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大学院(修士)を修了しました。そして就職しました。

いまさらではありますが、2022年の3月に東京大学大学院 学際情報学府 生物統計情報学コースを修了しました。

毎年のように年末に書いていたnoteも今年は修論やらなんやらに終われ、書いていなかったので少し振り返りを書いておこうと思います。

2021年の振り返りというには2022年もすでに5か月が過ぎてしまったので、修士2年の振り返りになっています。

2020年の年末に書いたnoteを見に行くと最後にこんなことが書いてありました。

まだまだ学ぶべきことが多いので、2021年もしばらくは「守」の期間が続きそうです。ただ2021年は、インプットするだけではなくアウトプットする場も積極的に設けていければと思っています。

また現時点では就職をせずに博士課程に進学することは考えていないので、2021年は学生最後の年として悔いがないように過ごせればと思います。

うん、まあまあできたんじゃないかなーと思います(笑)
まだまだ学ぶべきことが多いというのは今も変わらずですが、アウトプットする場を少しは作れたように思います。

具体的に何をしてたかでいえば、修論を書いたり、論文を書いたり、統計に関する記事を書いたりしました(どれも2021年では収まらず、2022年にはみでましたが)。

論文を書いたと言ってもあまり伝わらないらしいのですが、
・他の先生方と一緒に研究の内容を英語で10枚くらいにまとめる
・論文を載せている雑誌(ジャーナル)に提出(投稿)する
・他の研究者に内容を確認(査読)してもらう
・他の研究者からの指摘に対応する
・編集者に価値があると判断(アクセプト)されれば掲載される
という流れでした。

特定保健指導の対象者(メタボリックになりそうな40歳以上の方)の指導時にICTシステムを従来の指導に加えて導入すると指導の効果が高まるという内容です。

初めての論文でアクセプトされたことはかなり嬉しいですがこれは臨床系の論文なので、これからは統計の論文も書いていきたいとも思っています。

論文の他にも統計に関する記事(ブログ)も書きはじめました。noteだとMarkdownでかけないのでZennという別のサービスを利用してます。もし統計学、特にRを利用した解析に関心があれば覗いてみてください。

あとは専門っぽいことをTwiiterで呟くようにしました。例えばこれは直近に書いた記事を紹介したときのツイートです。モバイル医療、統計たまにその他のことをつぶやいてます。

あと学生もひとまず終えたのでそのことにも少しだけ触れておくと、4月からは慶應義塾大学病院で生物統計家としてお仕事をしています。

暫くは(もしかすると永遠に)勉強をしながら、仕事をしていくことになるので可能な範囲でこれからもブログにまとめたり、研究ができればそれを論文という形で世の中に出していきたいと思っています。

文書以外にも、事業として社会に実装していくことも重要だと思っているので、慶應の内外問わず社会実装に向けて自分にできることがあれば積極的に携わっていければとも思います。

このあたりの話は2022年の目標というよりはもう少し長い単位で考えていくようなことだと思っています。多少の修正やズレはあるでしょうが、現時点の基本方針としてこんなことを考えながら日々を積み重ねていければよいと感じています。


ざっくりとやったことベースで振り返れば以上になりますが、学生最後の年は就活をした年でもあるので、そのことについても文章にしておこうと思います。

まず改めて事実としては、僕は2022年4月1日から慶應義塾大学病院 臨床研究推進センター 生物統計部門で研究員として勤務しています。

「どうして慶應義塾大学病院に就職したの?」というのに答えるのはなかなか大変です。

少し考えるだけでも以下の理由をすべて答えようとするとかなりの量になってしまいます。

・生物統計家として働こうと思った理由
・民間企業や行政ではなくアカデミアを選んだ理由
・アカデミアのなかで慶應を選んだ理由

ということで、個人の振り返りとしては一番上の「生物統計家として働こうと思った理由」を書こうと思います。

※もし僕と似たような大学や大学院に通われている方で、2つ目、3つ目について知りたい方がいれば個別にご連絡ください。

就活に限らずですが、しばらく前から1つの大きなテーマとして ”よさ” というものを考えています。より狭く言えば、”よさ”をどう判断していくのかを考えています。経済学でいう効用が概念としては似てると思ってます(経済学は素人なので全然違ったらすみません)。

"よさ" を個人レベルで直感的に捉えられるものであれば問題ありませんが、直感的に捉えにくいものも多いと感じています。それに各個人で判断できないのであれば、周りに合わせるという戦略もきっとうまくいかないはずです。

では費用が効用を反映しているかと言えば、そんなこともないと思います。医療の標準治療と代替え治療は良い例です。高額であれば高い効用が得られるかと言えば、個人の例ではありうるかもしれませんが集団で平均したらそんなことはないはずです。

"よさ" の判断がつかないことをそのまま放置した世界を想像したときに、僕はあんまりいい世界だとは思えませんでした。

※ 専門家であれば判断可能だが非専門家では判断不可能であるような格差が存在する世界ではなくて、世界中で判断可能な人が誰もいないような世界を想定しています。

プロダクトや施策と効果検証は両輪であるべきだと思います。その上で効果が高いものに経済的価値がつくのが理想です。

最近ではEBMも含めて”エビデンス”という言葉をよく耳にするようになりましたが、まさにそれです。結果に対する信頼性は評価プロセスにおける信頼性と直結しますが、そのプロセスを丁寧に作れる人になりたいから僕は生物統計家になりました。

※ "エビデンス" は価値判断を含まず、ある基準に照らし合わせた時の手段に対する評価として捉えています。そのため多様な価値観とエビデンスに基づく意志決定は共存します。逆に言えば、エビデンスに基づく決定が唯一解にはならないです。

僕は応用統計を専門にしましたが、個人・集団を問わず他の方法で判断できるのであれば、それはよいことだと思います。(統計学には必ず不確実性が内包されるし、向き不向きもあるので。)

ただ現時点で自分が貢献できそうでそれなりに強力な方法が統計だと僕は思ったので、その選択をしただけです。

効果の検証はあくまで両輪の片側で、世の中にはものを作る人もいないといけません。正直、ぼくは新規事業、事業開発も好きです。事業会社で働くことを考えた時期もあります。(行政はどうしても合うイメージが湧きませんでした。)

でも周りの優秀な子がそういう世界に進むのをみて、自分が行く必要はないと思ったのでやめました。

アカデミアで何かを成し遂げたいというよりは、社会実装していく上で必要な片側を担えるようになりたいと思っています。そのためにも、まずは一人前の生物統計家を目指してやっていこうと思います。

これからもよろしくお願いします。

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