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◎22か月ぶりのソウル・ジャーニー。

 6月23日午後、福岡空港から仁川空港へ飛んだ。2020年8月中旬ソウルから成田空港に五か月ぶりに帰国して以来、22か月ぶりに再びソウルに戻ったことになる。今回は三回のワクチン証明書と直前の陰性証明書を準備しておいた。韓国政府側が推奨したアプリ(QCODE)に旅券番号や住所などを入力しておいたおかげで、入国手続きは予想以上にスムーズだった。着陸後、入国手続き場にむかうと、、完全防備の職員に招かれて検疫所のテーブルへ移動。そこで準備しておいたスマホのQCODEを見せると10秒で通過。入国審査ではスタンプの代わりに入国許可のラベルを貼られた。以前はノービザのために入国スタンプだったが、今回は在日韓国領事館でもらった観光ビザ(C-3)の許可証の用紙をもらい、それをに入国審査で見せるだけ。福岡の韓国領事館で観光ビザを申請したのが、6月2日午前で、ビザ受け取りは6月16日午後だから約二週間かかったことになる。 仁川空港までの飛行機は毎週一度だけ飛んでいる大韓航空(ボーイング737機)だったが、客数は約30人前後と少ない。以前はこの路線で簡単なおにぎりセットとか、サンドウイッチなど出されていたが、今回はピザ・サンドとフルーツセットだった。機内では黄色い紙の健康状態調査票を配られたが、記入はしたものの、そのまま入国したままで、提出する必要はなかった。 25日にはさる5月8日亡くなった詩人,金芝河氏の49日忌に参加したが、その直前、東大門にある宿舎に近い中区保健所でPCR検査()無料60才以上だからか?)。入国後三日以内に検査を受けるようにと指示されていた。検査場ではQCODEは不要で、韓国民は住民票、私のような外国人は旅券提示で済んだ。検査は綿棒で鼻から採取する方法で、完全防備の職員がブースのなかから、手を伸ばしてきた。緊張していると、もう少し前に来てくださいと言われたので、一歩前にすすみ、左の鼻に綿棒を挿入されて、あっという間に終了した。検査結果は翌日午後、友人の携帯電話にウエッブ発信として「陰性」の結果が送られてきた。PCR検査結果が出るまで、韓国の友人に連絡するのを遠慮したが、実際には行動の自由はあるし、入国後数日間の自家隔離などもない。久しぶりに知人に会おうと夕方6時前後に地下鉄に乗ると満員で、こちらが恐ろしくなるほどの混雑ぶりだ。しかも梅雨のシーズンで豪雨に襲われてずぶ濡れでズボンは翌日になっても乾かなかったほどだ。友人と一緒にいった焼肉屋も満員。 PCR検査後、保健所近くの食堂でスンドウブ(豆腐)定食とマッコリを注文した。スンドウブが8000ウオン。マッコリは二年前には食堂で飲むと3000ウオン程度だったが、今回は5000ウオンに値上がりしていた。別の食堂では焼酎が6000ウオンと大幅に値上がりしていたところもある。ところが保健所近くの食堂ではマッコリ代込みで一万ウオンだった。ハルモニ=おばあさんが一人でやっているためか、本来は4000ウオン以のマッコリが私のような高齢者には適当な値段で出しているようだ。韓国で久しぶりにマッコリをうまそうに飲む姿をみてサービスしてくれたのかもしれない。ところがロッテマートに行き、買い物を入れるためのビニール袋を買うと、なんと750ウオンだ。日本円で75円。日本では大型袋でも5円だから約15倍の値段だ。二年前には4000ウオンだった焼酎が5000ウオンから6000ウオンと値上げしていた。 東大門にあるホテルにチェックインして驚いたのは予約客で満室の状態だったことだ。外人客の姿も明らかに増えてきた。フィンランド航空のバッグを抱えた数人の男性客や東南アジアからの客、韓国人のカップルや家族連れの姿も多い。韓国入りする前に友人との近況を連絡しあうと、「韓国はマスク以外はコロナ前に戻っている」と言っていたが、そのとおりだった。食堂や焼肉屋などは満員で、丸いコンロを囲んで3人、4人の客が「三密」などどこへいったかといった様子である。 友人の事務所近くの刺し身屋にも行ったがで、店内はいっぱいだ。ソシアルデイスタンスはほぼ一メートルもない。左側にタオルを持ち、右手に箸や酒を持つといった感じだ。つまむときや酒を飲むときにはタオルで口元を覆う。相手がしゃべるときにも様子を見ながらタオルで口元を覆うという感じだ。食堂では従業員でもマスクをしていない店も目立ってきた。8日午前の安倍首相の狙撃事件では午後になってから韓国のテレビでも緊急ニュースをするテレビ局が目立った。韓国では安倍首相に対する感情は二分されている。祖父岸信介元首相に対する悪感情が一般的であり、一部の保守層は別にして好感度は低かった。しかし今回のテロ事件では一部を除いて安倍首相に対する弔意を表している。テレビでも各局が特番を組んだり、ホテルでみられるCNNも長時間にわたるニュースを流していた。 韓国政界をみると、5月10日に大統領就任した尹錫悦=ユンソクヨル氏の支持率が急落している。就任後、二か月しかたっていないのに、支持率と不支持率が劇的に逆転している。7月第一週の調査をみると、大統領職務遂行能力に関して好意的なのは37%、否定的なのは49%と大幅に支持率が下落している。韓国マスコミはデッドクロスと表現している。NATO会議に出席しても支持率は上がらなかった。ユン大統領は記者団を前に「世論調査は気にしていない」と発言している。ユン大統領の支持率があがる動きは全くみえない。 逆にキンゴンヒ夫人が個人的な友人をNATO会議に同行していたことがわかり「公私混同」とマスコミに叩かれた。大統領選挙まではユン候補に好意的だったマスコミは一斉にユン大統領を攻撃し始めた。いわゆる「ハニームーン」と呼ばれる三か月もたたないのに、ユン政権はレイムダック化していると評する人々も多い。大統領府と国民の力党の幹部との内紛問題、昨年、30代で党代表となったイジュンソク代表と党幹部や大統領との不和、さらに党内葛藤。イジュンソク代表が数年前に性接待を受けた疑惑をめぐって党倫理委員会が開かれて6か月間の代表権はく奪という処置がきまり、イジュンソク代表は裁判所に不服を訴えて深刻なな内部対立を招いている。こうした内部対立や大統領の行動に対する不満の声がたかまり、その不満を外に目を離れさせるために、ユン政権は文政権の国家情報院長官の徐薫長官と朴智元長官のスキャンダルの追及を始めている。最終的には文在寅元大統領まで狙っているようだが、国民の見る目は厳しくなっている。人事でも議会の同意ができない長官に対しても一方に任命を強行している。候補者のなかには辞退した長官内定者が数名いる。しぶしぶ任命状を受けた女性教育部長官(副総理)は任命式で一言もは野党共に民主党の場合も同じだ。大統領選挙当時、合同非常対策委員長を務めた二十代の女性が民主党候補の敗北を受けて、8月に予定されている党代表選出大会への出馬を宣言したところ、「入党後六か月がすぎないと党代表選挙に立候補できないという内規がある」として放棄するといった事件がおきた。いずれにしろ、韓国政界は与野共に、大統領就任後二か月たらずで混乱の闇のなかに飛び込んだようだ。

wrote by masaki tachikawa


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