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土浦と潮来を結んだ高速船

昨日書いたこの話の続き

1984年に土浦市や地元の船会社等が中心となって第三セクターの霞ヶ浦ジェットライン㈱というのが設立された。スーパージェットかすみと名付けられたこの船はFRP製、全長28m・最大速力35kn(ノット)・巡航速力33kn(時速約60km)、土浦ー潮来を約50分、運賃2,800円で1985年3月に運航開始したが、科学万博終了後急激に客足が途絶えて赤字になってしまい、結局1年足らずで休止してしまった。

その後、1989年に所要60分・運賃を2,000円に下げて運航再開したが長くは続かず、バブルが弾けた1994年に多額の負債を抱えて廃航となってしまった。

赤線が当時の航路(再現したもの)

うまくいかなかった原因は何か?万博が開かれていた時は県や国などの後押しもあり、万博に行った後に潮来へ…という一定の流れができていたのだが、土浦は常磐線や常磐道、潮来は成田線→鹿島線や東関東自動車道(注:当時は大栄ICまでしか開通していなかった)と、東京から見た場合動線が全く違うのである。そして地元の人も水戸ならまだしも、行政区分の関係上土浦まで行き来する事がほとんど無く、あっても車で行った方が早いと考える人が多かった。

更に潮来への観光というとメインは6月を中心に行われるあやめ祭りだったり、8月初旬に行われる祇園祭などがあるものの、通年観光できる施設が無かった事もあって、この船を使ってまで行くという考えが浸透しなかったのも大きかったと思われる。

廃航後、しばらくは土浦ー潮来を行く船は無かったが、2000年代になって6月のみの季節運航として復活した。現在はその復活運航も行われていないが、今年になって土浦の㈱ラクスマリーナが募集するツアーのような形で復活している。なおこちらは自転車も積み込める仕様になっている。今年の運航は本日で終了したが、来年以降もこの方式に期待したい。

参考としたリンク
水郷汽船史
定期船ブログ
かすみがうらネット

【参考】潮来港に停泊中の船舶。奥に停泊中の船が土浦から来たホワイトアイリスと思われる

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