見出し画像

深呼吸

深海で呼吸ができたら住みたい。
いや毎日じゃなくて休日だけそこに潜っていって、土日はゆっくり食事をして、昼寝する。音楽も違う聞こえ方をするかもしれない。海の底で深呼吸したら自分の中が洗浄されたり、今までと違う成分で満ちていって考え方が変わったりもするかもしれない。不便なことも多いだろう。すぐには移動できないし、光も少ない。でも少なくとも今自分も苦しめているものは、そこには少ないだろう。

でもあくまでそこは一時的な避難場所である。地上での暮らしなしでは生きていけないだろう。海の中に、現代社会と同じシステムをそっくり同じく作りあげるのはずいぶん時間がかかるだろう。

自分のように呼吸の不便がなければ海の中に住みたいと言う物好きな人がたくさんいないと成り立たない。それに大勢の人が集まってしまってはそれこそ地上と同じような悩みが募っていくに違いない。それは別に誰が悪いというのでもなくて、そもそもそういう風に人間が自然が作られているからだ。

それに「ひとりになりたい」とはいうけれど、全ての人がいなくなればいいなんて思っていない。そこまで周りに生かされていることに鈍感ではない。
彩りのためにいろんな人が生まれて一緒に生きている。うまくいってないのは自分の不器用のせいで彩りのせいではない。

こうやって悩みを突き詰めると自分に返ってくる。海だのなんだのと言っているけれど、もし海の底に逃げ場ができたとしても、今度はそこで息苦しくなってくるだろう。
次はもし熱さを感じないならマントルのマグマの中に住みたい。と思ったりするのだろう。
どんどん潜って言っても自分が悩んでいるこれはついてくる。

そうは分かっているが、もし環境が違ってたらなぁと思わずにはいられない。
特に今日みたいに雨の音がして、深海をいつもより近くに感じる日は。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?