大学バスケ観戦記 vol.1 ~関東大学女子バスケットボール選手権~
今シーズンから大学バスケについて書いていこうと思う。
今までも大学バスケを見る機会はあったが、昨シーズンからはより注目をするようになった。
きっかけは白鴎大学女子バスケットボール部の取材だ。
そして、白鴎大学男子バスケットボール部の脇真大選手や同じ白鴎大学男子バスケットボール部出身で現在は佐賀バルーナーズで活躍する角田太輝選手にもインタビューをさせてもらった。
その他、大学バスケ関連の発信をさせてもらっている。
そんな中、4月末から5月8日まで行われた関東大学トーナメント(男女)を観戦に行った。
観戦した試合は男子が5月7日、女子が5月5日と8日とごく一部であり、女子の方が多く試合を観戦したため、今回は女子をメインに印象と注目した選手をピックアップしていきたいと思う。
大学バスケの全体的傾向
大学バスケの全体的傾向としては、レベルが上がっていると感じる。またNBAやBリーグ、オリンピックやWリーグの影響からかピックアンドロールの使用頻度が男女とも高くなったように思う。
しかし、正直に言えば男女ともそのピックアンドロールの質は決して高くないため、不要なターンオーバーが増えている場面もある。
もちろんどういう側面から見るのか。
それによっても話は変わってくる。ピックアンドロールにトライしている段階であるチームや選手も多くトライアンドエラーの最中でもあるので、その見極めはもちろん大事だ。
その中で男子は勢いと強気なアタックに魅力のある専修が、女子はシュート力と経験値の高い東京医療がトーナメントを制した。優勝に値するチームであったことはもちろん、自分達の良さを出し切ることの大切さを改めて感じた。
男女とも悔しい準優勝となった白鴎はどちらもバスケットボールとしてすごく整理されていた、整理しようとしている印象があった。ただ、それをまだ表現しきれないところが勝負を分けた印象だ。伸び代は間違いない。男女ともリーグ、インカレが楽しみな存在だ。
3位決定戦で戦った男子の日本大学、筑波大学。特に筑波大学はまだチームとして噛み合わずに終わってしまった印象が強い。
女子は早稲田大学と筑波大学。この試合は現地で見たが、早稲田が序盤を一気に駆け抜けたが、筑波がうまくゲームをコントロールし勝利した。
日体大(女子)が最後に見せたこれから必要なこと
先ほども書いたが、大学バスケはピックアンドロールが増えている。それ自体はポジティブなことであり、それに必要なハンドリング能力なども合わせて向上している。
日体大(女子)の#3小野寺選手や白鴎(女子)の#6桐原選手などはそのスキルフルな能力を存分に発揮したシーンが目立った。
男子はすでにBリーグでプレーしている選手もいるため、そこで違いを作れる選手が複数いる。
しかし、ピックアンドロールだけを切り取っても2vs2のコンビプレーであり、バスケットボールが5vs5の戦いであることを考えれば、それ以外の選手がどこにポジションを置き、どのように連動するかは非常に大切なスキルである。
その中で、今大会で1番成長を見せたのは日体大(女子)だったように思う。
非常にスキルフルな#3小野寺選手、#13安江選手を擁して、オンボールのところが注目されるが、その彼女たちをより輝かせるためにはそれ以外のオフボールの選手がより効果的に働くことが大切である。
その中で最終日に1番美しいバスケをした(決してバスケは美しさを競うものではない前提で)のは日体だったと個人的に思った。
それを作り出したのが日体大の#22平田選手だ。
平田選手は大会最終日の順位決定戦で今大会、初めてスタメンで起用された。正直、それまで数試合を現地、配信で見ても印象はそこまで強くなかったが、この試合はすごくインパクトを残した。
それがスペーシングだ。
スペーシングが大切と誰もがわかっていながらも、それを試合の中で適切に行い続け、かつ他の選手とボールの動きに合わせてそれを常に取り直すのは非常に難しい。
大学年代ではオフボール側の2人、ないし3人が非常に中途半端な位置を取ってしまったりすることが多い。
しかし、彼女はしっかりとコーナーで待つことができ、ボールマンに合わせてダイアゴナルにカットすることができる。
いいスペースといいタイミングを作り出してくれる選手だった。
この観点は男子にも正直まだまだ足りない部分であるが、女子もハンドリング能力の長けた選手が増えたことによって、より重要視されるようになったと思う。
そういう視点で現在大学女子でオフボールでいい動き、違い作れる選手の代表格は白鴎大学#12松永選手だと思う。今大会は怪我で出遅れた上に、共栄戦でも同じ部分を痛めたことで出番が少なかったが、彼女が今後、白鴎大学の日本一に必要な存在であることが証明された大会でもあった。
