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ゆる受験の定義 

そもそも「ゆる受験」とは

2022年2月、下の子が中学受験でした。コロナもあり学校訪問も中々出来ず、本来であれば受験親として色々なネット情報をチェックしたりする立場であった筈です。実際の所は、数年前より新規の情報はあまり要らないとネット情報をチェックすることをやめてしまっていました。上の子の時は、インターエデュから始まり、5chスレッド、ブログ村をチェックを網羅・・というほどではありませんが、中学受験のトレンドが解るぐらいには目を通していました。
しかし、下の子が4年生、すなわち中学受験生と言われる年齢になった頃からチェックをしなくなりました。中学受験に必要な力がどういうもので、そのためにはどうしたら良いかにで解ったからでもありますし、下の子の性格や能力を考えて中堅校受験を決めたからでもあると思います。
そんな私がゆる受験という言葉にかなりの違和感を感じました。
色々な側面を切り取って違和感の元を解消し、ヘビーな中学受験ではなく、
「ライト受験」を提案していきたいと思います。


我が家の通塾時間

周りからかなり「楽な受験」と言われる我が家の通塾時間を切り取って見ます。

のちほど詳しく書きますが、
通塾に関しては

4年生
通塾は算数の週一60分

5年生
通塾は算数の週一100分
学校が行う補習(これはイレギュラー)週2×3コマ

6年生
通塾は算数の週一100分
学校が行う補習(これはイレギュラー)週2×3コマ

夏前よりこれに
国語週1×60分が加わりました。

一般家庭と大きく違うのは学校が行う補習という部分ですが、これは塾と置き換えて考えていただければ良いと思います。

その他、運動系の習い事は最後まで続けました(週1)
コロナで料理教室はなくなってしまったのですが、それがなければそちらも続けていたでしょう(週1)

ここまでの情報を読んだみなさんはこちらを「ゆる受験」と考えますか?

ゆる受験に夢を見ていた方は、6年生1年だけでいいでしょ?多いのではないか?となるのではないではないかと想像します。

でも、おそらく我が家はかなり少ない方だと思います。これまた後で詳しく書きますが、拘束時間以外の家庭学習時間(塾の宿題)まで含めると、一般的な受験生に比べるとかなり少ないです。

では、次に中堅校に合格した下の子の通塾時間にくらべて、御三家に行った上の子の学習時間はどうなのでしょうか?
実は5年生までは、塾の通塾時間はほぼ変わらないです。むしろ理解力が高い分、算数の通塾時間は半分でした。
加算要素は、夏など外部生を受け入れている塾の短期タームで3回ほど入れたのと6年9月から志望校対策を増やしたぐらいです。

つまり、通塾という要素から見ると、
塾滞在時間はあまり重要ではないといえます。

なぜ進学先が大きく違ったのかとなると、もう本人の資質ということになります。上の子が10分で理解できる事を、下の子は30分、下手すると1時間かかることもありました。同じ家庭学習1時間で勧められる問題数が大きな違いとなるのです。身も蓋もない言い方をすれば、同じ時間でも、吸収する能力が高ければ偏差値的に高い学校に行けるとなります。こうなると目標の学校の偏差値が低いから=ゆるくて大丈夫というのがかなり怪しくなります。

(下の子の名誉のため書きますが、彼女は記憶力や理解力が低い子ではありません。文字や記号の世界がちょっとだけ苦手な子だというだけです。動作などの記憶・再現は物凄いです。高い能力を持つ部分が勉強に結びついていないだけです。)

通塾時間を減らす=ゆる受験
とすると痛い目に合いそうです。


定義された「ゆる受験」

受験中に知った「ゆる受験」という言葉
「塾通いは1年だけの"ゆる受験"でもOK」偏差値的におトクな私立中学10校
という、オンラインプレジデントの記事です。
中学受験界では炎上したそうです。

記事を見させて頂いた後、経緯をまとめている方の記事なども見ているのですが、やはり言葉の独り歩きが気になります。


この記事で定義されている「ゆる受験」とは

・通塾期間は1年ぐらい(2年も書かれているが1年で大丈夫を強調されている印象)
・偏差値50の中堅校を狙う
・中学受験偏差値50は中学受験生の真ん中であり、高校偏差値なら70ぐらいに該当する
・習い事はやめない
・4教科ではなく、子供が得意な分野を評価してくれる試験方式があったり、少ない教科数に対応する。
・大学受験にお得な学校を狙う

などなどがゆる受験らしいです。

具体的な校名として
女子校は、塾ソムリエの西村氏は、共立女子、跡見学園、山脇学園。家庭教師の瀬川氏が薦めるのは、三輪田学園、富士見、普連土学園となっております。男子校では、西村氏は聖学院と桐光学園。瀬川氏は、獨協と日本大学豊が出しています。西村氏は共立は1年ではちょっと・・と書かれていますが、それ以外はと但し書きがついています。瀬川氏に関してはその但し書きすらありません。

