創業融資満額獲得に必要なこと#1
創業融資獲得の最大化を実現するために必要なことの一つに、損益計算書計画(収支計画)の蓋然性が認められるかどうかがあります。
ここでいう蓋然性とは、損益計算書計画がどの程度達成できそうかを指しています。
蓋然性が認められるかどうかは以下の2点を重点的に抑えることがポイントになります。
・実績がどの程度あるか。
・損益計算書計画の精度が高いか。
今回は上記のうち「実績がどの程度あるか」について少し説明します。
1. これから法人で行う事業に関連する実績があるかどうか
ここでいう実績とは、株式会社などの法人を設立して、その法人で行う事業に関連することをこれまでに行ってきたかどうかのことです。
具体的には以下のようなことができればいいと思います。
ベストは、以下2と3を両方実行することです。両方実行できない場合はどちらか一方でも問題ないです。
2. 個人事業主として実績を積む(法人設立前にできること)
正社員として働きながら、副業で個人事業主として働き売上を作ることが実績と寄与します。もちろん、副業ではなく会社を退職して完全な個人事業主でも問題ないです。
例えば、法人で人材管理SaaSのシステム開発と販売をしようとする場合、副業で人材管理コンサルティングや人材管理システム開発などを副業として行い、売上実績を作るなどです。
私の場合は、スタートアップの経理財務の正社員を退職後、半年間個人事業主として財務コンサルティングを行いその後法人設立し、財務を中心としたコンサルティングなどを行っています。
個人事業主として開業や副業する場合は、開業届を提出し、青色の複式簿記(65万円控除適用)で確定申告するのがベストでしょう。
3. 融資獲得の時期を遅らせる(法人設立後にできること)
この方法は、個人事業主として実績がない(できなかった)場合の方法です。
半年から1年程度、法人で売上実績を作った後、創業融資の申込をします。当面は自己資金で事業を行うことになるため、当初の設備投資や仕入れが発生するような業種の場合は、設立時の資本金がある程度必要になります。
コンサルティングやシステム開発のような業種は、設立当初の設備投資や運転資金が少額になることが多いため、自己資金が少なくても問題なく進めることができると思います。
戦略的なデットファイナンスについて
ビジネススピードや必要資金によっては、エクイティファイナンスを実行するのがいい場合もあります。
戦略的にデットファイナンス(融資)を活用すると、スタートアップ型のビジネスモデルの場合でも、設立当初に創業融資を満額獲得でき、オーナー持ち株の希薄化を防ぐことができます。
例えば、公庫の創業融資1,000万円、保証協会付き融資2,000万円、ものづくり補助金などの補助金1,000万円の合計4,000万円の資金調達ができれば、エクイティファイナンスの実行時期を後ろ倒しにしてその間に事業価値を向上させることも可能になります。