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副業のススメ

経団連が2021年10月に提言した「副業・兼業の促進~働き方改革フェーズⅡとエンゲージメント向上を目指して」は日本企業にとってハードルが高い副業問題を取り上げました。
また、2022/2/18の月例会で大西先生を招いて「グローバル人材とは~」を議論させて頂いた中でも副業の話がでたので、今回は「副業のススメ」と題して、なぜ副業をやるべきなのかを記載します。

労働政策研究・研修機構理事長の樋口氏は日経のインタビューで以下のように述べています。
●経団連は副業をエンゲージメント向上と結びつけたが、副業さえすればエンゲージメントが自動的に高まるとは思っていない。金銭的理由で副業をしたいと思う人もいれば、副業で新たな経験を積み知識や技能を身につけ、仕事や起業、転職に活かそうとする人もいる。
●多くの企業がなぜ副業を原則禁止にしてきたのか?従来の日本では会社の命じる仕事にさえ従事していれば、副業をしなくても生活は保障された。会社も残業を命じたとき、副業を理由に断られたのでは困る。企業内情報の秘匿意識も強かった。社員の自主性を縛る「保障と約束の関係」が企業の成功モデルだったが、今は違う。副業・兼業で社員が自分で学び取り、積極性を発揮して仕事を見つけることを天秤にかけ、副業を禁止しない方がよいと考える企業が増えている。
●自主性重視やジョブ型雇用など、個人の負担が大きい変化が目立つ。労働経済学ではこれまで仕事のスキルを、企業の枠を超え汎用性のある「一般的技能」とある企業にのみ有効な「企業特殊的技能」に二分して考えたが、最近は企業を越えて汎用性を持つと同時に、その職種をこなすには必須となる「職種特殊的技能」という考え方が出ている。ジョブ型ではこの職種特殊的技能が重視される。
●産業が高度化してきて個々の専門性が追及される方向は間違いない
●会社に未来の海図が用意できないなら、いかに自分の売値を高くするか、個人は急ぎ考えるべきだ。

<考え方>
いつも通り、以下の3つの方法で考えてみたいと思います。
1.あるべき、ありたい未来を考える(Should be)
2.現状の棚卸をする(As is)
3.現状からあるべき姿になるための方法を考える(How)

<1.あるべき、ありたい未来を考える(Should be)>

C-ALL入門「100年人生幸せに生きる方法」でこの点を皆様にヒアリングさせて頂くと、仕事面に関しては概ね以下の回答が多い気がします。

子育て、食べる等生活上でお金に困らない(金銭的余裕)。
自分が社会に貢献できる仕事をしたい(自己承認)
他人の役にたつ仕事をして、他人から感謝されたい(他者承認)
会社に依存せずに、自分で食べていけるようになりたい(自由)。

私が考える仕事のあるべき姿は、上記をまとめたもので「会社に依存せず、自分がやっている仕事が社会に貢献でき、その仕事で他人から感謝される」仕事であり、これができたら最高だなと思います。

<2.現状の棚卸をする(As is)>

次に現状の仕事についてヒアリングをすると、上記1のあるべき姿とは真反対の回答を得ることが多いです。私はサラリーマンも自営業も体験しているため、私の経験としては以下の通りです。

「サラリーマン時代~監査法人時代~」
給料は安定している。ただし、非常に忙しい。
自分のやっている仕事がつまらないことが多く、社会にどうつながっているのか不明(自己否認)
監査は他人から感謝されたことがない(他者承認なし)
会社以外の仕事がないため、完全に会社に依存している状態。

「サラリーマン時代~コンサルティング時代~」
給料は監査法人時代よりも安いが、安定している。ただし、非常に忙しい。
自分のやっている仕事でも楽しい仕事がある。実際にクライアントの業績が向上したりするとうれしい(自己承認多少あり)
社長から感謝されることも増えてきた(他者承認多少あり)
会社以外の収入があるため、完全には会社に依存していない状態。

「自営業時代」
給料は不安定。ただし、食べていくには十分な給料。自由な時間も多い。
自分のやっている仕事は楽しく、社会にも繋がっている感はある(自己承認)
自分がメインでやっているため、他人からも感謝される(他者承認)
会社=自分のため、全く会社に依存している感はない。

会社員をされている方は、所得は安定しているが、多かれ少なかれ様々なストレスを抱えられていると感じております。自営業者は所得は不安定ですが、上司や部下からのストレスがない分精神的には安定し、自由な時間もあり、自立している感もあるので充実度は高いです。