手段としてが、通塾は大手塾は受け入れてくれないだろう。家庭教師や地元塾を探せ。出る順・自由自在・メモチェ、四科のまとめなど定番教材を勧めています。同じ偏差値帯でも、出題傾向が独特な学校の場合、受験勉強のスタートを数カ月程度前倒ししよう。とあります。

記事が炎上した理由

端的言ってしまえば、全部を満たすのはあまりにも難しいし、盛りすぎの側面が多かったということだと思います。

その1
色々とありますが、中学受験の偏差値50は高校受験の70に相当するというのはいくらなんでも・・というお話です。

数年前になりますが、私のブログでデータを集計したことがあります
この時使用した偏差値表は中学受験・高校受験とも対応している市進のを参考にしています。
中入・高入を数値化は出来ても、判断が難しいのは一貫校の多く特に女子校は高入りが無いことです。そのため、同じ学校で偏差値50の学校が70になる所というのはほとんどありません。(0ではないが極めてレア)
下に一部を抜粋しました。同じ学校で偏差値プラス30になるような所も確かにあります。元々高校が主体の学校で、中学偏差値30台、高校は選抜クラス設けており、コースによっては高い所があるという場合がほとんどです。そもそも偏差値70の学校は高校受験においてはほぼ大学附属で占められおり数もそこまで多くないです。乱暴すぎる数字の強調は批判される素地の一つだったと思います。


その2
おすすめ学校が定義にあっている学校が殆どない。

偏差値50とありますが、当たり前ですが、各塾によって出てくる数値は違います。特に全体の数が大学受験や高校受験に比べて極端に小さい中学受験はちょっとした差で数値が大きく変わります。
記事で取り上げている偏差値50は外部の方でも参照しやすい、四谷大塚のことを言っているのだと思います。このあたりの学校は複数回受験が可能な所が多いので、各回によって偏差値が違います。
(四谷大塚や日能研の偏差値表には、80%偏差値と50%偏差値があります。10人受けて8人が合格しているのが80%偏差値、受けている人の半分が合格している偏差値を50%偏差値と言います。当然80%偏差値のほうが高い数値がでます。今回私が取り上げるのは80%偏差値表から抜粋しています。)

自ら定義をして、さらにおすすめしてきた学校の偏差値はどうだったのでしょうか?

女子校

共立
共立女子(2/1)
入試日 02/01 80偏差値 52 4教科
共立女子(2/2)
入試日 02/02 80偏差値 53 4教科
共立女子(2/3合科型) 
入試日 02/03 80偏差値 54 合科型(国社理)+算数

山脇学園
入試日 02/01 80偏差値 47 4教科
山脇学園(午後算・国)
入試日 02/01 80偏差値 53 1教科
山脇学園(B) 
入試日 02/02 80偏差値 52 2教科
山脇学園(C)
入試日 02/04 80偏差値 49 4教科

跡見学園
入試日 02/01 80偏差値 40 2or4教科
跡見学園(特待1回)
入試日 02/01 80偏差値 48 2教科
跡見学園(2回)
入試日 02/02 80偏差値 40 2or4教科
跡見学園(特待2回) 
入試日 02/02 80偏差値 47 2教科
跡見学園(特待4回)
入試日 02/05 80偏差値 47 2or4教科

三輪田 
三輪田学園(1回AM)
入試日 02/01 80偏差値 41 2or4教科
三輪田学園(1回PM)
入試日 02/01 80偏差値 45 2教科
三輪田学園(2回A)
入試日 02/02 80偏差値 42 2or4教科
三輪田学園(3回)
入試日 02/03 80偏差値 43 2or4教科

富士見
入試日 02/01 80偏差値 49 4教科
富士見(2回)
入試日 02/02 80偏差値 50 4教科
富士見(算数1科)
入試日 02/02 80偏差値 55 算数1教科
富士見(3回)
入試日 02/03 80偏差値 50 4教科

普連土学園(1日午前4科)
入試日 02/01 80偏差値 49 4教科
普連土学園(1日午後算数)
入試日 02/01 80偏差値 57 1教科
普連土学園(2日午後2科)
入試日 02/02 80偏差値 54 2教科
普連土学園(4日午前4科)
入試日 02/04 80偏差値 51 4教科

男子校

聖学院 高入りあり  (偏差値 58)
入試日 02/01 偏差値36  2or4教科
聖学院(アドバンスト)
入試日 02/01 偏差値42  2or4教科
聖学院(2回)
入試日 02/02 偏差値36  2or4教科
聖学院(2回アドバンスト)
入試日 02/02 偏差値40   2or4教科
聖学院(3回アドバンスト)
入試日 02/03 偏差値40   2or4教科その他、英語特別・ものづくり思考力・M型思考力、グローバル思考力などの受験あり

