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文章を書くのが嫌いだった話

私は文章を書くのが大嫌いでした。

それがために大学生時代と社会人になってから、とても苦労しました。

まず、大学生時代のこと。
入学して初めての試験。
「試験」といえば、穴埋めとか棒線の意味を書け、といったものを想像していたのですが、問題用紙が配られてビックリ。
「○○について記せ」。
「え?これだけ?」
頭の中は真っ白。
しかも、周りの学生はカリカリと鉛筆を走らせている。
「え?なんで、なんで?なんで、これで書けるの?」
それでも何か書いたのでしょう。
一応試験は終えましたが、多分、惨憺たる成績だったと思います。
幸い、私が卒業した学部は卒業論文が必要なかったので、なんとか卒業できましたが、もし卒論があったらどうなっていただろう。

そして、社会人になってからのこと。
私が入った会社は入社後2年目だったかに昇格試験がありました。
これもまた論文形式。
「○○について、あなたの考えを述べなさい」。
これまた頭真っ白。
同期の半数以上は難なく合格するこの試験を私は3年かかってようやく終えることができました。

何故、そんなに文章を書くのが下手で、嫌いだったか。
それには二つの理由があります。
一つは、字の汚さです。
自分の字を見るのが何より嫌。
これは今も変わっていません。

そして、もう一つは、考えをまとめて文章にできなかったこと。
ですから、何度も何度も書き直しをする必要がありました。
それが面倒でならず、さらに文章を書くことが嫌いになりました。

そんな私が今はこうして毎日文章を書いている。
私に何が起こったのか。
それは、ワードプロセッサー、いわゆる「ワープロ」という機械の登場です。
この機械の登場が私の文章への劣等感を大きく変えました。

話を先へ進める前に、一つ書いておかなくてはなりません。
今は「ワープロ」はパソコンの中の一つのアプリソフトですが、世の中に初めて「ワープロ」が登場したときは、それだけで一つの機械だったのです。
ワープロ専用機。
他には何もできません。

さて、話を戻して。

この装置を使えば自分の汚い字を晒さなくて済む!
そして、その編集機能。
思いつくままに文章を打ち込み、後からそれらを入れ替えたり、消したり、付け加えたりすることで考えをまとめ、一つの文書に仕上げることができる!
しかも、その文書をプリンターが美しい文字で印字してくれる。

ワープロは正に私のために発明された機械でした。
幸い、私が勤務していた会社もワープロを売っていたので、ショウルームにワープロが展示されていました。
毎日のように、終業後にショウルームに行き、取扱説明書と首っぴきで操作を覚えたのでした。
以来、文章を書くことが好きで好きでならなくなりました。

それまでは手書きで1日数行だった日記もワープロで書くようになってからは、多いときはページの半分に及ぶことも珍しくありません。
そして、このようにブログを書いて、他人様に読んでいただくこともできるようになりました。

ですから、ワードプロセッサーは私の人生を変えてくれた発明品といっても良いのです。