令和2年司法試験再現答案 刑法

【構成段階で考えたこと】
設問1
・平成18年?か19年の司法試験に似ていると感じた。ただ、今回は、そのときとは異なり、詐欺と恐喝が別々の段階にあったのではなく、混在しているような事案だった。そのため、判例も踏まえて、両者の区別をどのように考えるのかという点も問われているはずだと思った。
・設問での対立点をどこに位置づけるか迷った。2つの位置づけが可能であると思ったから。1つは、書かれざる構成要件としての財産上の損害の要件の部分で、形式的個別財産説か(純粋な)実質的個別財産説での説明。もう1つは、違法性の議論で、実質的な違法性がある部分とない部分とで対立させることができると考えた。最終的には、両方書いた。
設問2
・設問形式が今まで見たことないものだった。
・とりあえず、3つ、殺人未遂罪を導く論拠になる説明の仕方を、構成要件要素の中から考えていった。思いついたのは、実行行為、因果関係、故意の大きく3つ。
・その中で、直観的に、事案が行為の危険性を考えているように見受けられたので、実行行為性で2つのカテゴリーを用意し、それと故意の3つで構成した。
・実行行為性の1つは、計画説を前提に、いわゆる複数行為があるため、実行の着手論に位置づけて説明した。もう1つは、行為の危険性論で、具体的危険説に従った説明を試みた。
設問3
・最初は、3つくらいかと高を括っていたが、よくよく分析するとめちゃくちゃ書くことが多いことに気づく。我ながら愚の骨頂である。
・とにかく、拾えるところを拾えるだけひろう戦略で構成。できる限り、構成要件を漏らさないことと、三段論法を徹底した。
・強盗殺人罪に、設問2での検討を踏まえた話(実行の着手論)があると思った。クロロホルムの判断枠組みでとりあえず書こうと思った。けれども、書ききれなかった。紙幅と時間ともにゲームセット。
【反省点】
・実質的途中答案。
・事実7を読み落として,時計の窃盗罪(235条)に気づかず終わった。
・設問2で,理由を書き過ぎた。三段論法を意識しすぎた。
・設問3の強盗殺人罪で,骨格さえ示しきれなかった(因果関係と故意を検討できず,すべての構成要件で何らか論述を示すことすらできなかった)。設問3の主戦場であるとは分かっていたが,設問1が膨らみすぎて後半で焦り,うまくまとめきれなかった。

刑法も、得意科目であったこと、クロロホルムの判断枠組みをかなりブラッシュアップさせていただけに、書ききれなかったのが悔しい。刑事訴訟法で挽回できたはず。


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