自給自足カレッジ35
昨日は、日本政府の債務残高と日銀の国債保有がどこまで行くのか?、というテーマで書きましたが、今日は、それに続いて日銀の債務超過問題について書いてみたいと思います。
今日使った写真は昨年12月11日に東洋経済オンラインにアップされた野口悠紀雄一橋大学名誉教授の記事から取ってきたもので、この投稿もこの記事を中心にして書いてみたいと思います。
野口先生は、日銀の債務超過問題をこの記事で取り上げていて、記事の中では、昨年9月末の時点での日銀保有の国債の簿価が545兆5211億円で、時価が544兆6462億円で、差額の8749億円だけ含み損が発生したことについて取り上げています。また、去年の3月末時点では4兆3734億円の含み益だったことからすると、半年間で5兆円以上の損を日銀は実質的に被った形になっています。これは10年もの国債の利回りが3月の−0.094%から9月末には+0.25%まで上昇したことによって被った損失です。この記事では、日銀の純資産は5兆円で、日銀保有の国債の評価損が5兆円以上となると、日銀は実質的に債務超過となるとしています。また、この記事の中で日銀の雨宮副総裁の12月2日での参院予算委員会での質問で、イールドカーブ全体が上方に1%上がれば、日銀の保有国債の評価損が28.6兆円になると発言している、と書いています。つまり、逆算すると長期金利が0.425%になれば日銀は実質的に債務超過になると副総裁が言ったことと同じになると示唆しています。
なんと、この記事が書かれた後、12月19〜21日の日銀の金融政策決定会合で、市場予測に反して、日銀自ら長期金利の誘導水準の変動許容範囲をそれまでの±0.25%から±0.5%まで電撃的に広げ、驚いた市場は、円相場を137円台から132円台まで一気に5円も円高にし、長期金利も+0.25%から+0.5%まで一気に上がりました。
先程書いたように長期金利の水準が0.425%以上になると実質的に日銀は債務超過ということになります。前日銀総裁の黒田さんは、日銀は制度上簿価会計で行けるので問題はないとしていますが、普通の銀行であれば、今話題のシリコンバレーバンク同様取り付け騒ぎになる状況です。シリコンバレー銀行も金利上昇で保有債権の評価損が嵩んだ事から実損を出して、資本がその為に毀損したので資金調達をしようとしましたが失敗。これが元で取り付け騒ぎになりました。
今の日銀の場合は、簿価制度という隠れ蓑に隠れて問題を先延ばししているだけで、実質的には同じ状況です。日本人の悪い癖で、昨日書いた政府の債務問題、年金制度問題等と同じく、臭いものには蓋をして問題解決を図ろうとせずに先延ばしし、結局長期的にはより大きな問題に膨れ上がる。
世界中を旅して様々な国をつぶさに調べて長年投資をしてきた大投資家=ジム•ロジャーズ氏は日本贔屓で有名ですが、下記のように語っています。
「改めて、私は日本の子供達に伝えたい。『あなたが10歳だったら日本から逃げるか、自動小銃を使えるようにしろ。』と。生きているうちに社会の混乱から逃げられないからだ。」
自給自足カレッジでは、今後日本に迫り来る大きな破綻リスクへの備えとして、自給自足を学ぶことの重要性について啓蒙活動をしています。
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小柴正浩
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