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企業Twitterアカウントは安易に「応援しています」と言ってはいけないワケ

TVで大きく話題になったスポーツ競技。あんなに盛り上がっているのにTwitterで企業アカウントはあまり話題にしないな…と気付いた人はいるだろうか。
話題に乗ってこそ企業Twitterアカウントなのに、なぜツイートしないのだろう。

これには理由がある。
TVCMなどで企業が「○○社はスポーツチーム○○を応援しています」等とナレーションや文字で入れているものを見聞きしたことはあるだろうか。
実はこれ、スポンサーとして出資している企業にしか許可されていない言葉なのだ。

企業アカウントの「応援」=ファンです、
という意味にはならない。


「応援」という意味には2種類ある。
通常は、純粋に「がんばれ〜!」と拍手や声掛けを送って励ますことを指すのだが、こういった純粋なものというのは一般の1ファンであったり、個人的なものである場合。
もうひとつは、出資などの力添えをするという場合。

たとえば企業がスポーツチームのスポンサーをするにあたっての契約書などには、「今後出資の契約をしている間はその会社はこのチーム(あるいは選手)を応援している等の表記が出来る」という旨の記述がされているのだ。

つまりTwitterの企業アカウントにおいて、担当者がファンであったり地元だからといって自社が出資していないスポーツチームやスポーツ選手に安易に「応援しています」という言葉は使ってはいけないのである。
"応援" という言葉は、一般の人と企業のコメントでは全くの別物になるのだ。

どうしてもその必要性がある場合は会社が、という印象にさせないよう「中の人は〜」「担当者が個人的には〜」などといった注釈は絶対に要るだろう。
少なくとも企業のアカウントでの発言なのだということを忘れてはならない。

普段は意識しないかもしれないが、例えばJリーグやBリーグのプロスポーツのチームにはスポンサーがあり、また選手は基本的にチームと契約している「個人事業主」だ。
※社会人チームなど会社所属の場合は別
そのため、靴やトレーニンググッズなどでスポンサーがそれぞれに付いている場合がほとんどである。

※例:
プロバスケットボール「Bリーグ」等では靴は選手それぞれのため、同じチーム内でも足元を見るとブランドがそれぞれ違うのはそういった理由。
(B2リーグ以下であればチームスポンサーで一括になっている場合もある。)

そういった事からも契約事情等の配慮をしなければならない部分も多いため、チームや選手に事前確認が必要になってくる事もある。

時折スポーツの試合結果や実況ツイートをしている企業アカウントも見かけるが、それはやはり何らかの関係性…グッズ製作や協力会社等での関わりがあったり、スポンサー企業であることが殆どだ。

「元ネタ」にもしてはいけない場合もある。


特に気をつけたいのは大きな競技大会や巨大な規模のスポーツ祭典も、許可なく話題にしたり「元ネタ」として類似の用語、それらを想起させるようなものも権利として許可されていない場合すらある。
(※これらはアンブッシュマーケティングと呼ばれている。)
言葉としての話題だけでなく、イメージが繋がるようなイベントや企画ですらもNGということなのだ。

これらの事を知らず、安易に使ってしまうと権利所有者から訴えられ、賠償請求されてしまう可能性も非常に高い。
スポンサーが大金を使っているものであればあるほど、その賠償額も高額になるだろうし、そうなれば担当者が責任を取って辞めるどころではなく、中小企業などはその賠償金で会社ごと潰れる可能性すらある…かもしれない。
それほど気を配らねばならない事物だということだ。

参照記事:知的財産権について
https://www.jpo.go.jp/toppage/links/index.html

もちろんスポーツ競技に限らず、ソーシャルメディアを取り扱う担当者…いわば企業のSNS担当者であれば、一般のSNSユーザーに混じり、言葉を交わす機会も多い。だからこそ、うっかりネタにしないよう これらの事は常に注意して発言していきたい。

また、特に触れる機会の多い著作権や肖像権に関しても気を配らねばならない。企業名を名乗り企業のロゴアイコンを使っている限り、やはりそれは「企業のアカウント」なのである。何を発言しても100%が100%そのまま個人の発言という印象にはならないだろう。
その企業の印象が付くからこそ、即全世界に発言が公開されるTwitterなどで発信する担当者自身が気を配らなければならない事はとても多いのだ。

ちなみにスポーツであればTV画面などの撮影(キャプチャー、スクリーンショット)も全て著作権があり、放映権、知的財産権なども複数加わるため同じスポンサー企業であっても安易に扱えない場合が多い。

これらは知らなかったでは済まされないだろう。
中小企業だから、個人経営だからと許されることもない。
Twitterやネット文化に詳しくなくとも何ら問題にはならないが、最低限のこういった知識は身につけておかねばならないだろう。

Twitter担当者は企業のアカウントであるからこそ、絶妙な面白さを出す事が出来る。しかしそれら面白さも、”大前提”として基本知識やマナーの配慮を怠らないことが肝要なのだ。


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