見出し画像

Volver a empezar / 黄昏のビギン

また戻ってきてしまった。
スペインに住むのは3年ぶり、駐在は3回目、通算10年目になる。
語学研修でやってきたスペインに夢中になった20代の1回目、会社の事情や中年クライシスでやたらと大変だった40代の2回目に比べ、さすがに今回は落ち着いている。
日本とスペインの文化が違うことよりは、今般転職をして、前にいた会社と今の会社の社風やしきたりが違っていることのほうを新鮮に受け止めている。業界は全く違うものの、業界内での立ち位置や社内の雰囲気は似ているような気もしている。

前回の日本帰国時(14年ぶり)は、最後の仕事がリストラだったことに加えて、コロナ禍の規制がギリギリ残っている状態で、送別会もほとんどなく、ひっそりと帰国した。
今思えば、それからずっと心残りがあったのだと思う。
自分とスペインの縁が切れるのであれば、もっと悔いなく別れたかったし、できればやり直したい。とずっと思っていた。だから、スペインの銀行口座も携帯電話もいつかその日が来るため、そのまま維持していた。
日本に戻って2年、スペインでの求人を目にした時、2週間ほど意識して放っておいたものの、結局応募してしまった。
自分は重い人間なので、以前駐在した国のことを過去婚約した相手くらいに思っている。これまで駐在した国の中でも、スペインは初めての駐在国で、特別すぎて、もう好きなのか嫌いなのかもよくわからなくなってしまった。
色々偶然が重なって、こうしてスペインでやり直せる(Volver a empezar)のは私の運命、神の御業だと受け止めている。
我ながら重いね!
なので、戻ってきても「本来亡くなるはずの人間が生き残って、もう一度やり直せる機会をいただいた」といった感触があり、あんまりうわついた気持ちにならないのだった。この1ヶ月半でビーチにもフェスにも行ったけど。

まあ、そんな感じで、自分の過去やこれからを綴っていきたいと思っています。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?