体に本当に大切なのは?

旧ユーゴスラビアナショナルスキーチーム時代に味わった苦い経験がありました。天候にも恵まれ、シーズン前のトレーニングも予定通りうまく行き監督もメディアインタビューに開幕が楽しみといったことを話していたのですが開幕すると予想に反し全く結果が出ません、まして今まで以上の惨敗といった結果に我々首脳陣は『俺たち、このまま行ったらシーズン中に途中解任だな』と行った話が出る始末です。どうして何故?あれだけシーズン前の練習量もこなせたのに何が悪いのか?と言ったことが頭を巡らせたままクリスマス休暇を迎えチーム内には重い空気が漂ったまま新しい年を迎えました。

もしかして教え過ぎていないか

新年明け早めに日本から戻り最初のミーティングでヘッドコーチが最初に言った言葉です。確かにトレーニングもうまく行き予定通りの仕上がりできてはいたのですがどうも彼にはしっくりきていない事がありました。あるスタッフが選手たちが滑りのホームを気にして少し固く見えと言った発言をしたところ 実はヘッドもそこがきなっていたようで 『Aren't we teaching too much?』我は教え過ぎてはいないか?と言い出したのです。さらに彼は我々が理想とする感覚を教え過ぎ 彼らがどう感じたかはあまり聞いていないことを指摘、つまり選手本来の滑りではなく我々が理想と思った滑りを選手が一生懸命受け入れようとし結果ではないのか?と言う自己満足に対する反省の弁を語り出したのです。多少の硬さは感じていましたがそこそこいい感じできていたので『行けるだろう』と思っていた我々がどうもとんでもないミスをしていた結果が出た様です。

本来の自分を取り戻した調整練習

新年が明けてからの練習が始まりました。 そこでは滑り方にはとらわれず自由に自分のフィーリングを大切に滑ることだけを伝え後は自由の滑らせます。ああしろ、こうしろ、といった指示は一切せず。自分がどのに乗っていたらいいのか常にそのことだけを知覚することに集中し滑りは繰り返されていきます。我々が行うことは『今どんな感じだった?前回との比較は?』といった『問いかけ』だけで選手の体の中に起こる感覚の知覚を聞き出すだけなのです。すると気になっていた固さが何と無く取れてきているような感じが出てきました。選手に問いかけると『どこに載っていればうまく滑れるのか?』と言った感覚が分かってきた気がすると言い出したときヘッドは『そのままでいいよ』と一言のみ、今までの指導陣とは全く別で一切こちらの主観は伝えず選手たち知覚に任せたトレーニングを繰り返したところ 大きな変化が現れました。

本当に大切なのは『問いかけ』

なんと前半の成績が嘘の様に改善され新人にまでいい結果が出だしました。今までの状態はなんだったのか?確かに『教え過ぎです』そこには選手自身のことより無意識に指導陣の満足や安心がこの問題を引き起こしていました。おかげさまでこのシーズンは過去最高の成績にスタッフ全員が留任できることになりました。旧ユーゴスラビアはスキーの世界では強豪国です。しかしその様なレベルの国でもこの様な事が起こります。筆者はこの経験を肝に命じ、現在の仕事に役立てることを心がけていますが、ついついうまく行っていないときに弊社原田より『突っ込み過ぎですよ』と指摘を受けます。自分には意識はないのですが、、、やってしまっているのですね。

 人の気付きは『改善の第一歩』です。改善のために本当に大切なのは『方法論』ではなく 『適切な問いかけ』と最近過去の経験から感じる事が多い日々です。

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