食べられログを考える 前編

目次
1章 飲食業界
2章 飲食店のビジネス構造 

1章 飲食業界
外食業界規模は30億円 (『2018年版 外食産業マーケティング総覧』矢野経済) ※一応食という中では、外食以外に、中食(持ち帰り・総菜)、内食(自炊)が存在しており、外食30%強、中食10%強、内食50%強というくらいの比率で推移している

飲食業界は特に競争が激しく、市場規模は拡大し続けているが、店舗数は年々減少。生き残りは「10年後5%」「2年後50%」「5年後40%」と言われるほど
・飲食業界は 参入企業間の競合が激化 しているため、ブランド力や食材調達力などで優位なチェーンに需要が集約する傾向
・一方、個人経営の単独店では、 経営不振や後継者不足などにより閉店するケースも相次ぐ

 プレイヤーをざっくりいうと、チェーン、有名レストラン、その他個人店で分けられる
・チェーン:単一ブランドしか持たない企業と、複数のブランドを持つ企業と共に大手が存在
・有名飲食店:単一店舗しかもたないところと、店舗展開しているところが存在。最近は、有名店でも資本家がお金を入れて、裏で経営が同じという場合もよく見られる
・ その他個人店:地域の個人飲食店

主要企業紹介 (なんとなく事業や会社の規模のイメージを持ってもらえれば)
・チェーン
ゼンショー
2021年3月期 売上5,950億円、営業利益120億円
2020年3月期 売上6,304億円、営業利益209億円
https://www.zensho.co.jp/jp/ir/resource/pdf/39.4Q.pdf
すき家、なか卯、COCO’S、Big Boy、華屋与兵衛などを運営 

マクドナルド
2020年12月期 売上2,883億円、営業利益312億円
2019年12月期 売上2,817億円、営業利益280億円
https://ircms.irstreet.com/contents/data_file.php?template=1546&brand=74&data=298370&filename=pdf_file.pdf
マクドナルドを運営 

すかいらーく
2020年12月期 売上2,884億円、営業利益-99億円
2019年12月期 売上3,753億円、営業利益-47億円
https://ssl4.eir-parts.net/doc/3197/yuho_pdf/S100L2SH/00.pdf
ガスト、バーミヤン、ジョナサン、藍屋などを運営 

FOOD & LIFE COMPANIES (旧スシローグローバルホールディングス)
2020年12月期 売上2,408億円、営業利益229億円
2019年12月期 売上2,049億円、営業利益120億円
「スシロー」「京樽」「三崎丸」「杉玉」などを展開する

トリドール
2021年3月期 売上1,347億円、営業利益億円
2020年3月期 売上1,564億円、営業利益43億円
https://pdf.irpocket.com/C3397/ZhsL/OHok/GeUo.pdf
丸亀製麺を運営。最近は海外でも伸びてたはず 

グローバルダイニング
2020年12月期 売上56億円、営業利益-11億円
2019年12月期 売上90億円、営業利益0.4億円
https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/ednr/20210329S100L273/
ラボエム、ゼスト、モンスーンカフェ、権八、などのブランドを運営。緊急事態宣言下にも関わらず夜も運営したことで有名

有名店・系列
フォーシーズ
ロブションの運営母体
他にも「ピザーラ」、「クアアイナ」、「TO THE HERBS」、「串かつでんがな」などの有名チェーン店も展開


ミシュラン星をもつ鮨店の「由う」@六本木、系列の「鮨結う 翼」@恵比寿、他にも「佐がわ」@銀座などと、高級すし屋を展開

鳥しき系
鳥しきは目黒にあるミシュラン一つ星の焼き鳥で、多くの有名店の対象を輩出
「鳥かど」@目黒、「鳥おか」@六本木、「鳥とみ」@三軒茶屋などがある。ミシュラン一つ星の「おみ乃」@押上も出身
一方で、鳥しきの大将も鳥よしという有名店の出身

力の源カンパニー
2021年3月 売上165億円、営業利益-10億円
2020年3月 売上290億円、営業利益7億円
「一風堂」、「五行」などのブランドを運営
日本150店舗、海外130店舗と海外にも進出

グロービートジャパン
「ラーメン花月嵐」ブランドを運営
http://www.globeat.jp/company/index.html
その他個人店

飲食業界におけるトレンド
・コロナ禍で宅配・持ち帰りが流行
 - コロナにおいて外食が影響を受けた分、宅配・持ち帰りが以前より拡大
 - 実は世界規模で見るとホームデリバリー市場は伸びており、「Uber Eats」といった海外のビジネスの日本流入もあり日本国内でも流行
 - 裏側としては、飲食店と共に、包装メーカーなども使いやすい容器を開発したり、製麺会社が伸びにくい麺を開発したりなどと、業界を跨いで取り組みが進んだことも後押しした

・Web予約の増加
 - コロナにより、動画サービスやECといったwebチャネルが強まったことと関係してか、webでの予約サービスは拡大している様子。予約サービスを提供しているTabel Checkがデータとして出している(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000068.000023564.html
 - 予約サービスは、店側の顧客管理・予約管理の負担軽減や支払管理の機能も有しているため、特に個人でやっている規模の小さい有名店においては重宝されている

 脇の業界
・今回は割愛するが、飲食業界の移り変わりについては、食材、食品製造、小売、人材、不動産あたりも大きく関連してくるため、モノによってはそれらの業界についても詳しくなることが必要である

2章 飲食店のビジネス構造

・収益の原単位
- 1日2万円(1,000円×20人)×20日営業=売上40万円、原価30%(12万円)、人件費40%(16万円)、家賃30%(12万円)でおくと、これで利益0円
- 短期的に水道光熱費・バイト雇う、長期的には設備投資も考えなければならず、非常に運営は難しい
-  断面でみると、集客増・単価上げ・原価低減・人件費削減・家賃削減のいずれを、いかに行うかがポイントになってくる
-  一方、推移でみると、1日における昼・夜、週における平日・週末、月における給料日、年における年末年始・長期休暇や食材のシーズンなど、需要の増減が起きるため、それらをどう刈り取りまた過剰なとは平準化していくかが求められたりしてくる

・運営におけるポイント
- 顧客獲得:まず出店地域が非常に最重要。需要の規模と消費者の移動コストが変わるというかそれがほぼ決まる。変なところに店を出すと移動コストが高くなり質の向上や値下げが必要となってしまう。質が良く、地域で有名となれば、マーケティングをすれば移動コストを払ってでも行きたいという人は出てくる
- 単価上げ:これは、競合設定とそれに対抗したサービス品質にしつつ、価格を見直せばよい。一方で、競合がいないorサービス品質が伴わない値上げ・クロスセルは長続きしない
- 原価低減:ここはより良いものを安くということで、卸と良い関係を築くことが重要で、グループや系列だとやはり強い。基本的には抜本的に原価を下げる(安く購買する)ことは難しく、オペレーションの確立によるミスの低下や、需給調整による廃棄ロスを抑えることが有効。尚、小さいところでも有名店は産地まで顔を出し、ブランド支援・共同での商品開発などを行うことでよい仕入れを行うというのもあるが限定的な話。
- 人件費削減:オペレーションの確立(レシピの確立、従業員の教育、プロセスの徹底的な標準化)が重要。料理・接客・空間づくりの質も上がるし、人件費も下げられる
- 需給の調整:需要がある程度多くなり、混雑して空間の質が下がったり・オペレーションの質が下がったりする場合は、クーポンなどで実質値下げをしたり、逆に値段を上げたりすることで需要の調整を行ったり、予約制にして需要を読みやすくしたりする

第3章に続く

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