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リスクは回避すべきものか?

日銀が3/17に発表した2021年10~12月期の資金循環統計によると、2021年末時点の家計の金融資産は2003兆円と初めて2000兆円台に上りました。内訳は現預金が1092兆円で全体の54%、次に保険、年金、定型保証が540兆円と、半分以上が現金です。
 
高校の新しい学習指導要領で、2022年度から家庭科の授業に株式や投資信託など資産形成が加わります。必修化となり長期の資産形成に役立つ金融リテラシーを備えた未来の投資家を育てようと官民の取り組みが広がっています。
学習指導要領の改訂に対応し、日本FP協会は2021年7月に高校生向けテキストを刷新しました。
金融広報中央委員会の2019年調査では、金融教育を学校で受けたと答えた人の割合は7%とアメリカの21%より大幅に低く、金融知識に自信があると答えた割合もアメリカの76%に対し日本は12%でした。日本の家計金融資産の54%を現預金が占め、株式投資信託は14%で、アメリカの51%とは差があります。 
 
元々金融教育は今に始まったものではなく、戦後長年に渡って行われてきました。基本的な発想はお金を節約して銀行に預けること、すなわち「金融教育=貯蓄増強」であり、金融教育はむしろ余計な資産運用を行わせないことでした。貯蓄増強が推奨されてきたのは、家計の資金を銀行に預ければ、銀行がリスク転換機能を十分に発揮して、貸出、株式投資等をしていたからです。金利が8%もあった理由は銀行が今の投信のように国民からお金を集めて運用したためです。
結果として、国民はただ銀行にお金を預ける=貯金さえすれば自然と投資をしていたのが過去の経済構造でした。しかし、現在は銀行に預けた資金の多くは貸付や株式投資ではなく、日銀当座預金や国債購入に向かい、投資としての機能はほぼなくなっております。
銀行が投資してくれなくなったため、国民が自分達で運用せざるを得なくなったというのが、過去と現在の外部環境の大きな差だと思います。自分達で運用する以上、ある一定レベルの知識、経験は必須となります。そこで金融教育の必要性が高まっていると考えます。
 
そう考えると「リスク」という言葉自体は損をするというイメージがあるのですが、これも上記の過去の金融教育で刷り込まれてきたものと言えるでしょう。金融リテラシーがあればリスクは評価するものであって、そのリスクに見合ったリターンがあれば投資対象になります。むしろハイリターンを求めるのであればハイリスクは当たり前なのです。リスクをテイクすることも時に必要です。
 
今後銀行がかつての投資機能に回帰するとは思えません。外部環境が変われば当然行動も変わらざるを得ません。従って、金融リテラシーを身につけるのは今後必須となります。
正しい知識を身につけた上で、実践して経験を積み、外部環境に合わせて自分も変化させていく。これがVUCA時代に求められる生き方なんだと思います。ぜひ怖がらずにリスクテイクしましょう!

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