売れっ子になるリスク。
"ヒビロックさんは売れっ子になりたいですか?"
ふと誰かに聞かれた。オレはしばらく言葉に詰まった...。
結論から言うとなりたくない。
理由は一つ、シンプルに自分の好きなことが出来なくなるから。
音楽と関係ない要素
売れっ子ということは、裏を返せば音楽と関係ないところで足を引っ張られるかもしれない。実際自分の見てきたバンド(GLAYとかスピッツなど...)がそうだった。
・例えば硬派な路線で行きたいのに、アイドル的な振る舞いを強要された90年代半ばのJIROちゃん...
・例えばベストは出さないと頑な意思を見せつつもレコード会社により強制的にリリースされ戸惑った99年のスピッツ...(詳しくは "マイアミ・ショック" を参照)
...など、売れっ子になってくると自由に音楽ができる保証なんてないんだろうとオレは常々思ってる。
売れっ子になるということは、何かプロジェクトを立てる際にいくつもの団体が自分と共に動く。そしてそれは純粋に音楽のみを楽しむ者としては邪道に感じることもある。
GLAYで例えれば、99年の20万人ライブ。アレを成功した暁には、"じゃあ次は25万人目指そう!" あるいはアルバムが200万売り上がったら、"次は300万かなぁ?" としょうもない事を本気で考える輩もいる。
売れっ子になるということは、こういうリスクもあるのではないかと、ドキュメンタリーや舞台裏のインタビューを見て色々学んできた。
それこそ自分たちのことなのに、自分たちと関係ないところで物事が動くことにやっぱり納得できないという思いがどうしても出てくるはず。
なので純粋に何かしらバズって売れっ子ミュージシャンにどうしてもなりたい!!って気持ちは、正直に言おう。無い。
承認欲求のカタマリ
だけど人より注目されたいという気持ちはある。これはなんだろうな、まぁ性格的なのもそうなんだろう。
あとは単純に人前で下向いたままの演奏だけは失礼だし辞めようって心に誓ったのだ。
ミスを恐れて下向く気持ちはわかる。だけど完璧でノーミスな演奏が人の心に刺さるとも限らない。
ミスったら恥ずかしいという気持ちよりも、むしろ自信持って前向いて演奏して、お客さんに凄いと言って欲しいという気持ちが最終的に打ち勝つのだ。
ただそれを実現するにはもちろん金銭的にも精神的にも莫大なリスクを得ると思う。
何かを得るには何かを犠牲にしなければならない、等価交換でこの世は成り立っているから。(某ハガレンより)
今後どうなるかは全くわかんないが、とにかく前に進むしかない。自信は見るも無惨に打ち砕かれたが、その分伸び代は増えた。頑張ろう。
ヒビロック