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この度・・・

明日、2023年11月29日、OSAJIの事業は日東電化工業株式会社から分社化され株式会社OSAJIとなり、丸紅株式会社及び群馬銀行グループの投資会社 ぐんま地域共創パートナーズ(GRASP)が運営するファンドと資本提携することとなりました。

一部メディアでも報道され、すでにご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、改めて、僕自身の言葉としてご報告したく思った次第です。

キレイ事に聞こえてしまうかもしれませんが、僕らは、とにかくモノを作ることが好きな集団で、日々どんなものを作ったら喜んでもらえるかを考え、形にし、届け、喜びの声を発信してくださる人がいて、それを受け取り、喜ぶ。純粋にその循環を続けていたいだけなのです。

去年の夏、群馬銀行さんを通じて丸紅さんから「OSAJIの事業を共に成長させたい」とご連絡をいただきました。正直なところ最初は「ありえない」と思いました。理由はシンプルに、僕らが大事にしている循環が壊れる、乗っ取られる、そういう考えでした。そこから、丸紅さん、GRASPさんと直接お話しをする場を持ち、疑心ベースで色々と失礼な質問を繰り返しましたが、繰り返せば繰り返すほど、ただただ誠実で、嘘を感じることもなく、僕らが大切にしているものを言い当てて頂きました。「マジョリティは日東電化工業であり、IPOなどを目指すわけではなく、次世代事業として茂田さんがやりたいことを支えたい。共に100年続く、人に善い本質的なビジネスを想像したい。」という言葉に心が揺れました。

それでもまだ、決断できずにいた今年の正月の夜、突然に母から連絡があり、父が倒れている、すぐに来てくれと。急いで駆けつけた時、父はまだ意識がありすぐに救急車で病院に搬送されたものの、救急治療室でどんどん病状が悪化し、命が危うい状況となりました。脳出血でした。一晩、病院で父の手術に立ち会い、時々外に出てると強風が吹いていて、不思議と、悲しさや、不安な感情よりも「親父は今、何を考え、どこに向かおうとしているのだろう」と考えてしまい、これまで父と話した話しを思い出せる限りに思い出していました。

僕が高校生の頃、学校が早く終わり家にいると、まだ明るいうちに父が帰ってきたことがありました。「どうしたの?」と聞くと、ダイニングの椅子に座って「不渡りくらった・・・」と。取引先が倒産して数千万の手形が不良債権になってしまったのでした。会社が潰れるような事態にはなりませんでしたが、父は呆然としてました。そして「俺はいつも崖っぷちギリギリを歩いてる、ギリギリを歩いているんだけど、不思議と崖には落ちない。なんでこんなしんどいことをしてるんだろうと時々思う。でも、求めてくれる人がいる、自分を必要としてくれる人がいる。だからやめられないし、結局楽しんでるのかも思ってしまう。」と言って笑いました。

僕も日東電化工業に入って、父とはいっぱい衝突をしました。実家の敷居は二度とまたがないとキレたこともありました。でも、確かに父にしかできないことがあって、心のどこかで、どんな時もずっと尊敬していたんだと思います。

救急車で運ばれた夜、一命は取り止めて、ICUに面会に行った時、意識のない父に今、自分が迫られている選択を聞いてみました。やるべきなのか、やめるべきなのか。当然答えは返ってこないのだけど、父だったらどうするかの答えが見えた気がしました。父は会社の社員を大事にし、生活を守り、経営が厳しい時は、まず自分の給与を削る人でした。だから、「社員が幸せになれるのならやる」きっと父の答えはそうだろうと思いました。

僕にはもともと何もなかった。いろんなことに興味が湧いてはやり、中途半端にやめ、何もなかった。化粧品だって、学校で学んだわけでも、メーカーで修行したわけでもない、事業としてうまくいく保証なんて何もない。それでも、一緒にやろうと言ってくれる仲間がいて、僕を信じてくれた。そういう人達のおかげで今がある。僕はいわゆる奇才なんて世の中にいくらでもいると思っている。でも、奇才を信じて支えてくれる人は限られている。そんな千載一遇で出会えた仲間に感謝しかないし、今こうしていられるのは自分の力だなんて1ミリも思えない。だから大切にすることは、選択肢でなく必然なのです。

丸紅さんやGRASPさんにこのことを伝えました。「うちのスタッフは今までのスタンスを変えなければいけないことはありませんか?今まで以上に楽しくやれますか?今まで以上に豊かになれますか?」と。答えは「私達は茂田さんが叶えたい未来に投資するんです。ですから、茂田さんの望まない未来を求めることはありません」と。言葉にすれば言葉でしかないのですが、その時の皆さんの目と、そこに流れた空気は確かなものだと感じました。僕は決断したのです。

僕が叶えたい未来は、僕らの会社が世界一楽しい会社になること。そして、人と比較する美しさではなく、多様な個性を尊重し合う社会を作ること。この考えは僕が上限を決めることではない。求められれば、求められるほど広めるべきことだと思います。そんな未来に向けて、丸紅さんとGRASPさんと明日新しい船に乗って旅立ちます。

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