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たくさんあるなかからふたつ

暑い暑いと、会う人みんなが口にしています。
ほんとに、眩しくて暑い日々。
毎日、ちびちゃんは帰り道のあがたの森公園を流れる川に入って水遊びをしています。
川の水はひんやりと冷たいので大人も足をつけて。

ところで、毎日何かを選んでいますね、ぼくたちは。着るもの、食べるもの、話すときには言葉を選びます。
意識的に行うこともあれば、無意識に選ぶこともあるでしょう。
日々、当たり前のようにやっているので、楽しさや喜び、といったものを感じなくなっていることがあるのだなあと気がついたのでした。

というのも、先日ちびちゃんとふたり、家の裏を流れる川へ遊びに行ったときのことです。
ぼくたち、水遊びよりも川原の石に夢中になりました。
流れによって削られた丸い石の数々、色も形も様々で見ていると手に取りたくなり、手に取ると、こっちよりそっちのほうがいいかな、いや、あれきれいだな、と選びはじめるのです。

見てパパぁ、とちびちゃんが手にした石を見ると、まあ、すてき。
ぼくはそれを選ばないなあ、とちびちゃんの感覚を目にすることができてとても楽しい。

無数に転がる石の中から、どこかにあるはずのじぶんにとっての魅力的なものを探し、見つけることの高揚感と喜びとで、なかなか帰ることができませんでした。

これって、なにかに似ているなと思っていたのですが、古書店の本棚ですね。
東京で暮らしていた頃は毎日のように古書店を覗いていました。まだ知らない、素敵な本との出会いを求めて。

たくさんのなかからふたつを選んで持ち帰りました。ちびちゃんは7つ。もっとあったけど、これ以上減らせないということで。

川の石というのは不思議なもので、川にあったときは魅力的だったのに、家で見るとさっぱり、というものもあります。まるで、魔法がとけたみたいに。

ちびちゃんの石は7つあったうちの5つ、魔法がとけたようで、その日のうちに、窓からほいほいと庭に投げておりました。

ぼくの選んだふたつは窓辺の棚に並んであります。



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