このオフボールの部分は男女の全てのチームにとって伸び代だと感じている。
1年生も加わり、これからよりチームとしての動きが作らせていく中で、どう進化していくのかは非常に注目していきたい。
女子注目選手
ここからは限られた試合であるが、今大会を通じて見つけた注目選手をピックアップしていく。
ちなみにすでに注目選手は大会前に白鴎大学の根本ACとのYouTube対談で話しているので、ここでは基本的にそこで言及した以外の選手で今大会を通して見つけた注目選手を上げていく。
日体大#13 安江沙碧梨選手
彼女はYouTubeでも取り上げているが、取り上げなくてはいけない選手なので別枠でお願いしたい。笑
日体大の今シーズンのキャプテンでありエースであるが、今大会、最初に彼女を見た拓殖大学戦からすごく俯瞰して周りを見ている印象を感じた。いい意味で余裕を感じ、必要な場面でチームを締める言葉をかける。
リーダーの風格とでもいうべきだろうか。
また、そのスキルからのアタックはもちろんながら、今までよりもよく周りが見ている印象がある。逆に見えすぎてしまい、「自分で行ってほしい!」という場面もあったが、どう成長していくのかが楽しみすぎる選手であり、個人的には現時点での大学No.1プレイヤーだと思っている。
日体大#22平田莉奈選手
今大会の後には新人戦がある。その中で1、2年生にも注目してみたが、その世代の個人的最注目が平田選手だ。何よりも見る力に長けている。ディフェンスのハンドワーク、フットワークも素晴らしいのだが、ただハードに行うのではなく、相手を見てアプローチしている印象があり、オフボールのディンフェスでもできた穴をしっかりと埋める。それはオフェンスでも同じで先ほどの書いたスペーシングとカッティングのうまさも見る力だと思う。アタックに対して、いいタイミング動いた時に要求し、かつ常に見てもらえる存在になるためにはショットを決め切ることが大切になるが、大会最終日に12得点したことも考えると、リーグ、インカレではかなり鍵を握る選手になると思うし、新人戦では自身でどこまでクリエイトできるのかも注目してみたい。
國學院大学#31工藤有月
近年、力をつけている1部以外のチームは実は注目選手が多いと思う。その中で國學院大学の#31工藤選手をピックアップしたい。何よりも彼女の魅力はしなやかな身体の使い方だ。線が細い印象があるが、それ以上にそれをいなす動きと綺麗な身のこなしはよくぞここまでそのままできてくれたと感動するレベルだ。笑
そういう意味では前述した日体大の安江選手のような雰囲気があり、試合経験を積めば、一気に伸びるチャンスのある選手だ。
拓殖大学#11木村真唯選手
日体大と対戦して序盤で敗戦となってしまったが、変わらずインサイドに強みのある拓殖をコントロールする木村選手は圧巻だった。姉である木村亜美(デンソーアイリス)を彷彿とさせる動きとそれ以上に感じるパスセンスや動きだしの嗅覚の良さは、つい「うまい!」と言ってしまった。笑
昨シーズンはあまり注目してこなかったので、今シーズンは追いかけていきたい選手の1人だ。
白鴎大学#10館山萌菜
白鴎大学は昨シーズンのキャプテンだった山下選手(富士通レッドウェーブ)が卒業したことで、どんなラインナップになるのかに注目した。その中で4番で出場しつつ、よりアウトサイドめなプレーを期待される館山選手の成長に感動するシーンが多々あった。アウトサイドのオンボールのディンフェスがうまくなり、ドライブ後のステップのパターンも増えていた。ただチーム全体で見るとボールの落ち着きどころの1つになれるかどうかが今後のポイントの1つになりそうな印象。どちらにせよ、期待しかない選手であることは間違いない。彼女も2年生なので、新人戦でどんなプレー、存在感を見せるかは非常に楽しみだ。
筑波大学#0山田葵、#13田中万衣羽
この2人はあえて一緒に取り上げたい。筑波のガードといえば#2池田選手がいるが、この大会で筑波を見た中で、この2人のガードがいることで、よりゲームにさまざまな色味が加わると感じた。3位決定戦の早稲田戦も試合を決めたのは3Qの池田選手の存在が大きいが、それまでにこの2選手がゲームをうまく持ち直したところはすごく評価できるし、2人の存在がより池田選手との違いを作るのは怖さを感じる。インサイドも大型ルーキーの#14朝比奈あずさ選手が加入したり、今シーズン注目のチームであり、選手になることは間違いない。
簡単にだが、関東大学女子バスケットボールトーナメントの印象と注目選手を振り返った。
見れてないからここに載せれなかったチーム、選手もたくさんいる。今後、男子も含めて新人戦やリーグ戦でもっと多くの選手を知って、大学バスケにも注目していきたい。
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