それでも変わらない中小企業の財務管理

金融・経済危機による中小企業への影響

2021年10月1日、東京では4回目の緊急事態宣言が解除されました。

2021年10月現在、1回目の緊急事態宣言から約1年6ヶ月が経過しました。
この間に経営環境は大きく変化し財務内容が悪化した企業も多いのではないでしょうか。

2000年以降の主な金融・経済危機は、2006年のライブドアショック、2007年サブプライムショック、2008年リーマンショック、2011年米国債ショックなどがあげられます。
そして2020年コロナショックが歴史に刻まれることになるでしょう。

これらの金融・経済危機は、大企業のみならず中小企業にも大きな影響を及ぼしてきました。

大企業と比較し財務体質が弱い中小企業は、幾度もの金融・経済危機で、さらに財務体質が悪化しています。コロナショックより前の金融・経済危機では、間接的な影響の方が大きかった中小企業ですが、コロナショックでは国内需要の大幅な減少等により、直接的なダメージを受けた企業が多いのではないでしょうか。

財務管理の課題

ここで大きな問題があります。それは、このような危機を何度も経験しているにも関わらず、中小企業の財務管理方法は何十年も変わっていないということです。
大企業であれば、経験豊富な経営陣やCFOがいたり、株価という目に見えるかたちで業績がはかられているため、財務管理についてはその状況・環境に合った方法により対策が取られています。


一方、中小企業(特にオーナー中小企業)は、そのような経営陣がいない場合や対外的なプレッシャーが少ないため、財務管理は手つかずのままになっていることが多いです。財務管理体制を強化しなければいけないということさえ気が付いていないのです。

コロナショックにより、自社の財務管理体制を構築したり、強化した中小企業は何社あるでしょうか。また、その財務管理体制の構築・強化を提案し実行した人は何人いるでしょうか。いくつもの金融・経済危機を経験しているにも関わらず、財務管理に関して何も変わらないのが日本の中小企業なのです。

財務管理の良くない事例

「業績が良く今期は利益がでそうな場合、顧問税理士に相談し(もしくは税理士から提案される)節税をする。」

合法的に節税することは、否定はしないです。ただし中小企業の場合、純資産が十分にない事やキャッシュポジションに余裕がない事が多く、節税する余裕がないことに気が付いていないのです。


以下表をご覧いただければ、節税することにより純資産が痛んだり、キャッシュアウトしキャッシュポジションが下がることがわかると思います。
節税に計画性がある場合や企業価値向上が望めるのであれば、積極的に節税すべきですが、中小企業の場合は自社の財務体質も考えず行き当たりばったりに節税をしています。


コロナショック以前に税理士の勧めで、節税対策の年払保険等を契約した社長は、コロナショックにより、保険料の支払いに苦労していることでしょう。元本割れの中途解約をしたり、保険金額を減額し保険料を下げたりということに頭や時間を使っていたのではないかと想像します。

純資産とお金を増やすためには、1円でも多く利益をだし、1円でも多く納税する方法が一番の近道だと考えます。

お金を増やす重要性を理解している経営者はいますが、ここまでの話を聞いてなんで純資産を増やす必要があるのか理解できていない経営者は多いことでしょう。
なんで純資産を増やさなければいけないのかは、御社の顧問税理士に聞いてみるといいでしょう。果たして、明確で納得感がある答えが返ってくるでしょうか。

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