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病院事務職のキャリア:私の考える大学院(修士号)の選択肢

※この記事は、病院事務職(非医療職)の視点で書いたキャリアに関する話です。 

小迫です。
今回はキャリアについて、その中でも「修士号への進学」について書いていきます。

病院で働いていると、医師や看護師で大学院に進む方がたくさんいることに驚く方もいると思います。私も病院の事務職員として働いていた時に、修士号へ進学する人(した人)の多さにびっくりしました。また驚きと同時に、自分のキャリアをどのように描くか思い悩みました。
なんとなく「いずれは修士号取りたいなぁ」と思っているものの、選択肢も数多くあり、お金の制約もあるので、どうすればいいのかと迷ってしまうこともあるでしょう。

わたしは、結果的にオンラインのプログラムで、公衆衛生の修士課程を取得しました。イギリスのUniversity of Liverpool のonline masterプログラムです。今回は病院事務職の視点で、私が修士号を取る際に考えた選択肢とそのメリットデメリットを紹介します。

3つの大きな選択肢

まず修士号取るにあたって、「何を学ぶべきか」を大きく3つに分けて考えました。1つ目はMHA(病院経営学修士)、次にMPH(公衆衛生学修士)、そして最後にMBA(経営学修士)です。

MHAとは、

MHAとはMaster of Health Administration の略で、日本語では「医療経営学修士」「病院経営学修士」と訳されるのが一般的なようです。
(中略)
MHAはその名の通り、病院をはじめとした医療機関の経営を学ぶための大学院です。MBA(経営学修士)をご存知の方には『病院などの医療機関の経営に重点を置いたMBA』という説明が分かりやすいかもしれません。
(参照:http://blog.livedoor.jp/mha_forum/archives/50173223.html

MPHとは、

「組織された地域社会の努力を通して、疾病を予防し、生命を延長し、身体的、精神的機能の増進をはかる科学であり技術である」公衆衛生学分野を中心に展開する大学院である。
(参照:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/公衆衛生大学院

MBAとは、

経営学を修めたものに対して授与されることのある専門職学位である。
英米圏においては実務経験(AMBAは3年と規定)を有する社会人を対象としたマネジメントプログラムを提供するビジネススクール(経営大学院)、日本においては大学院(修士課程または専門職学位課程)が、これを授与する。
(参照:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/経営学修士

MHA、MPH、MBA、それぞれ特長が違うのですが、どの学位を取得しても、医療機関の運営や経営に携わる上では大いに役に立ちます。

当初の計画では

私としては当初、MHAに進学したいと思ってました。当時働いていた病院の上長が2人ともMHAを取得していたため、憧れもあり、第一の選択肢でした。進学を検討していた当時は、海外での取得を考えていました。大学ランキングを参考にしつつ、暮らしやすさや知名度、日本人のOBOGがいるかなどを検討していました。

しかし、結果的にわたしは、MPHに進学しました。

ここからは、私がMHAからMPHを切り替えるきっかけとなった、メリット・デメリットの比較表と判断基準を紹介します。

3つの選択肢のメリット・デメリット

3つの学位の取得にあたって、メリットデメリットを比較しました。

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どれも一長一短です。比較した時点では、私の思いは、まだMHA進学でした。

3つから選ぶにあたっての判断基準

比較して調査したうえで、進学にあたって海外留学を経験した先輩たちに「どの修士号をとると良いか」の相談をしました。

相談の結果、私の個人的な判断基準ですが、以下の表を作ることができました。この表は、自分の中でとても納得いくものでした。

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上記の表で、まず分岐があるのは、医療機関での就業経験の有無です。

医療機関での経験がある場合、

選択肢はMBAかMPHが良いと思います。

医療機関を経験したうえでのMHA取得は、医療機関での就業内容と被る場合があり、PhD (博士課程)を目指さないのであれば、キャリアとしての市場価値をあげにくく、視座を高めにくいと私は考えました。

