note画像分析表

中小企業のTwitter担当が始めにした事とは? 〜担当者はまず分析力を鍛えよう〜

企業のTwitterアカウント開設をしてまず最初にしたのは「分析」だった。今回はTwitterアカウント開設時に筆者が実際に行った話。

成功していると言われるTwitter担当者はもともとの能力やセンスで何とかなっている、と思われがちだ。

しかし能力もセンスも、あらゆる知識と経験、勉強によって備わってきた集大成が他人からはそう見えというだけで、全く天性のものではない。
(もしかしたら存在するかもしれないが、数多ある企業アカウントでも1〜2人いるかいないか、だろう。)
しかしTwitter担当者はその企業内での人材で、また未経験でいきなり任されるという場合がほとんどだろう。
戸惑うのも当然、はじめは誰しもが右も左もわからないものだ。

筆者が勤めていた、とある地方の某建材メーカーがSNSアカウントを開設した目的はひとえに「サイトへの誘導」だった。
当時中小企業に向いていると言われていたFacebook、サービス開始して間もないGoogle+やピンタレスト、RoomClip、インスタグラム…。ありとあらゆるSNSを試した。
ただ、なかなかサイトへのアクセス誘導に他SNSからは良い数字が出なかった。
有料の広告や有料の雑誌広告等を打てば、それなりに反応は出る。ただし有料広告を出して即反応があれば即収束したし、いわば単発的だった。
メディアの単価や会社事情もあり、だんだんとその広告費は捻出し辛くなっていった。
時折建築関係のTV番組で偶然映ったり紹介されたりもしたが、設置方法が特殊で条件が厳しい製品だったため、その先にはなかなか進めない要素もあった。

そんな中でもしかしたら自社に向いているかも知れないと、筆者があらゆるSNSを個人的に試した末にTwitterが良いのではと検討し、

・人件費のみで運用できる
・短時間運用も可能
・サイトアクセス誘導しやすいかもしれない
・もし自社が運用に向かないのであれば、即やめる事も出来る

という3点で開設許可を得た。
そしていざ開設して、しばらく経つと他企業の運用が気になっていろいろ見ていく事にした。

各企業は驚くべき話術を駆使して運用している、というのが最初の「ゆるい運用」への感想で、
これらが企業として許可を経て運用している事実や話題性の大きさにも驚いた。
目にしたのは大手企業のアカウントばかりだったので、だからこその反応でもあった。
しかし中小企業で地方に所在している自社でも、やってみたら何らかの効果があるのでは…?と思い立ち、社内で交渉をしてみた。

・同じテーマ、同じURLで本来の会社らしい案内ツイート文と、ゆるいカジュアル文章での案内をツイートする。
・そのデータを取り、報告する。

今にしてみればABテストのようなものだったわけだが…その結果は歴然だった。単純に「いいね」の数だけでなく、webアクセスの分析数値ではっきりと出ていた。
(※当時Twitterアナリティクス…つまりTwitter側の数値分析は提供されていなかったので、自社webサイトの流入元から”ゆるいツイート”からの誘導された数字が大きく出た)
そのはっきりとした数字を社内で提出し、許可が下りて中小企業…つまりBtoB企業によるTwitterアカウントのゆるい運用が始まった。
※ゆるい運用とは、カジュアルな言葉を選び一般の方や企業アカウントと交流していく運用スタイル。

しかし何か物足りないというか…ずっと運用していくにあたって、確固たる指針、事例参考が当時あまりにも無かった。それならば分析してみてはどうか、と思いついた。
ありがたい事に日々の他社ツイートは全て、ひたすらに流れてくるし、それにヒントがないかどうか。
ヒントを得られるかどうかはやってみないとわからない。
ともかく見てみよう、と思ったのだ。


まず、他企業でフォロワー数が多く、人気のアカウントで業種がそれぞれちがうものを数社ピックアップ、

・朝一番のツイート時間
・ツイートとツイートを開ける時間
・トレンドワードとツイートまでの時間
・1社の1日のツイート量
・リプライ(返信)の度合い、返信までの時間、量
・リプライをどこまで続けているか
・写真をつけるツイートと文章のみのツイートの割合
・自社製品のツイートと、無関係のツイートの数とその1日の割合

などなど、Twitter上で流されて見えているものだけだが2週間〜1ヶ月ほどありとあらゆるデータを取った。

そうすると一定の時間を各社で独自のルールを基にツイートしていることがわかった。
また、一部どの企業でも共通する項目もあった

流されているツイートを並べる、ただそれだけで、分析できることは山ほどあったわけである。

そのデータを取った頃からは6年ほど経っているが、多少の変化があるものの基本的に各企業は自社ルールを設けている場合があるので、誰もが見られるツイートだけでも判明する部分は多いだろう。

