引きこもり日誌・15日目

2020年4月22日(水)

ヴァルター・ベンヤミンの大学論が面白い。TwitterのFFさんが大学についてツイートされているなかで「青春の形而上学」という題名を挙げられていて、ふと興味をおぼえたのだ。そこですぐさま調べてみる。すると、ちくま学芸文庫の『ベンヤミン・コレクション6 断片の力』に収録されていると知る。
 読んでみたいものだが、図書館は閉まっている。本屋へ行くか。どちみち『ベンヤミン・コレクション』は手元に揃えておくべきだろうから、この機会に買ってしまってもよい。だが、どうにも今ではない気がするのだ。なにか良い案はないものか。そう思ってさらにいくらか調べてみる。
 まずヒットしたのは一橋大学の機関リポジトリにみつけた論文、三崎和志「青年ベンヤミンの思想圏」(一橋研究, 23(1): 93-116、1998年)だった。そこから、ベンヤミンの大学論を知る。
 三崎によれば、「1914年に書かれた 『学生の生活』おいて彼は学生の現状をこう厳しく批判する。学生と彼らの学ぶ大学の現状を歪め汚染 しているのは 「職業の精神」である。将来、何らかの職業に携わるための知識を習得する機関として大学を捉え、学問をそのようなものとしてのみ捉えることは、自己をすすんで社会機構の一部分に特化しようとする発想である。 社会の一部として機能しうるよう人間を鋳型にはめる 「職業の精神」に対し、ベンヤミンが求めるのは「創造の精神」である」(p.13)
 そこから、「学生の生活」を読もうと思い立つ。2011年にHarvard University Pressから出版されている『Early Writings 1910–1917』というベンヤミン初期の著作集があって(Howard Eilandによる英訳と編纂)、それを偶然みることができた。そのなかでいくつか気になったものを挙げておこう。「The Free School Community 」(1911)、「School Reform: A Cultural Movement」(1912)、「The Life of Students」(1914-1915)。ベンヤミンは1892年に生まれているから、これは20歳前後の著作である。したがって自身の置かれている状況を引き受けて、学校や大学について語っているのだろう。
 ところでベンヤミンの初期論集は、邦訳では、晶文社から『来たるべき哲学のためのプログラム』(道籏泰三 訳)として刊行されている(先に挙げた『Early Writings 1910–1917』の翻訳ではない)ので、そちらをあたってみるのも良い。明日本屋に見に行くことにしよう。

お金があると本を買えます。