経営・運営を極めていくのであれば、MBA取得を目指すとよいと思います。他業界の人と知り合い、他業界の事例を知ることで知見を広げられます。また他業界には“怪物”のようなビジネスパーソンもいるので、ビジネスマンのトップレベルを知れるのも良い機会になります。

医療の質や疫学、公的機関での保健に関する業務をしたい場合は、MPHが良いと思います。医師でもMPHを取得する方は一定数いるので、医師と密に働く上で役に立つ学位です。将来、疫学方面の理解も深めたかったり、地域や国の健康アウトカムの向上に務めたい場合もMPHはおすすめです。

医療機関での就業経験がない場合、

ダントツでMHAが良いと思います。他業界から病院業界に移ってくる場合は、医療業界へのパスポートになることは間違いないです。さらに、MHAを通して、改めて医療施設で働きたいのか、製薬会社がいいのか、医療機器がいいのか、と医療業界を見渡すこともできます。

時間軸で考え、再確認する

上記の判断基準に加えて最終的に、以下の2軸で考える必要はあります。

1. フィールド:海外、国、地域
2. 業界:政策、製薬、医療機器、保険会社、医療機関や病院の経営

2軸からそれぞれひとつ選んで、どの領域で自分はやっていきたいのか再確認する必要があります。

私の場合

判断基準で考えると、私の場合、医療機関と営利企業で経験があります。そのため、あえてMHAをとる必要はないかも?と思うようになりました。

加えて、時間軸で考えると、20年後に医療職とともに働いていきながら、国の健康アウトカムや国全体の医療のシステムに携わりたいと思っていました。

なので、最終的に、MPH進学を選択しました。

先輩たちは、

前職で知り合った先輩たちは、MBAに進学したのち転職してほかの医療機関で経営に携わっている人もいれば、、日本版MHAと言われるMMA(東京医科歯科大学)に進まれてそのまま同じ医療機関で勤めている人もいます。

修士号をとったあと、博士課程まで進まれて、その後営利企業で働いている方もいますし、海外でのMHA取得後に海外で病院コンサルティングしている方もいます。

みなさんそれぞれのキャリアを歩まれていますが、修士号が一つの転機になっていることは間違いないと思います。

キャリア論として、参考にした考え

学位とは、キャリアの市場価値のひとつだと私は思います。自身のキャリアの価値を考える上で参考になるのは、元リクルートで東京都初の民間人校長となった藤原和博氏の「レアカードになれ!」です。

みなさんもぜひ、今の分野でそのまま走って1万人に1人、100万人に1人を目指すより、3つの分野のキャリアを掛け算して100分の1×100分の1×100分の1の掛け算で100万分の1の希少性あるキャリアを創ってみてください。だいたい1つの足場作りに1万時間(5〜10年)かければ、誰でもできることですから。
(参照:http://logmi.jp/167639 )

修士号のカードを組み合わせることで、どうすれば自分の市場価値があがるのかを考えると自ずと自分にあった進路が見えてくるかもしれません。

まとめ

※この記事は、病院事務職(非医療職)の視点で書いたキャリアに関する話です(繰り返し)。

医療機関で働いていると、どうしても気になってしまう修士号。簡単にまとめると

- 選択肢は3つ:MHA、MBA、MPH
- それぞれ、メリット・デメリットはあります。
- 選び方は、就業経験をもとに判断するのがいいかもしれません。
- ただ、将来どうなりたいかの時間軸の考慮も忘れずに。
- キャリアを市場価値と考え、レアカードになりましょう。

今回は、あくまでも、私が修士号を取る際に考えた選択肢と判断基準を紹介しました。キャリアといっても、住んでいる場所、家族の状況、金銭の制約などもあるので、最終的には一人一人が判断基準を作る必要があると思います。その一助になれば幸いです。

以下の記事を微修正してnoteに転載。


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