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『バディミッション BOND』に見るアドベンチャーゲームの地平線

『バディミッションBOND』

メインミッション6章までと、解放されているサブストーリーを遊ぶ。いわゆるコマンド入力形式を、手を替え品を替え分解し、バリエーション豊かな入力手法として取り揃え、物語上に再構成する。という方法論をやり切れば、アドベンチャーゲームというジャンルにもまだ拓ける大地があるんだなぁという印象。

アドベンチャーにありがちな、不自然にキャラが並んでこっちを向いて会話する…という表現が採用されている箇所もあるにはあるが、キャラパターンの物量を揃えること、喋っていないキャラを暗くすること、または大胆なカットを入れたり前述の多彩な入力方法を組み合わせたりすることなど、ある種の力技で、またあれか的な諦念回避を達成している。

インタラクティブでありながらどこかコミックを読んでいる感覚に近いのは、村田雄介さんの手による絵の力はもちろん、コマ割り、扉絵、擬音などの合わせ技で、マンガを読む際の目線の動きを再現する、というベースデザインのコンセプトがハッキリ表現できているからではないか。加えて3Dパートとの連携もあり、コンテンツとしてのリッチさもある。

捜査パートでの適度なリソースマネジメント要素は、状況と情報の照合を上手くやらないと取りこぼすフラグがあるため、やり込み層の需要にも応えている。実際、読み物主体ではあるがサブシナリオの数もボリュームはかなり多そう(サブシナリオは、より動的コミックなイメージが強い)。

ただ、台詞、指示、選択、など、表示の間のテンポ感がもっとサクサクだとより好み。ボタンを押したらノータイムでコマンドが表示されるくらいが嬉しい。と思ったら、コンフィグである程度調整できました。

全般的にめちゃめちゃ丁寧に作ってあるなあというのが通底した感想なのですが、調べるとコエテクさんのルビーパーティ制作とのこと。たぶん僕は、アドベンチャーというジャンルが好物ではあってもこのゲームの本来的なユーザー属性には合っていない気がするし、そもそも同チームのゲームを遊ぶのが初めてだったりもするが、特にキャラクターの造形や造詣、立ち位置や醸し出す関係性、距離感、サブシナリオの機能性など、どえらく高度な計算芸が為されているように感じる。それが僕にもちゃんと入ってくるのがすごいなと思うのでした。

これは、確実にエンディングまで遊ぶやつ。

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