桐光学園(神奈川) (高入りあり 65)
入試日 02/01 80偏差値 47 4教科
桐光学園男子部(2回)
入試日 02/02 80偏差値 48 4教科
桐光学園男子部(3回A)
入試日 02/04 80偏差値 49 4教科

獨協
入試日 02/01 80偏差値 44 4教科
獨協(2回午後)
入試日 02/01 80偏差値 48 2教科
獨協(3回)
入試日 02/02 80偏差値 44 4教科
獨協(4回)
入試日 02/04 80偏差値 44 4教科

日本大学豊山 高入りあり (高校偏差値56 教育開発出版会社)
入試日 02/01 80偏差値 45 4教科
日大豊山(2回) 
入試日 02/02 80偏差値 49 2教科
日大豊山(3回)
入試日 02/03 80偏差値 46 4教科
日大豊山(4回) 
入試日 02/03 80偏差値 48 2教科

1.偏差値50キープの学校は少ないし教科数も減らない
おすすめの学校の中で、全部の回が偏差値50を超えているのは共立だけになります。推奨されている方もここは1年ではちょっと難しいとおっしゃっていました。しかも、こちらは合科型(国理社3教科)+算数という変則的な2教科型の回がありますが実質4教科です。1年で大丈夫と瀬川氏に進められた富士見・普連土も条件的には共立と同じような立ち位置で良いでしょう。この3校に関しては、準備に時間がかかり、教科数を減らすことも出来ないという点で「ゆる受験」のお勧めではなく、一般的な中学受験のお勧め校といえるでしょう。
男子校の桐光学園は女子校以上に条件を満たしているように見えます。
Y50に近い数字を3回とも出しています。高校入り偏差値は65です。
ただこちらも4教科受験校になります。

3.教科を減らす作戦の矛盾
1・2教科受験がある学校を見てみます。
どの学校も見てみると、教科数が減れば減るほど偏差値が上がります。
普連土の算数1教科受験は偏差値57とかなりの高さになります。

当たり前ですが4教科全てができるという子はいません。一見全部できているように見えても、実はここは苦手なんだは、トップ校に合格する子でもあります。なんとか辻褄をあわせて学習してきた中で”得意な教科”で勝負をかけるのが2教科・または1教科受験です。

また教科数が少ない受験校は元々「上位校の滑り止め」という回のことが多いです。例えば山脇学園の算国1教科受験は、それこそ御三家受験後、念の為取っておこうという子が対策なしで受験して取っていってしまうというのも珍しく有りません。学校も解っているので、上から下まで取る学校もありますが、教科を絞れば絞るほど、他の条件が満たせなくなります。

山脇学園も一般的な中学受験のお勧め校として出てくる学校の一つです。手が届くと思われがちで昨年志願者が殺到して中学受験界を震撼させました。今年は山脇学園より更に偏差値帯が下の実践女子が同じように志願者殺到となりました。この状況を見るに、おいしい+ゆる受験のハードルは上がっていると思います。

その他の学校は条件的にあってきますが、風呂敷広げた偏差値ではないのも炎上した素地になるでしょう。

4.塾の選び方などが雑すぎる
塾ソムリエを名乗っている方なのに、塾のアドバイスが非常に雑でした。
大手は受け入れてくれない。地元塾や小中規模・家庭教師を探せ
有名受験問題集のこの部分をやれで、これで受かるんだ~~と思わせている点が、塾の選びコツを考え、合格に必要な力をつける教材を選び、それを徹底させる方式で中堅校以上を取ってきた身からするとが非常に引っかかりました。

批判を受けた理由は風呂敷を広げすぎてイメージ先行だったからだと思います。

ゆる受験ではなくライト受験は薦める

こうしてみると定義された「ゆる受験」という全部美味しい所を持っていく・・そんな魔法のような受験はなかなか難しいと言えます。

個人的には「ゆる受験」には懐疑的ですが、中学受験の主流となっている、重量級の勉強量に対して、軽量化してライトな中学受験は推奨したいです。

手前味噌ですが、我が家の下の子受験は、志望校のラインを予め引くことにより、開始期間は通常と同じですが、やる量の軽減を図り、習い事や睡眠時間等は一切削らず中堅校に合格を貰うことが出来ました。
ただ、彼女たちは塾に行く時間は短かったが勉強時間が短かったわけではありません。通塾時間(+移動時間)は軽量化しました。結果大量の塾の宿題は無かったので、宿題に時間を取られるませんでした。代わりに領域を絞った学習に専念したしました。
ただ、軽量化するためにはどこをどうするかをきちんとご家庭が判断しないと難しいです。単純な時間や勉強量削減では難しいでしょう。


続く

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