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 物心つく頃からプライドは高かった。何でもできると思っていたし心の底で自分が特別な人間か何かだと思っていた。でも、いざコミュニティの中に入ると、俺は引っ込み思案で根暗で口下手で人見知り。その上、繊細で傷つきやすく、終いには不器用で。そんな状態であるからコミュニティになじむのに時間はかかるし人に嫌われる傷つけられるのが怖くて中々自分の思ったことだって言えないし話しかけることもできない。恋愛においても、嫌われるのが怖くて馬鹿にされるのが怖くて。話しかけられない、距離を縮められない、思ったことを伝えられない、勇気がない。勿論、自分に自信もないから人の顔色を窺って愛想笑いしてばかり。自分の発言がどう思われるのか、人からどう思われてるかばかり気にして今日も1日が終わる。おどおどしてきょろきょろしてそのくせ自信があるふりをして見栄を張って虚勢を張る。

 そんな悲惨な状況のくせに、俺は自分が何でもできる、人よりも優れている、特別な人間だと思っている。周りも俺のことを特別な人間だと思っていると思い込んでいるから、ぞんざいな扱いをされるとそのギャップに苦しみ結果、人が怖くなる。皆が見ている前で、話せなくなって、こいつ大丈夫か?なんて思われたら人生お終いだって、思っている。周りが期待しているって思っているんだろう、周りが俺に注目していると思ってるんだろう。そんな期待に応える自分じゃなきゃダメだって思っているだろう。同時にお前らとは俺は違うと思っているんだろう。

 1人じゃ気づけないことだった。そんな風に思っていることは、後輩さえ、見抜いていた。みんなからみても、俺をそう感じる瞬間が今まで何度もあっただろう。そんな俺でも、俺が助けを求めれば助けてくれるのだろう。俺はもっと人に寛容になってもいいし、周りの人のことを信じていいはずだ、人を好きになってもいいんだよ。信頼してもいいんだよ。たとえ、年上であろうと目上の人であろうと。もっとダメな自分も変な自分も適当な自分も暗い自分も卑屈な自分も全部さらけ出していいんだ。素の俺を好きになってくれる人たちだよ。きっと。愛想笑いで人に気を遣うのは本当の俺じゃないだろう。

 傷つけてくる人はもう周りにいない、いじめてくる人もいない、嫌な人もいない。世の中にはたくさんいるだろう。過去にもいたかもしれない。それでも、今、俺の周りにはいない。あの子みたいに人を好きになって人を信じることができれば、もっと俺は人に会おうと思えるのだろう。どんな自分でも愛してくれる人たちがいるから。


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