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Tiny Sketches Shunsuke Takawo’s 1st solo exhibition を見てきた。

日記と感想 (05/18)

馬喰町、NEORT++

 takawoさんの個展「Tiny Sketches」のスペースがあるNEORT++に私は電車で向かった。最寄駅は馬喰町駅で、初めてこの駅に降りた。馬喰町駅のホームは他の駅と比べてより地下深くにあり、ホームの壁からは謎の滝も流れていてアンダーグラウンド感が漂っていた。

なんとなく直感でこの個展おもしろいかも、と思った。自分が展覧会の行き道中の景色に何かを感じる時は、その展覧会もよかったと感じてることが多い気がする。
単純に、自分の中の鑑賞スイッチがオンになっている時だから景色に対しても何かをキャッチしているのかもしれないが。

 地上に出て、近くに見えたカフェに入った。私はスペースが開く時刻より1時間ほど早くに到着したので、時間潰しを兼ねた栄養補給をした。アイスコーヒーを飲みながら街を眺めている限り、馬喰町はオフィスビルが数多くそびえていて、日中歩いている人はほとんど仕事をしている感じの人だった。NEORT++も数多くあるビルの中の一つ、まるかビルの中にある。

NEORT++ エントランス
NEORT++ エントランス

「Tiny Sketches」

240 daily coding sketches

 スペースに着いた。数多く壁に敷き詰められて並んだ240 daily coding sketchesが目に飛び込んでくる。少し離れたところから眺めると、白っぽいbackgroundの背景にこれらのスケッチのサムネイルがずらっと並んでいるように見える。

個展を見に行く前、Twitterで手作業で並べて貼っていく設営の様子の動画をチラ見した時は手でfor文してると感じていたけれど、壁が白っぽく背景のように見えているのは照明じゃなくてプロジェクターで白っぽいカラーを投影している?ように見えた。

これは、function setupとfunction drawもやってる!と勝手に感じた。そんな意図があるかどうかは分からないが、この個展の空間自体もtakawoさんの日頃のコーディングに則ってできあがっているのか、と思ったしコーディングそのものだと思った。

 takawoさんは、クリエイティブコーダーとして以外にも「Generativemasks」で爆発してNFTアートやブロックチェーン、アートの界隈とか色々な人や界隈に注目されたり取り上げられたりしている。本当にすごい。私個人は、takawoさんを詳しく知っているわけでも、全く知らないこともない。

 2019年、私は大学3年でtakawoさんのニューメディアゼミに所属していた。私がコーディング初心者だったからtakawoさんには指導してもらったりお世話になったので、個人的には恩師に当たる先生なのだ。
個人的なことだけど、2019年にtakawoさんがデイリーコーディングのスケッチをTwitterに載せ始めた時、自分もtakawoさんの授業やデイリーコーディングを見て、コーディングやプログラミングの一端に触れたり知ることができたのはラッキーな偶然だった。

 240 daily coding sketchesの最初の方から並んでいる2019年-2020年頃のスケッチの中には見覚えのあるスケッチもいくつかあって、懐かしい気持ちになった。
今日はtakawoさんが在廊していない日で挨拶したり少し会話をしたいような気持ちもあったが、自分が個展で作者本人が近くにいると顔見知りであっても緊張してすぐに外に出てしまう人間なので、本人がいなくて良かったかもしれない。

私が懐かしい気持ちになったスケッチの一部

 Twitterのハッシュタグで見ることができる展示風景の写真を見ると、本当にプロジェクターで投影された光のように見えたり、メタバースやVRチャットの空間のように見える。少し離れたところから見てもそんな風に見えたりするけれど、近づいて見みると紙にプリントされているのがはっきりとわかる。

実際に近付いて紙を見ると細かい凹凸のある手触りがあるもので、インクもマットでアクリルのような重さの質感があった。液晶ディスプレイのようなツルツルの紙にツヤツヤのプリントなのかと思っていたので意外だった。
スケッチによって滑らかなグラデーションや、パキッとしたシェイプ、加算混合の光、淡い陰影、ジャギジャギのディティールといったようなそれぞれの特徴がよくわかり見応えがあった。

近付いて見た感じ

フレームに収められていない紙がそのまま壁に並んでいるのは、ドローイングの展示っぽさも感じた。「歌になる前の鼻唄のように、連なるコード」とあるように、これだけの数のスケッチが並んでいるにも関わらず、ラフさ軽やかさがある。

 設営準備の様子や毎日コードをかく積み重ね自体は重たい日課のように思えたり、イメージとして強固な感じがするが、これらが日常に基づいた日常の一部であるというのがtakawoさんのスケッチの大きな特徴だ。特別ではないものが、特別に見えてくる感じが不思議で面白い。

240 daily coding sketchesでは、続いていく日常の歩みというリアルさと、コード上でのアナログな質感表現、紙とインクのテクスチャー、途切れない並び方が全て結びついているように感じた。

Tiny Sketches で Daily coding sketches

 ブラウザやTwitter上では普段からtakawoさんのデイリーコーディングの様子を見ることができるので、個展で見るデイリーコーディングはどういう見え方の違いを感じるのか個人的に気になっていたが、アートのような、でも大きなギャラリーで見るドシッと置かれている作品とは異なる、takawoさんのデイリーコーディングのスケッチとしてよりじっくり見ることができた。(”観る”より、”見る”の感じ)

 他にもDaily coding with communitityの作品群や新作のNFTの展示と販売、Generativemasksも展示されており、こじんまりとしたNEORT++のスペースの中でまとまりよく見ることができて良かった。あと、ギャラリーにはNEORTのNIINOMIさんがいて、少し話を聞いたり会話できたことも良かった。

簡単に、おわりに

いっぱい並んでいるね

 takawoさんの「Tiny Sketches」は、自分が想像していたよりも驚きや面白さがあって見に来れてよかったなと感じた個展だった。
個人のコーディングの個展はおそらく貴重で、色んな人にとっても「Tiny Sketches」は敷居が高くない個展だと思うので、広く色々な人に個展の開催やtakawoさんのデイリーコーディングが知られたらいいなと思う。

「Tiny Sketches」詳細リンク


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