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義勇兵は犯罪者なのか?

ウクライナで戦う義勇兵に粘着する人々

ウクライナで日本人義勇兵のドブレ氏が戦死された当ニュースがありました。詳しい最期は明かされませんが、勇敢に戦われてのことだと思います。

他にも勇敢に戦われてる日本人ウクライナ義勇兵の人達がいますが、
そんな人達に粘着する人々がいます。

彼らの言うことは本当なんでしょうか?

問題になりそうな法律を調べてみた

私戦予備罪・私戦陰謀罪(刑法93条)

まずこの法が気になりますが、予備、陰謀が処罰されるので実際戦っている人は処罰の対象にはならないようです

本罪は目的犯であるため、「外国に対して私的に戦闘行為をする目的」で、その予備・陰謀をした者が処罰される[10]。「私的に戦闘行為をする」と
・・・・
1907年の法改正で1908年10月1日に施行された刑法から私戦罪規定の刑罰が除外された)[13][14]。なお、自首した者は、その刑は必要的に免除される[15]

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E4%BA%A4%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E7%BD%AA

憲法9条

恥ずかしくて書きたくないのですが、本当にこんなこと言う人いるんですよ。憲法は私人には直接は適用されないので関係ありません。

刑法3条

この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯した日本国民に適用する。

第108条(現住建造物等放火)及び第109条第1項(非現住建造物等放火)の罪、これらの規定の例により処断すべき罪並びにこれらの罪の未遂罪
第119条(現住建造物等浸害)の罪
第159条から第161条まで(私文書偽造等、虚偽診断書等作成、偽造私文書等行使)及び前条第五号に規定する電磁的記録以外の電磁的記録に係る第161条の2の罪
中略
第199条(殺人)の罪及びその未遂罪
第204条(傷害)及び第205条(傷害致死)の罪
中略
第218条(保護責任者遺棄等)の罪及び同条の罪に係る第219条(遺棄等致死傷)の罪
第220条(逮捕及び監禁)及び第221条(逮捕等致死傷)の罪
第224条から第228条まで(未成年者略取及び誘拐、営利目的等略取及び誘拐、身の代金目的略取等、所在国外移送目的略取及び誘拐、人身売買、被略取者等所在国外移送、被略取者引渡し等、未遂罪)の罪
中略
第235条から第236条まで(窃盗、不動産侵奪、強盗)、第238条から第240条まで(事後強盗、昏こん酔強盗、強盗致死傷)、第241条第1項及び第3項(強盗・強制性交等及び同致死)並びに第243条(未遂罪)の罪
第246条から第250条まで(詐欺、電子計算機使用詐欺、背任、準詐欺、恐喝、未遂罪)の罪
中略
第256条第2項(盗品譲受け等)の罪

https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%91%E6%B3%95%E7%AC%AC3%E6%9D%A1#:~:text=%E5%B1%9E%E4%BA%BA%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E3%81%AB%E6%9C%8D,%E7%8A%AF%E7%BD%AA%E3%82%92%E5%AE%9A%E3%82%81%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%82

刑法3条については、戦闘行為と被る内容が多いですね。
通常の法律は、国内で犯された犯罪に対しては行為者の国籍を問わず自国の刑法を適用するという属地主義ですが、刑法3条に記載の重罪についてはどの国で犯そうと日本人であれば日本国が処罰します(属人主義)。
ただし海外の犯罪は主権の範囲外なので当事国の了承なしに直接警官を送り込むなどはできません。例えばカルロス・ゴーンは国際指名手配をかけてレバノンにいるのがわかっていますが捕まえられてませんよね。

日本では兵士が敵兵を射殺すると殺人罪になるの?

国会答弁を探すとこんなものがありました。

自衛隊員が職務遂行上で他国軍兵士を殺害した場合においても殺人罪に問われない根拠に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
中略
我が国に対する武力攻撃が発生した場合に、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第七十六条第一項第一号の規定により防衛出動を命ぜられた自衛隊が同法第八十八条の規定に基づき我が国を防衛するために行う武力行使については刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十五条の規定の適用がある。

