』は短期的に見れば消費者の懐に優しいのかもしれませんが、長期的に見た場合には貧乏になるというのがこの30年間で得た教訓です。『安いニッポン』からの脱却が、JAPAN AS No1を復活させる第一歩になりそうです。 

<No118 優秀な日本人を日本で働きたいと思わせるには>

2021年の残業時間は全業種平均で月24時間で2012年の46時間から半減し、働きやすさは改善しました。
しかし、優れた人材の呼び込みに関連する6つの指標『移民受け入れ政策』『治安・安全性』『社会の寛容性』『外国人の就業率』『実質賃金』『所得税の低さ』について先進国34カ国を比べたところ、日本は『治安・安全性』のスコアは高いが、残り5つの指標はいずれも先進国平均を下回りました。日本の実質賃金は平均38000ドルと最も高いアメリカの56%の水準です。物価は安いが報酬面で他国に見劣りし、高度な人材の獲得には不利に働きます。
アジアの14カ国で実施した調査では、管理職になりたい人の割合は日本が21%で最も低く、『昇進・昇格に魅力を感じない人』の増加が最多の57%でした。
 
この30年日本は過重労働等の解消に向けて、働きやすい環境を整えてきました。その結果、一般の人にとってみては働きやすい環境が整ったのかもしれません。企業の優位性は技術力等もありますが、私は人に尽きると思います。優秀な人をどれだけ集められるか、そして企業にとどめておけるかが競争優位性の源泉になると思われます。JAPAN AS No1を復活させるためには優秀な日本人をどれだけ日本企業に留めておけるかが鍵になると思います。本当は優秀な日本人もきちんとした権限と報酬、目標、大義があれば日本企業で働いてくれるはずです。どうやったら日本企業の管理職が優秀な人材で埋まるのか?それを議論した上で予算等のお金をつけて実行してみたら、きっと日本は変わる気がします。

<No118 人財獲得は日本の国策>

日本において教育への投資は低下しており、優秀な人材が不足しています。『人材不足』をあげた割合は日本の68%、特に AIデータ解析の専門人材の状況は『大いに不足』と答えた日本企業は30%を超えています。
この5年で技術の進歩は凄まじいものがあります。一方で人間自体はそこまで進歩していません。そのためITを含め技術が使いこなせる人材というものが極端に不足する事態となっています。まさに『人財』難の時代なのです。人は財産であり、その人材を得るのが非常に難しい時代となっています。
日本は『人財』という考え方に気づくのが遅れました。その結果優秀な『人財』は海外に出て行ってしまい、日本の国力は低下しました。今後日本が復活するためには優秀な『人財』の獲得が国策となります。
技術と違い人は簡単には育ちません。そのため目に見える効果が現れるためには、10年単位での月日が必要となります。まずは『人財』の獲得を日本の国策と据えた上で、短期的には優秀な海外経験者の日本人の確保及び優秀な日本人の海外流出の阻止、長期的には日本人で優秀な人材を育成するという両軸で考えていくのが最も合理的だと考えます。 

<No119 SDGsを達成するための国連改革>

国連食糧農業機関は、過去40年で最悪の干ばつ、ロシアによるウクライナ侵攻で、食糧危機が一段と悪化していると発表しました。国連は2020年に世界で飢餓で苦しんだ人は最大8億2800万人と推計しています。
国連はSDGs目標No.2『飢餓をゼロに』にターゲットおよび KPI を設定しておりますが、とても達成できる状況ではありません。
国連、G20を含め、戦後に構築された国際機関は現在ロシアと中国を中心とした反発により機能不全に陥っています。ほとんどの会議が非難の応酬となり、誰もこの目標に対してどうやったら達成できるのかを真正面から議論していない状況です。
原因は権限と責任の不一致であると私は考えています。国連改革の柱として常任理事国、非常任理事国に責任と権限の一致を求めます。常任理事国にはSDGsのターゲット及びKPI達成の為に必要な責務を分担してもらいます。17目標を常任理事国5カ国であれば一カ国3つといった感じです。この目標を達成するために常任理事国は国連加盟国に対して必要な指示を出すことができます。ただし達成できなかった場合には、自分の国のお金を使って何が何でも達成しなければなりません。非常任理事国は常任理事国のサブとして各目標の達成をサポートします。達成できなかった場合は常任理事国と同様の責務を負います。
『権限あって責任なし』はどの組織にも共通する悩みではありますが、やはり人間は易きに流れやすいものなのです。私も含め一人一人がもっと真剣にSDGsに向き合う必要があると思っております。  

