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上司が依頼したことを忘れる理由は「あなたを信頼してるから」

昨日の記事を読んでいただいた皆さん、ありがとうございました。

今回は「部下がうまく上司を扱う(Manage upする)コツ」について。

上司から皆さんへ仕事の依頼やお願いがあると思いますが、そのとき上司側ではどんなことが起きているのか、その仕組みをご説明することで、皆さんにうまく上司を管理してほしいと思います。


まずは、上司は管理する(Manage upする)ものである、という前提をご理解いただくために、全宇宙の上司を代表して皆さんにお伝えしたいことがあります。

上司への期待値、高すぎ。


上司はスーパーマンでもないし、エスパーでもありません。記憶力抜群でもないし、常に調子がいいわけでもありません。皆さんと何ら変わりない、ただの人間です。


ですから、会議室から出てきた瞬間とか、コーヒーを取りに行った一瞬の隙を狙って、

あ、萩原さん。こないだの件、○○○で考えてるんですけど、いいですか?

と言われても、『えーっと、何だっけ?』となります。

ホントにこういう反応をすると、『おいおい、この仕事頼んだの、お前だろ』『なんで忘れてんだよ怒』という皆さんの心の声が、とてもよく聞こえてくるので、怖くてそんなことは口にはしません。

その代わり、こう言うんです。

その件、ちゃんと聞きたいから、別で時間取ってもらえる?



上司が依頼したことを忘れる理由は「あなたを信頼してるから」

誤解しないでください。そこに、まったく悪気はありません。

長期の仕事だとたまに本当に忘れていることもありますが、たいていのことは、ちょっと時間をもらえればもちろん思い出します。

あなたを信頼して、あなたに任せたから、忘れてOKと判断したから思い出すのに時間がかかるだけです。あなたを信頼していなければ、気になって、他の仕事が手につきません。

つまり、上司が依頼したことを忘れていたというのは、あなたを信頼している表れなのです。


仕事について上司と部下のマインドシェアはこうなっている

上司が皆さんに仕事を依頼するときの仕組みはこうなっています。

図1

上司は、あなたに仕事を依頼する前の段階で、いろいろ考えてます。

最近、こういう課題があるよな... 対処した方がいいかな、まだ大丈夫かな...

いや、やっぱり、この課題、早めに対処した方が良さそうだな...

対処するにしても、誰にやってもらおう... Aさんはあれで忙しいし、Bさんにはあれを頼んだところだし...

そもそも、どういう形で依頼しよう... 優先順位とか期限とか...

背景とか理由はどうやって説明しよう...


などなど。

上司の心の声

こんな感じで、依頼する前に、それなりの時間を割いているものなんです。

で、あれやこれや考えたり、あなたに依頼する準備をしたりと時間を割いたうえで、「ちょっといいかな」と声を掛けます。

ですから、その時点では上司の頭の中には、その仕事のことがかなりたくさん入っている状態です(図①)。まだ聞いたばかりですから、あなたにとってはまだマインドシェアが低い状態です。

では、あなたに仕事をお願いして、任せた後に何が起こるか。

あなたは、その仕事の優先度を高め、考えたり、人と話したり、作業したりします。時間が経つにつれ、その仕事の存在はあなたの中で大きくなっていきます(②)。

(再掲)

同時に、上司の頭の中では何が起こっているかというと、その仕事のことを考えなくなっていきます。なぜなら、あなたに任せたから。あなたがしっかりと進めてくれているから

こんな仕組みになっていますから、その仕事の話をした時の上司の反応が 0.5秒ほど鈍かったとしても、どうか『なんで忘れてんだよ怒』と思わないでください


報告や相談するときのコツと危険なパターン

上司が思い出すのを手伝う

依頼された仕事について途中で報告したり、相談したりするときは、こうやって切り出してみてください。

こないだ○○について質問されました/ 頼まれましたが、、、
(周辺情報の補足と、ある程度のがあるとなお良い)

ソースは私

キーワード、周辺情報、依頼したときの会話。こういったモノをいくつか出して、上司の脳ミソから当時の記憶を引っ張り出してください。

相談が早いとうまく進むが、遅れるとひっくり返されやすくなる

迷ったり、方向性が違うんじゃないかと感じたときは、早めに相談してください。上司の頭の中にその仕事のことが残っているうちは、「あぁ、俺もそれちょっと考えたんだけど、やっぱりそう思う?」と会話がうまく進みます

ところが、マインドシェアがすっかり減ってしまった後に相談されると、『んんん、そうなの?今さら言われても困るなぁ』となってしまい、あなたの話をうまく判断できず、「(よく覚えてないけど)いいから、進めてよ」という返事が返ってきやすくなります。

ここでの「いいから進めて」は、その内容でOKと言ってるワケではなく、あなたに任せたのだからあなたの判断で進めて、という意味です。

つまり、上司は正しい判断ができているわけではない、でも部下はOKをもらった気になりやすいという、とても危険な状態です。次回の報告の場で上司があらためてじっくり考えると、やっぱり違うんじゃないか、となったりします。あとでひっくり返る可能性が高いわけです。


上司からの依頼をうまくかわしる人はこうやっている

上司をうまく動かしたり、上司からの依頼やちょっとした問い合わせをうまくかわしている人は、たいてい無意識のうちにこういった動きをしているものです。

こないだ頼まれた○○について、こんな風に考えてみましたが(間)、このやり方だとここがマズいので、やり方をこっちに変えようと思います。

こないだ質問された○○について考えてみましたが(間)、こうなると思うので、優先順位はそこまで高くないと思います。

そして、こんな風にうまくプッシュバックできる(依頼を断れる)人のことを、上司は信頼していきます。なぜなら、この人はちゃんと仕事の優先順位を考えられる人だな、と感じるので。


上司をうまく使うのは、あなたの責任

上司から言われたことが絶対、なんてことはありえません。

なぜなら、上司はスーパーマンでもないし、エスパーでもないし、記憶力抜群でもないし、常に調子がいいわけでもありません。なにより先が見えているとは限りません。

自分がやるべき仕事がスムーズに進むように創意工夫することは、あなたの責任です。それは自分でやる作業や、やり方を工夫するだけに留まりません。上司をうまく管理して(Manage upして)、自分がやるべき仕事がスムーズに進むようにすることも含まれるんです。


なんなら、こんな風に上司をうまく使ってください。

こないだ頼まれた○○について考えてみたんですが(間)、萩原さんの方で○○をやってもらえませんか?そうすると、こっちも動きやすいんで。

こんな風に言われたら、たいていの上司はホイホイ言うこと聞きます。それでこの課題が解決するならお安い御用!という気分です。


上司は変えられないが、環境は変えられる

ウチの上司にこんなのは通用しない、そもそも依頼してくるときにそこまで考えてないよ、、という方。残念ですが、上司は管理できても、変えることはできないので、自分が活躍できる環境を探した方がいいかもしれませんね

世の中には、これが通用するどころか、むしろ上司の方から「管理してくれ」と言ってくるような職場環境もたくさんありますから。


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