<3.現状からあるべき姿になるための方法を考える(How)>

上記2.を振り返った時に重要だったなと思うのが、コンサルティング時代に講師を始めたことなのではないかと思いました。独立後もしばらくは講師をやらせて頂いたことで、収入が全く0ということはなく、精神的にはかなり安定しました。
(厳密にいうと当時は副業禁止でした。私は講師代を全てAGSに入金していたため、私の手取りは一切ありませんでした。飲み代は自己負担でまさにやりがい、経験のためにやっておりましたので、副業ではありません(笑))

上記から考えるのが、あるべき姿になるためのステップとして、サラリーマン時代に副業をすることをお勧めします。自分が考える副業のメリットは以下の通りです。主に自己承認が満たされると思います。

<副業をする主なメリット>
●自分が社会のために役にたっていることが実感できる(自己承認、他者承認)
まず副業は、自分がやりたいことをやることをお勧めします。お金が儲かることは二の次と考えた方がいいです。そうすると必ず自分がやりたいことをやるので、社会のために役立つことをやれば、自己承認が得られます。また、他者から感謝されればそれが他者承認につながります。

●自分で決めることができる(自己承認)
自分で全て決められるので、自由も感じられます。日頃会社で全て上司にお伺いを立てて決定しなければならないストレスがなくなると思えば、非常にいいと思います。

●会社に依存しなくていい気分になる(自己承認)
会社に依存しないための必須事項は、少額でもいいから自分でお金を稼ぐことです。副業でお金が稼げると、会社にしがみつかなければならない脅迫感はなくなりますので、非常に気持ちが楽になります。

●自分の生活費が経費になる(節税効果)
自営業になると、ゴルフやカフェ代、タクシー代、飲み代、交通費、電気代、ペンや消しゴム等も全て経費として算入できるようになります。青色申告にしておけば、これらの経費は給与所得と損益通算ができますので、結果として所得税が減税できます。何気なく使っているお金が全て節税と思えると、日々領収書を集めるようになりますし、お金を使っても「個人事業のため」と罪悪感が軽くなります(笑)。

●将来転職、独立する時の準備になる(リスク低減)。
転職することが当たり前になってきております。いきなり異業種に転職するのはリスクがあります。その前に副業である程度経験を積んでおくことでリスクは低減できます。
また会社に定年制度がある以上、いつかは会社を辞める必要があります。その時に急に準備するよりも、会社員時代に準備した方が確実にリスクは下がります。
私が会社員で一番不足しているスキルは決断することだと思います。全て自分の責任で決断することは会社員ではできません。ただ、個人事業主は全て自己責任、自己決断です。そのギャップは予想より大きいです。このギャップを埋めるためにも100年人生を生きる上では副業はやるべきだと思います。

<副業をするときの注意点>
一方、私が考える注意点は以下のとおりです。
●お金を稼ぐことを第一の目的にしない方がいい
副業はあくまで上記自己承認を得るために実施し、お金は稼げたらラッキーぐらいに考えておいた方がいいです。副業でお金が稼げないからイライラしてしまっては本末転倒です。儲からなくても損益通算で所得税は減らせます。儲かったらお金が入ってきます。そのぐらいの気持ちで副業をやるといいのではないかと思います。

●本業を疎かにしない
副業では稼げません。そんなに世の中甘くないです。そう考えると本業でしっかり稼がないとダメです。週5日本業をしっかりやった上で、自分のプライベートの時間を一部削って副業をやる形にした方が良いと思います。
実はここに効能があります。副業をやりたいがために、本業を時間内に終わらせようとするインセンティブが働くため、本業における生産性が上がります。今までムダに残業していた時間をなくして、副業に充てると疲れますが、非常に充実した生活になると思います。

●自分が好きなことをやる
副業はお金を稼がなくてもいいと思えば、自分の趣味を副業にしてしまえばいいと思います。趣味をプライベートの時間にやることは何ら不思議ではありません。

個々人が副業を持ち、会社に依存せずに働けるようになるとデンマークのフレキシキュリティーはしやすくなります。副業で異業種を体験できること、解雇されても副業で一定期間は食べていけるため、その間でリスキリングをして再就職する選択肢が持てます。結果、労働流動性が上がり、1人当たり生産性も上がり、デンマークのように成長もしつつ、人々の幸福度も高い社会が達成できるのではないでしょうか。

100年人生充実したものにしたいと思うなら、ぜひ副業はご検討頂ければ幸いです。1回しかない人生です。ぜひ悔いのない人生を送りましょう!


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