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入れ替え戦、拓殖vs国士舘を終えて

僕はよく思うことがある。

あー、もうバスケに関わるの辞めたいな。

そんな僕がバスケに関わり続けているのはお金とか名誉とかではなく、(そもそも誇るほどのお金も名誉も貰ったことないけど)出会いだったと間違いなく言える。

今日はそんな出会いについて書きたいと思う。

11月10日
関東大学リーグ入れ替え戦
拓殖大学vs国士舘大学第3戦

試合終了と共に僕はすぐそこの代々木第二体育館の天井を見つめながら、拍手をした。

拓殖大学は素晴らしいゲームだった。
国士舘大学は力を出しきれなかったゲームだった。

両方への気持ちが自分の中で交差した。

勝った拓殖大学は池内先生がダブドリの夜明け前に登場いただいてからのご縁。
練習も見させてもらって、池内先生も
「いつ来てもいいよ」
と言ってくれた。

今シーズン、都大会は観に行ったもののなかなかリーグ戦は予定が合わず、大学の試合は今回が初めての観戦。

僕がより拓殖大学を身近に感じたのは、6月のPower Of NOSHIROだった。

拓殖には多くの能代工業OBがいる。
その1人が4年生の須藤陸くん。
そして、能代工業OBではないが、同じく4年のジョフユセフもPower Of NOSHIROに参加していた。

ミニバスクリニックから高校生との試合で、彼らの一生懸命さが僕には伝わった。

リーグ戦の間も陸くんとユセフを見に行けてないな……というのがずっとどこかにあった。

一方で、国士舘大学。
おそらく国士舘大学は僕が大学バスケ界の中で1番取材をさせてもらっている大学だ。

やんちゃ軍団とよく言われる国士舘だが、大学生らしい彼らはいつも取材に行くと、
「また取材にきてくださいね!」
と声をかけてくれた。

本当に素晴らしい選手がたくさんいる国士舘。
1部でも通用するだろうキャプテンでガードの鍋田くん。そのシュート力は大学バスケでも屈指だと思う。
先日、取材で初めて話した佐藤くんはまだまだ荒削りだが、野心を持ち、見るたびに成長を遂げていた。

そんな2チームが入れ替え戦で対戦するとは……。
個人的には避けて欲しかったカードだった。

結果は2勝1敗で拓殖大学が勝利した。

残り2分ぐらいのタイムアウトだっただろうか。
国士舘大学4年でこの試合はベンチサポートに回っていた梶原くんが堪えずに涙を流していた。

恥ずかしながら、僕もそれを観た瞬間に我慢しきれなかった。

それぞれにいろんな想いがあるだろう。
順風満帆だったとは言えない。

ただそれは拓殖大学も同じで、ここでは終われない意地がある。

そして、ブザーがなった。

今まで何度も思ったけれど、バスケットボールは時に残酷だ。

引き分け、同点のないスポーツは必ず決着がつく。
頑張ったこそ、喜びは倍増するし、頑張ったからこそ、悔しさは倍増する。

そして、この試合に国士舘のキャプテンの鍋田くんが出場できなかった。どうやら前日の試合で膝を負傷したようだ。
「うそだろ」
と思った。

以前話した時に国士舘の松島コーチが言っていたことを思い出した。
「最後は4年生ですからね。鍋田が変わったことは本当に大きい。キャプテンになりましたね。表情が変わりましたもん」

その時の松島コーチの表情は珍しく嬉しそうだった。きっと松島コーチも悔しかったと思う。鍋田くんの怪我が軽いものあって欲しいと願いながら、彼は引きずる足を見せないように黙々とシューティングとアップを続け、チームを鼓舞していた。

しっかりとキャプテンになった彼にどうしてもそんなにも試練を与えるのかな……。

そんな彼の代わりにコートに立ったのが、3年の大迫くん。
チームのムードメーカーであり、おそらくこの状況でかなり緊張もしている彼は、僕が今まで見たことのない大迫亮太朗だった。
きっと鍋田くんへの想いが人一倍強い彼は、昇格以上になんとか次に繋げるために必死だったんだと思う。

いつも自己評価を下げてしまう彼だが、ポテンシャル、キャラクターは本当に素晴らしい。もっといいプレーヤーになれることをこの場所でちゃんと証明できたからこそ、今回一つ壁を破れたんじゃないだろうか。

佐藤くんのチームを引っ張る姿も本当に成長したと思う。身体能力以上に彼の熱い気持ちは間違いなく今後の彼を成長させてくれるに違いない。

話を拓殖大学に移せば、3年で能代工業OBである大石くんはこの第3戦をしっかりと支配した。シュート、アシストと試合を追うごとにどんどん彼の存在感が増していくゲームだった。

そして、須藤陸くんの要所での3ポイントは本当にいぶし銀の活躍だった。決めるべきところで決めるべき選手が決める。
勝敗に関していうのであれば、彼のシュートがこのゲームの大きな分かれ目だったように思う。

最後に、立場や本人の気持ち考えずにわがままを……

このコートで鍋田隆征が見たかった。

何よりこのコートに一番立ちたかったのは本人なことはわかっている。それと同時にコートの外にいても、鍋田隆征がキャプテンとしてチームを引っ張る姿が嬉しかった。

彼にはこれからも素晴らしいバスケットボールキャリアが訪れることを願うし、B.LEAGUEで彼をまた取材できる日が来てほしいなと心から思う。

この1年間、そこまで多く大学バスケの現場には行けなかったけれど、
僕がバスケットボールに関わり続ける理由の1つには間違いなく彼らとの出会いあがある。

日々と葛藤し、仲間とぶつかりあい、必死にバスケットボールに取り組むその姿を微力ながら、応援したい。

きっとこれから社会に出た時に、今まで以上に努力が必要な場面が何度もやってくる。そんな時に、僕にとっては君たちが頑張る理由の一つだったように、彼らもまたそんな誰かとバスケットボールを通じて出会うかもしれない。
心から感謝しているし、いつかそんな気持ちがわかってくれる日が来ればいいなと思っている。

まだまだこれから可能性ある未来をどんどん切り拓いていってください。
そして、国士舘の皆さん。
国士舘大学の松島コーチとは本当にこの1年色々なことを話しました。
松島コーチが厳しくもどれだけみんなのことを思っていたのか。
彼自身もたくさんの葛藤があったと思う。
だからこそ、学んだことをしっかりとこれからに繋げてくれたら嬉しいなと思います。

大学バスケでみんなに出会えたことに、心から感謝しています。

ありがとう。


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