<No119 日本がジェンダー平等を達成する方法>

世界経済フォーラムが2022/7/13に発表した男女平等の度合いを示すジェンダーギャップ指数で、日本は146カ国中116位、主要7カ国(G7)中最低で韓国や中国より低い状況です。日本は識字率や初等教育などで男女差がなく、教育分野は男女平等と評価され世界1位でした。健康分野も63位と評価は高い一方、著しく低いのは政治と経済の2分野で、政治は147カ国中139位、経済は121位でした。 
SDGsのNo5では『ジェンダー平等』が謳われており、ターゲット及びKPIが設定されています。
日本がジェンダー平等を達成するために、ジェンダークオーター制をまず取り入れます。その上で10年以内に女性議員の割合、管理職に占める女性の割合の量を担保します。量が確保できれば、少なくとも上記ターゲットの KPI は達成できますので、今よりも日本のジェンダー平等に対する評価は上がると考えます。 
日本は昔から男性社会であり、その男性社会を変えたくないと思っていること自体がこの指摘の根っこにある大きな問題です。家事育児をやりたくない、めんどくさいという男性の本能も邪魔しております。制度ではなく人間のエゴなのです。自らのエゴを抑えいかに社会のために孔子の言う『仁』を実行できるかが本質的な点だと私は考えています。自分の利益という『部分最適』ではなく、社会の利益と言う『全体最適』を考えられる人が増えれば、日本は変わると思います。要は一人一人の考え方、行動によるものなのです。

<No120 環境世界大統領?>

2022年の夏は世界中で熱波が襲いました。スペインでは50度、フランスでも40度、日本でも6月に40度を超えるなど各国で気温上昇が明らかです。
なぜ人類は不都合な真実が現実になると分かっていても行動できないのでしょうか?私見ですが、やはり『自分ごとではない』と考えているのが一番の原因なのではないでしょうか?2050年は自分が生きているとはいえ今の方が重要だと考えます。『そのうち何とかなるさ』という将来への淡い期待、また『将来別の人が何とかしてくれるさ』という自分の責任ではないという考えが、結局この半世紀にもわたりこの地球温暖化を放置し続けた原因なのかもしれません。
でもやらなければ人類は地球に住めなくなります。各国がエゴを言っている場合ではないのです。部分最適を求めるのではなく、孔子がいう『仁』に基づく全体最適を求めるべきではないでしょうか。
もし私が国連の事務総長だったら、国連改革を行って環境分野における世界大統領を作ります。常任理事国の上の地位となり国連加盟国は世界大統領の命に従うこととします。そして初代環境世界大統領にスウェーデンの環境活動家のグレタ・トゥーンベリ氏を採用します。私が考えるに、彼女が一番この問題に対して真剣に取り組み、実行する具体策を持っていると考えているからです。サポート役としてゴア元副大統領を任命し世界各国との交渉役を担います。
話し合いは重要だと思います。ただし決まらない場合トップダウンで決めるのも必要だと思います。環境分野は話し合いに半世紀かけましたが結局決めきれませんでした。もうそろそろトップダウンでやる時期ではないでしょうか。人類としての覚悟が問われる時だと私は考えます。 

