失望から希望へ 70歳の挑戦

2019年に7年前に摘出したはずの繊維肉腫が再発したのは12月半ばのこと、左太腿に出来たニキビのような物を見た大学病院の担当医師は、簡単に再発を言い渡した。

切断しましょう、手術は1月22日です、手術室は予約がなかなか取れないので押さえておきますね。そして新年早々に左足を根元から失った。

それまで自分の人生を見失いそうで不安ばかりだったのに不思議と覚悟が出来たのは、仕事の電話が掛かってきた瞬間だった。

肉腫が最初に発症した時も仕事が私を待っていてくれた。まだ私を必要としている職場がある事は生きる力になった。

自分の失った足を認める事は出来なかったが、股義足で歩く事が出来ることを知った。担当医師は車椅子生活になるだろうと言った。それは私が70歳という年齢からの体力を考えたのかもしれない。

しかし、私の人生が掛かっていた。まだまだ諦める訳にはいかなかった。まだしたい事は多くあったし、仕事も続けるつもりだった。

すぐに松葉杖をマスターして、1カ月半でリハビリ病院に転院して、すぐに股義足歩行のリハビリが始まった。必ず歩く!という思いは揺らぐ事はなかった。

リハビリ治療が2時間、自主トレ、筋トレは一日中続けられたが、辛いと思ったことは一度もない。時間があれば義足で歩いていた。

私の人生で一番頑張っだかもしれない。仕事は在宅勤務扱いにしてもらい、恵まれた環境も与えてもらった。汗はよくかいた。

7月半ばまでの半年間の入院生活は長かったが、私を成長させた気がする。その間はSNSやブログで義足仲間とも知り合い、知らなかった世界を知ることが出来た。

先月で公益社団法人の事務局長を退任し、これからはこの経験が生かした活動をしていこうと考えている。人生は失望の向こうに広い世界が待っていると思うから。

70歳だって、まだまだ負けていられない!

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