見出し画像

今週のTop Tier VCニュース!#12(2022/4/17週)

先週(#11)に引き続き、今週もEarly-stageのスタートアップ投資が多かったため、それらを中心にピックアップしてみました。投資環境のパートで触れていますが2022年は今のところIPO数やLater-stage投資が2021年比で減少傾向ですが、VCによるFund Raiseの勢いは継続され、Dry Powderは積み上がっているので今後の展開に要注目です。

今週の投資先ハイライト

InsurTechの"Loop Health"がSeries Bで$25Mを調達

主な投資家

  • General Catalyst

  • Khosla Ventures / Vinod Khosla

  • Elevation Capital

概要

Loop Healthは、General CatalystとElevation Capitalが共同リードするSeries Bで$25Mを調達した。このラウンドには、シリコンバレーを代表する投資家であるVinod KhoslaとKhosla Ventures、そして新たな投資家としてOptum Venturesも参加しています。今回のラウンドは、Loop HealthがSeries Aで$12Mを調達してからわずか6カ月後に行われ、Loop Healthを運営するInvoq Healthcare India Pvt Ltdのこれまでの資金調達総額は$40Mに達した。

医療・保険技術プラットフォームのLoop Healthは2018年に設立され、インド国内の300社で、13万人以上の会員に団体医療保険と福利厚生を提供しています。

NoBroker, InCred, Vaibhav Global & SKF Indiaなどの企業をクライアントに持つこのInsurTechのLoop Healthは、22年度に力強い成長を記録し、最近では前月比30%のペースで成長しており、前会計年度に比べ、収益が5倍に跳ね上がったと説明しています。

Loop Healthは、社内に医療チームを持つ国内唯一の保険ブローカーであり、これにより予防医療を直接提供し、加入者が糖尿病、高血圧、慢性閉塞性肺疾患、精神衛生問題などの慢性疾患を管理できるようにしています。

Loop Healthは、CAGR(年平均成長率)25%で成長している$10Bの医療保険市場に賭けています。


■ "Wheelhouse"がLyricからスピンアウトし$16Mを調達

主な投資家

  • New Enterprise Associates (NEA)

概要
Wheelhouseは、親会社のLyricからスピンアウトし、NEAとHighgate Venturesのリードで$16Mの資金を調達した。

Wheelhouseのプラットフォームは、宿泊施設(年間売上高1兆ドル)と住宅用不動産(265兆ドルの資産クラス)の融合において、新しいブランドとビジネスを構築する支援をしています。Wheelhouseの顧客ベースは、一戸建てからリゾート、集合住宅、ブティックホテルまで幅広い物件を管理しており、いずれも、広々とした家具付きでアメニティの充実した空間で、短期・中期(1~100日以上)の宿泊施設を求める増大する旅行者層のニーズに応えています。

今回の資金調達は、Wheelhouseのプレゼンスを42カ国の主要市場から180カ国以上のあらゆる市場へと拡大するデータ&ソフトウェアイニシアティブ「Wheelhouse Worldwide」の立ち上げに続くニュースです。

2021年に、Wheelhouseは150%の成長を遂げましたが、その一因は、DARM(Data and Revenue Management)において、彼らの主要ターゲット顧客である大規模な短期レンタル事業者の投票により「イノベーション・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた成功にあります。


AgriTechの"Eeki Foods"がSeries Aで$6.5Mを調達

主な投資家

  • General Catalyst

  • Better Capital

概要
Eeki Foodsは、General Catalystがリードし、Avaana CapitalとBetter Capitalやエンジェル投資家も参加したSeries Aで$6.5M(約50億ルピー)の資金を調達した。

インドのAgriTechスタートアップでEeki Foodsを運営するEeki automations Pvt Ltdは2018年に設立され、特許出願中の植物成長システムを通じて、残留物のないインドの主食野菜を栽培すると主張しています。

