『米国人トランス活動家、自己申告の性自認による「レズビアン」婚を認めるよう求め日本政府を提訴』英文記事翻訳
寄稿者:Genevieve Gluck
2023年5月13日
同性婚が法制化されていない日本で、「トランスジェンダーのレズビアン」であると自認する米国人男性が日本初のレズビアン婚を認めるよう求めている。エリン・マクレディ(49)は、出生時の名はエリックで、過去にはレズビアンバーの女性限定イベントへの参加を認められなかったため経営者に嫌がらせをしたこともある。
日本在住のマクレディ氏と配偶者のもりたみどりは、レズビアンカップルとしての婚姻が認められないのは憲法違反であるとして、2021年に日本政府を提訴した。現在、日本には性自認に関する法律がなく、性自認が女性であるトランスジェンダーの男性が法的な文書における性を女性に改めるためには性別適合手術とホルモン療法を受ける必要がある。
マクレディは、青山学院大学で言語学と哲学を教えており、2000年に日本でもりたと結婚し、現在は日本で3人の子供と共に暮らしている。
2018年には米国で「女性」への性別変更を行った。性別変更や同性婚に関する法律が異なるため、これによって妻のもりたは配偶者ではなく縁故者とされることとなった。マクレディはこれに抗議し、ジャパンタイムズ紙に次のように語った。
「両性カップルとは異なる私たちのような家族がなぜ家族として認められないのか、全く理解できません。政府が私たちを認めない理由を知りたいです」
マクレディは、自身について同性間の婚姻関係にあるものとして記録することに加え、220万円の賠償を求めている。勝訴すれば、マクレディともりたの婚姻は日本で初めて公的に認められたレズビアン婚となる。
しかし、気になることがある。マクレディにはレズビアン女性に嫌がらせをした厄介な過去があるのだ。
2019年4月、マクレディは東京の老舗レズビアンバー「BAR GOLD FINGER」の女性限定イベントに参加しようとしたが、男性であるため従業員に入店を拒否された。
GOLD FINGERが女性限定イベントを行うのは月に1度だけだが、マクレディ氏は「トランス差別」だとしてTwitterで店と従業員を非難した。マクレディ氏はバーの経営者である小川チガの名前を挙げ、このように投稿した。「GOLD FINGERは東京の主要なレズビアンスポットかもしれませんが、その経営者であるチガという人はろくでなしです」
数週後、マクレディは女性限定イベントから排除されたことへの怒りを再燃させ、小川に対してこのように投稿した。
「笑うしかありませんでした。あそこで立ち尽くしていた私の姿を見ましたか?みじめな思いをしました。動物園の動物のような気分でした。人が出てきて私をじろじろ見るんです。偏見を持って否定されたような気分でした。とても傷ついて、涙をこらえていました」
さらに、マクレディはこのように述べた。「世界各国の政府は私を女性と見なしています。私の公的書類には『女』と記載されているので、法律上では同性婚とされる現在の婚姻関係を守るために、日本政府と戦わなければなりません。私は女性として、別の女性との婚姻関係を守るために、政府と戦っています。これはGOLD FINGERを利用する皆さんのための戦いでもあります。でも、私は入店できません。なぜ「女性限定」なのでしょうか?なぜ「シス女性限定」と言わないのでしょうか?」
インターネット上ではマクレディの投稿に触発されたトランス活動家から非難が湧き上がり、一部の人は今後東京レインボープライドのイベントからGOLD FINGERを排除するよう求めた。Stonewall Japanの副代表ジェシカ・ゴードンはこのバーを一切利用しないよう支持者に訴え、小川と従業員を「トランス差別ゴミ人間」と中傷するブログを書いた。
しかし、経営者の小川は女性限定イベントの宣伝ポスターの下部に「女性」とは「シスジェンダー」女性を指すことを追加で明記し、マクレディの問いかけに対してひるむことなく応じた。
その後、マクレディはこの論争で得た支持を糧に、「WAIFU」という独自のクラブイベントを立ち上げ、「クィア&フェムのDJパーティー」として宣伝した。waifu(ワイフ)とは若干の物議をかもす言葉であり、英語の「wife」に由来している。
公式Twitterアカウントによると、WAIFUの目的は、「ジェンダー/セクシュアリティ/人種/年齢などにかかわらず、オープンで他者と寄り添う気持ちのある様々な方が安心して楽しめるセーファースペースを、参加者とともにつくりあげていくこと」とされている。
ワイフという言葉は女性蔑視的で不快だと言われることがあり、問題視されている。マクレディはその考えに同意し、2021年のインタビューでこのように語っている。「アニメなどの二次元の文化では好きなキャラクターを『ワイフ』と呼ぶ習慣があり、これにはそのキャラクターは自分のものだという意味合いがあります。これは妻を自分の所有物のように扱うのと同じことです」
