令和2年司法試験再現答案 民法

【構成段階で考えたこと】
・設問1
複数の主張(法律構成)ということで,40%という割合から,およそ2つだろうと考えた。さらに問いを確認し,事実関係をざっと読み,契約不適合による代金減額請求がまず浮かんだ。その上で,債権譲渡が絡んでいるため,468条1項のことが聞かれていると思った。事実関係からして,Bの追完の催告等が,AによるBへの譲渡通知の後だったため,代金減額請求の主張は468条1項で封じられる流れだ,と思った。
もう1つの構成はいくつか浮かび悩んだが,Bが乙建物に住み続ける前提だと,契約の解除は違う,と思いいたる。その後,事実4でAと近隣住民の間で同様のトラブルがあったとの記述から,錯誤や詐欺も浮かんだが,同様の理由で排除。さらに,支払額を少なくしたいというBの意向を前提に検討し,相殺の主張に思い至る。そこで自働債権を検討したところ,前記の事実4の内容から709条の損害賠償請求との相殺かと一瞬思ったが,契約①に基づく主張であることが前提なので,結局415条1項を選択。事実4は,同条同項但書の帰責事由で検討することに決める。
 その上で,Cへの債権譲渡との関係では,469条の話だろうとすぐに思い至る。1項か2項か迷った。契約不適合に基づく損害賠償請求の取得時期は,う=ん分からない。今回は代金減額相当分だと思われたこと,代金減額請求との平仄からたぶん1項では認められないのではと推論。その流れで2項を検討しようと思い至る。まず,469条2項柱書但書にはあたらないと思われたので,検討不要と思った。1号か2号か。確信は持てなかったが,各号のたてつけからして1号を検討し,何となく同号で足りる考えた。
・設問2
 小問(1)の囲繞地通行権は,個人的に予想していたので,解答筋はぱっと浮かんだ。a部分は,認められる。c部分を別で問うのはなぜか考えたあげく,本件の事実関係からして,囲繞地通行権の範囲を判断する基準時的な問題なのではないかと思い至る。この論点は,考えたことがなかったが,適当に趣旨を考えて地役権を巡る利害対立を表現できればよいはずだと思った。
 小問(2)は,もっと意味が分からなかった。とりあえず,設問の誘導から検討事項をピックアップし,三者間視点,検討のポイントを順番通りに並べて構成の枠を作る。そして,BD双方の主張を考えてみるが,浮かばない。とりあえず,毎月2万円の支払義務の位置づけで,無償か有償かで対立させる。解除の趣旨に関しては,正直,最後までどう書くか決まらず対立点はないことにした。とにかく基本的な知識をもとに書くこと,何となく趣旨をでっちあげ,整合する結論さえ出せればよいと考えた。
・設問3
 設問2で時間を取られたので,設問3はとにかく時間がなかった。請求は契約に基づく請求,FEが夫婦関係であるという留意事項があることをヒントに検討。Fの無権代理行為,ここで日常家事代理権も思いつく。およそ日常家事ではない。110条の表見代理,趣旨類推の論点に行きつく。およそ正当な理由なし。ここまでは,芋づる式。
 その上で,Eの死亡。Fの相続放棄。GはEの姉で889条1項2号で相続人。そうすると,Gの単独相続。Gは,E本人の地位を相続して追認拒絶。
【反省点】
・設問3の部分が最終的に骨格だけしか示せず,事実をほとんど拾えずに終了。構成段階でうまくバランスまで気を配れず。しかも35%という割合であることから,設問1を書き過ぎていることが明白。
・設問3の追認拒絶の後の,信義則の検討を落とした。Gが契約の場に同席していた事実を見落としていた。最判平成6年の後見人の追認拒絶の事案と比較して書く問題だったのかもしれない。
【備考】
・8頁までにはわたっておらず,7頁以内に収まってました。


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