Eeki Foodsの技術により、農場の気候をコントロールすることができ、季節変動に影響されることなく、一年中野菜を栽培することができるようになりました。

同社は2022年2月にもAvaana Capitalがリードし、既存投資家のBetter CapitalとIcebreaker VCが参加したSeedラウンドで$2M(約1400億ルピー)の資金を調達しました。


リサイクルロボットで気候変動に立ち向かう"Glacier"が$4.5Mを調達

主な投資家

  • New Enterprise Associates (NEA)

概要
Glacierは、ステルスで立ち上げ、New Enterprise Associates(NEA)がリードし、元GE CEOのJeff Immelt、気候投資家で元気候政策立案者のSierra Peterson、元Uber CPO Manik Guptaなど、産業、サステナビリティ、テクノロジー分野の著名なリーダーが参加したSeedラウンドで$4.5Mの資金を調達しました。

Glacierは、最先端のAIとロボットを組み合わせた業界最先端のリサイクルロボットを製造しており、30種類以上の品目を仕分けしています。$116B規模の米国のリサイクル業界は、インフラの老朽化と労働力の減少による原料供給不足を克服し、急増するリサイクル原料の需要に対応するためのイノベーションを早急に求めています。Glacier社の技術は、リサイクル率を高めることで、気候変動との戦いにも貢献します。国連は今月初め、人類は地球温暖化を抑制するために「今しかない」と警告したばかりで、これはかつてないほど重大なことです。

残念ながら、アメリカではリサイクル品の半分が埋め立てられています。これは、リサイクル施設が人手による選別に大きく依存しているためで、採用難により大規模な人手不足が続いています。多くの施設では、50%もの人手不足が続き、本格的な危機的状況に陥っています。

そんな中、同社は世界初の低価格・高性能な仕分けロボットを開発し、この苦境を打開しようとしています。独自の技術革新により、他のロボットと同等以上の性能を持ちながら、コストを最大60%削減することに成功しました。また、Glacier社のロボットは同業他社の半分以下の大きさで、設置に必要な設備改修も最小限です。多くのリサイクルロボットの投資回収期間は、ハードウェアと改修費用を合わせても10年程度です。これに対し、Glacier社のロボットはわずか1年で投資回収が可能です。

2019年の創業以来、Glacierは複数のパイロットを成功させ、4月上旬には、カリフォルニア州の大規模なリサイクル施設に、同社初の商用ロボットを設置しました。このロボットは、2つのコンベアベルトで8つの対象物を同時に仕分けるという、他のロボットでは実現できない非常に複雑な作業を行っています。現在、さらに多くのロボットの導入が決定しており、需要の急増に対応するため、急拡大を計画しています。


投資環境

5つのチャートでみる2022Q1米国VC動向

  • 先週の記事(#11)で紹介した「2022Q1のPitchBook-NVCA Venture Monitor」から、米国ベンチャー市場の状況を示す5つの重要なトレンドをチャートで紹介(詳細は記事タイトルのリンク先参照)

  1. 2022Q1に米国スタートアップは約71Bの資金をVCから調達

  2. 2021年は初めて資金調達をしたスタートアップの数は過去のどの年よりも約33%高い結果となる記録的な年でだったが、1,000件以上のディールが成立した2022Q1は、昨年からの勢いを保ち、2021年以前のどの四半期よりも多くの企業が初の機関投資家向け資金調達をおこなった

  3. 2022Q1の上場件数は大幅に後退

  4. 2022Q1のベンチャーキャピタルの資金調達は2021年の勢いを保つ(2021年中に資金調達に合意してた可能性あり)

  5. New YorkとSan Franciscoで米国全体の54%の資金調達を占める


欧州ベンチャーキャピタルの2022年Q1最新動向

  • 欧州ベンチャーキャピタルは、世界的な不透明感にもかかわらず2022年に向け好調な滑り出し

  • 欧州のCエコシステムは2022Q1も勢いを保ち、€27.5Bが投資されたが、継続的な不確実性により、2022年の残りは厳しい1年になる可能性あり

  • Late-stageVCは総投資額の71.6%を占めた

  • VCの資金調達額では堅調なスタートを切ったものの、ファンド数は大きく減少した

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?