マクレディはセックス・ポジティブ・イベントの企画を行っている「Slick」の協力者でもあり、ベルリンのクィアフェスティバル「WHOLE」ともつながりがある。マクレディはさらに、妻と若い女性と3人で「MOM」というグループの活動も行っている。同グループのウェブサイトによると、MOMは「非規範的な家族」だという。
2020年、マクレディは共同執筆論文で「TERF」という侮蔑語の正当化を試みた。TERFとは「Trans-Exclusionary Radical Feminist」(トランス排除的過激フェミニスト)の略であり、ミシガン・ウィミンズ・ミュージック・フェスティバル(Michigan Womyn’s Music Festival)という米国のレズビアン主体のフェスティバルが女性限定のイベントであり続けようとしていることに対抗して作られた言葉だ。
フェスティバルの主催者は、女性レズビアンであると主張する男性から長年にわたって嫌がらせを受けてきた。トランス活動家は、女性限定のスペースに男性が入ることを拒む女性の評判を落としたり、そのような女性への暴力を扇動したりする際に、「TERF」という言葉を使用することが多い。
マクレディは、論文「The Instability of Slurs」(侮蔑語の不安定性)で次のように論じている。「『TERF』と呼ばれる人々を蔑視するのは、欠陥のあるイデオロギーなのだろうか。おそらく、トランス排除的な人々によって標的とされている(または不適切な代名詞や性分類など性の区別のある言葉を侮蔑的に使用されるなどして標的とされていると感じている)トランスジェンダーは強く否定し、むしろ自己概念の形成に問題のある人々がトランス排除的なイデオロギーに基づいてトランスジェンダーを蔑視していると言うだろう。そのため、『TERF』という言葉を使うのは『殴り合い』のようなものであり、我々が定義する侮蔑には該当しない」
マクレディがレズビアンに対して嫌がらせをしたことは、5月1日に東京で行われた緊急記者会見で問題として取り上げられた。この記者会見では、女性とLGBTコミュニティの権利を擁護する4団体の代表者が性自認運動のさまざまな側面に対して異議を唱え、主観的な自己申告に基づいて「不当な差別」を禁止する曖昧な法案に対する懸念を表明した。
記者会見で発言したバイセクシャル女性の森奈津子は、白百合の会という団体を代表して、トランスジェンダーであると主張する男性によって同性を恋愛対象とする女性がどのように標的にされているのかを説明した。
森はこのように語った。「トランスジェンダー女性とレズビアンの間の摩擦を問題提起させていただきます。実は、レズビアンはLGBTの中で最も弱い立場にあります。レズビアンは弱い立場ながらも、これまでささやかなコミュニティを作り、守ってきました」
「しかしそこに、体は男性だが性自認は女性であり、また、自分は女性が恋愛対象なので『トランス女性レズビアン』であると主張する方々が入ってきては、横暴な態度をとるようになりました。各自治体のLGBT条例やLGBT関連法案に定められている『性自認による差別をなくす』という文言を盾に、レズビアンの店やサークルで自分が受けられないのは差別だと主張して、横暴な振る舞いをするトランス女性が増えてきたのです」
「中には、レズビアンに無理やり迫ったり、セクハラをする者もいるほどで、レズビアンの間では以前から問題視されています。すでに欧米では、性自認が女性ならば法的にも女性になれます。そのような、体が男性でありながらパスポートには女性と記載されている外国人も、日本に入国しています」
続いて、森は2019年にGOLD FINGERで起こった一連の出来事について次のように述べた。「身体女性限定の日に入店を断られたアメリカ人の身体男性のトランス女性活動家が、自分は日本のレズビアンバーで差別されたと英文でネット配信し、GOLD FINGERは世界中から批判され、謝罪まで追い込まれるという事件がありました」
そして、GOLD FINGERの身体女性限定の日は月に1度だけであり、その他の日はトランス女性も入店できることを強調した。
さらに、森はこのように語った。「つまり、アメリカ人の過激なトランス女性活動家がその日を狙ってトラブルを起こし、わざと世界的な騒動に発展させたのだと、日本のレズビアンの間では噂されています。白人から有色人種への偏見も背後にあったとも指摘されています」
「なお、性自認は男性と主張する身体女性が入店拒否されるゲイの店は、日本中に数多く存在しており、しかし、LGBT活動家の間では少しも問題視されていません。それこそが、LGBTの中で男性が強者である証です」
※REDUXXの許可を得て翻訳しています
参考和訳です、内容については原文英文が優先します
記事URL
https://reduxx.info/american-trans-activist-sues-japanese-government-to-recognize-self-declared-gender-identity-lesbian-marriage/
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