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原発事故・避難者が声明「GX脱炭素電源法案」を可決させてはならない!

福島の原発事故被害者団体連絡会「ひだんれん」と「『避難の権利』を求める全国避難者の会」が5月29日、「GX脱炭素電源法案」を可決させてはならない!と緊急会見を行った。

2つの「GX法案」

政府は、「脱炭素」を理由に、原発を含めた投資(今後10年間で官民で150兆円)する「GX推進法案」を提出。参議院で一部修正可決(「公正な移行」の追加など)の後、衆議院本会議で5月12日に成立した。

もう一方の「GX脱炭素電源法案」は5法案を束ね、原子炉等規制法の運転期間を削除し、電気事業法に移管、原子力基本法で原発の活用を国の責務に入れ、他2法案とともに、衆議院を通過。現在、参議院経済産業委員会で審議している。

政策転換するなら被災者と国民の声を聞け

共同会見には、神奈川、熊本、山口、北海道、新潟など、福島第一原発事故後に各地に避難を余儀なくされた住民が参加。法案提出されて以来、声を上げてきたが、国会では福島県における公聴会さえ開催しないまま現在に至る。

2団体は「このままでは衆議院同様、政権与党などの推進議員に数の力で押し切られてしまう」と会見の開催を決定した。

ひだんれん」は同法案には「福島原発事故を真摯に反省し」という文言が見らるが、反省や教訓が 活かされるどころか蔑ろにし、踏みにじる、依存を減らすはずの原子力を国の責務で恒久的に利用することになっていると表明。脱炭素対策に寄与しないばかりか、事故後せっかく分離した規制と推進がまた癒着してしまう。地震大国の日本では、一刻も早く原子力への依存を無くし、省エネと再生エネルギーへの転換こそ推進すべきたとして、GX脱炭素電源法案に断固反対と訴えた。

5月29日Zoom会見画面を筆者スクリーンショット

「避難の権利」を求める全国避難者の会は、声明で国会事故調査は、福島第一原発事故を「人災」であったと結論した、事故から12年以上が経過した現在も、健康被害に関する大規模調査はなされず、子どもたちの甲状腺がんの数十倍の多発が確認されているのみで、リスク低減策がないと指摘。GX法案による原子力回帰は、原子力災害の教訓を無効化する、経年劣化した既設原子炉の運転延長や、原発新増設を含む原子力利用の推進は、第二の原発震災を引き起こす可能性を高める愚策。今後10年のCo2排出削減が急務だが、GXによる原発新増設、既設原子炉の運転延長に偏重した施策ではこれに対応できないグリーンウォッシュだとして批判した。
 福島原発事故、次の巨大地震、気候危機という3つの危機を前に、開かれた国民的議論と社会的コンセンサスを構築する民主的プロセス、とくに、原子力災害被災者からの意見聴取は必須だとの声明を発表した。

5月29日Zoom会見画面を筆者スクリーンショット

ひだんれんの武藤類子さんによれば、声明文はこの後、「ひだんれん」と「『避難の権利』を求める全国避難者の会」の各ホームページなどでも掲載を行う予定。

ひだんれんの武藤類子さん
5月29日Zoom会見画面を筆者スクリーンショット

【タイトル画像】ひだんれん声明

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