また、1つのツイートにどれだけの情報が入っているかも分析してみると参考になると思う。

例えば
・ツイート時間と内容
・情報ツイートとネタツイートの割合
・ツイートが多い時間帯
・リプライは全てかどうか、どこまで続けるか
・現在のフォロワー数と1ツイートのいいねの数(%)
・企業の一般知名度に対してのフォロワー数
・文字数、記号、絵文字、AAの入れる割合
・タグの有無、数
・交流の相手企業
・URLを入れる入れないの加減
・画像の有無、割合
・添付する写真や絵の画像レベルの最低限はどの辺りか
(※ただし、ネタ的なツイートの場合と告知などの場合とも分けて分析すること)

そして、あらためて自分がツイートしている情報量と比較してどういった違いがあるかをじっくり比較してみるといい。

なお、特にフォロワー数に対して1ツイートの「いいね」の数を%パーセントで見ていくと、そのフォロワーがアクティブユーザー(フォロワー)であるかどうかが見えてくる場合もあるだろう。
また例えば、「TVCMを打っているほどの知名度がある大企業」であった場合、その企業Twitterのフォロワー数は自社知名度や競合他社と比較してそれなりの数に達しているか、等も目安になるかも知れない。
(※キャンペーン専用アカウントでない場合)

なお私が最初に担当した企業はTwitter上に競合他社がおらず、全国的な自社知名度がほぼゼロだった。似た目的を持つ競合他社が既に存在していれば比較も出来たかもしれないが、指針も参考に出来る他社企業アカウントもないままスタートさせ、気付けば3万フォロワーも目前の27,000フォロワーを超えていた。
企業アカウントながらあらゆる事を試させてもらえたので、結果としてTwitterでの活動が中小企業の試みとしては珍しいこともありTVやラジオ、web記事や専門誌に載るなどしていき、それによって当初の目的であった知名度を向上させることが出来た
また、展示会や営業先ではそのTwitterアカウントについて話が出たり、それをきっかけにOEM受注に繋がった事も多々あったのだと聞いている。

ツイートのデータ上には表れにくいが、総合的に発展したり変化したり、何らかのポジティブな影響は出たわけである。

ごく地方の小さな企業でも、何かに繋がる要素のひとつにも成り得るかもしれない。そんな可能性がTwitterにあるのだと実感出来た。

地方の中小企業であればあるほど、まず知名度を獲得していく必要がある。農業で言えば土壌を整える作業だ。その労力をかける時間は必要になってくるし、分析すれば分析しただけ見えてくるものがある。それらを自社向けに試したり参考にして実施していけば、その分だけ何らかの効果も出るはずだ。

担当者はよく「視る」ことが必要であるし、観察力、客観視、データ化も鍛える必要がある。
他企業のTwitter運用は誰でも拾える情報であり、毎日ツイートされていく。手法は自力で編み出すのも良いと思うが、自力で掴み取ることで自身の身に付いていく事は多いのだ。

時折、筆者が得た知識やノウハウを他社に話したりするのはもったいないと言われる事がある。
しかし、これらのような分析は誰でも出来る「分析まで」だ。
その後から先の事は、分析結果からツイートする担当者本人の言葉のチョイスや交流で「人柄」が加わり、キャッチする情報と流す情報への選択は担当者によって変わる。加えて企業の認知率やフォロワー数にも変動してしまうので、競合他社であってもなくてもアカウントと担当者が違えば一つとして同じにはならない。
たくさん試し、たくさんネタがスベっても、そこに担当者という「人」がいればそれだけ別の結果が得られるはずなのだ。

一定期間のデータが溜まれば、それなりの分析が出来る。そうすれば自社と比較して何らかの指針が見えてくるだろう。
既にTwitter運用をスタートさせていれば、改善点も多く見つかるだろう。
とりあえず自社にも向いている物があれば試してそのデータを取ったり、データ次第で進めるか否かを判断していけるし、他社がやっていないことを見つけたり、企画のアイデアやヒントが山のように隠れていたと気付くはずだ。

もしそれでもわからない事があったり、自社方針や取り扱い製品についてツイートに迷う事があれば筆者に相談して貰えれば、共にアイデアをひねり出して行く事も惜しまない。
これまでも実際に会社に訪れてまで相談に来られた企業の方も多かった。全力でその企業と担当者に向いたアイデアや方針に沿って出来る事を話して来たし、今後もそうして行きたいと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?