ふむふむ。刑法35条ですか。刑法35条を調べると

条文
(正当行為)
第35条
法令又は正当な業務による行為は、罰しない。

解説
本条は、法令行為及び正当業務行為について、これをw:正当行為として罰しないものと定めており、このような行為については違法性が阻却されるものと理解されている。法令行為としては、刑務官が死刑を執行する行為(殺人罪の構成要件に該当する)、正当業務行為としては、ボクシング選手が試合で相手を殴る行為(暴行罪や傷害罪の構成要件に該当する)等が例としてあげられる。

https://ja.wikibooks.org/wiki/%E5%88%91%E6%B3%95%E7%AC%AC35%E6%9D%A1

なるほど 兵士が敵兵を撃つのは正当行為です。当たり前ですね。義勇兵もそうですよね。

ウクライナ義勇兵の国際法上の扱いについて

防衛研によると次の通りです

中略
第 3 条約で規定された戦闘員となり得る者の要件と解されている。
中略
正規の軍隊の構成員で、抑留国が承認していない政府又は当局に忠誠を誓った者(4 条 A(3))
中略
戦闘員となり得る者の国際法上の基本要件は、ハーグ陸戦規則から第 1 追加議定書に至るまで紛争当事者の軍隊の構成員であることとされているが、軍隊構成員の要件として国籍に関するものは無い
すなわち、紛争当事国の国民であることや、交戦団体の構成員であることは、ハーグ陸戦規則、第 3 条約、第1 追加議定書のいずれにおいても軍隊構成員の要件としていない。また、紛争当事者が外国人を自らの軍隊の構成員とすることを禁止する国際法上の規則は無く、自国民が紛争当事者の軍隊の構成員となるのを防止する国家の義務も国際法上存在しない。
以下略

http://www.nids.mod.go.jp/publication/commentary/pdf/commentary234.pdf

つまり国際法上、義勇兵は正規の戦闘員ですね。

日本人が海外で戦闘して殺人罪に問われた判例はあるのか?

例えば、第二次大戦後、日本兵が戦った例があります。ざっと調べただけでも

主な残留日本兵一覧(ウィキペディアより
ベトナム独立
・中原光信(陸軍少尉、ベトナム独立戦争志願、クァンガイ陸軍士官学校教官。1950年代に帰国[39]。日越貿易会会長)
・谷本喜久男(陸軍少尉、陸軍中野学校出身。ベトナム独立戦争志願、クァンガイ陸軍士官学校教官。1954年帰国)

中国共産党軍として
・林弥一郎(陸軍少佐、東北民主連軍航空学校で中国共産党空軍創立に寄与。日中友好会会長。1956年帰国)
・日向勝(陸軍少尉、中国共産党軍将校として国共内戦参加。参謀、大隊長、砲兵学校教官等。1958年帰国)

日本兵として(グアム)
・横井庄一(陸軍軍曹、1972年までグアム島に潜伏)

日本兵として(フィリピン)
・小野田寛郎(陸軍少尉、陸軍中野学校出身。1974年までフィリピンルバング島で任務遂行、フィリピンの警察軍が発表した被害は死者30人)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AE%8B%E7%95%99%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%85%B5

インドネシアの独立運動の将官として 黒岩通氏(仮名)

台湾の国民党軍として 根本中将

台湾の国民党軍として 白団の将校団

ですが、日本に帰国されても誰も訴追されていません。

日本兵として戦後も戦って、しかもフィリピン現地に大損害をあたえた小野田少尉については

この時に交わされた外交文書によれば、日比両政府による極秘交渉の中で小野田ら元日本兵により多数の住民が殺傷されたことが問題視され、フィリピンの世論を納得させるためにも何らかの対応が必要とされたという。フィリピンに対する戦後賠償自体は1956年の日比賠償協定によって解決済みとされていたが、小野田によるフィリピン民間人殺傷と略奪のほとんどは終戦以降に発生したものであり、反日世論が高まることへの懸念から、日本政府はフィリピン側に対し「見舞金」という形で3億円を拠出する方針を決定した

当時の金額で三億円(今の価値で6億円くらい)をフィリピンに払ったにもかかわらず小野田少尉はなんら訴追されることはありませんでした。

結論に変わる私見

私には法律の知識がないのでなんともいえないのですが。
・戦後、国外の戦闘に参加して帰国した日本人はいたが、訴追されていないこと。
・ウクライナの義勇兵は国際法上の戦闘員であること。
・刑法が適用されたとしても35条により正当な業務の行為と考えられること。
以上から違法性が問われ訴追される可能性は非常に低いと思います。

同じ日本人としては義勇兵の方々の戦いを誇りに思います。戦死されたドブレ氏の事は英雄として胸に刻みたいと思います。
今ウクライナで戦われてる方は何卒ご無事で勝利をつかんでください。


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