<No120 人類が地球に乗り切れなくなる日>

世界人口は1900年の16.5億人から100年間で約4倍に急増し、20世紀の繁栄の基盤となりました。2011年に70億人を突破した世界人口は、2022年11月15日に80億人、2030年に86億人、2050年に97億人、2086年に104億人でピークを迎えます。
人口動態は将来を示す指標の中で最も確実性が高い指標です。そのため2050年には約100億人の人類が地球上に存在することになります。
一方、地球という『船』は大きさが変わっておりません。地球に人がどんどん増え続けている結果、不都合が生じているのも事実です。食料問題、水問題、地球温暖化とほとんどの問題がこの人口増加から来ています。
MDGs、SDGsで最も難しい課題がSDGs No1『貧困の撲滅』だと私は思います。構造上、人類が発展し増えれば増えるほど実現が難しくなるからです。
自然界は弱肉強食であり、地球上の人類を除く全ての生態系がこのルールに従っておりますが、人類だけがこのルールから逸脱しました。その結果今では淘汰されることなく増え続け、約80億人が地球上に存在し、他の生態系を完全に圧迫しております。
人口動態が確実な未来という以上、地球に乗りきれなくなる日が近づいているのは事実です。人類が滅亡するとすれば、やはり人類の手によるものなのかもしれません。

<No121 桃栗3年、人100年>

パーソル総合研究所がまとめた『労働市場の未来推計』によると、日本全体の人手不足は2030年に640万人を上回る見通しです。
人手不足の解決策は四つしかありません。働く女性を増やす、働く高齢者を増やす、日本で働く外国人を増やす、生産性を上げるだけです。PPP(パクってパクってパクリまくる)の精神から、パクれる国を探しました。『働く女性、高齢者を増やす』のはスウェーデン、『生産性を上げる』のはシンガポールが見本となりそうです。
現実的には、まずはシンガポールを見習って人への投資を行い生産性を上げます。その上で賃金を上げることにより日本で働く外国人を増やす。その間に働く女性、高齢者に優しい環境を整えていくという複数の政策を組み合わせる必要があるかと思います。短期的には生産性向上、外国人労働者の増加、中長期的には女性高齢者の環境づくりというのが現実解ではないでしょうか。まずは第一歩として生産性を向上させましょう! 

<No121 日本がスリランカになる日>

スリランカのウィクラマシンハ首相は2022/7/5、議会で演説し、国の『破産』を宣言しました。
日本の債務は増加の一途で、2022年3月末時点で民間企業の借入残高は前年同期比1.6%増の469兆円です。
政府は2022/7/29、2022年度の『経済財政白書』を発表し、日本経済の課題として企業の投資の少なさを指摘しました。また、経済財政諮問会議で新たな中長期の財政試算を示しました。岸田政権が発表した新たな中長期の財政試算で、『成長実現ケース』をベースとしてることにはそもそも無理があります。現実的には『ベースラインケース』か『潜在成長率低下ケース』ではないでしょうか。財政再建が全く進まない理由の1つは、この現実を直視せず理想を追い求めることにあると考えます。
戦略を間違えるほとんどのケースは、現実を直視していないケースです。まず今の現実を直視し受け入れる必要があると思います。私が岸田首相であれば、今回の中期財政試算で『潜在成長率低下ケース』をベースにおきます。『成長実現ケース』は開示しません。どうやったら『ベースラインケース』に持っていけるのか、必要な投資は何なのか、やるべきことは何なのかを黄金の3年間を使って実行します。この3年間はベースラインケースの達成だけを目的に実行します。
黄金の3年間で『ベースラインケース』が達成できれば、実績ができ土台ができます。基礎を作った上で、再度中長期の財政試算政策を作ります。今回は現状の『成長実現ケース』よりは低いですが『ベースラインケース』よりは高い『ベターケース』を作ることができます。
私も子供が二人いるため、日本が現在のスリランカのような状況になるのは望んでおりません。自分だけが逃げ切れればいいという考え方はできません。現実を直視する必要があります。


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