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「知っている内容が7割」の本の方が学びになる説

最近、「短時間でポイントをわかりやすく伝える」必要に駆られる機会が多いので、久しぶりにプレゼンテーション・話し方系の本を手に取ってみました。

伊藤羊一さん(@youichi_itou)の『1分で話せ』

すでに50万部近く売れているようなので、読んだ方も多いと思います。

プレゼンのポイントは、とにかくメッセージをクリアにすることというのが、コンサル時代に叩き込まれたことで(逆に、プレゼンテクニック的なこと=身振り手振り、振る舞いなどはほとんど教わらなかった)、それについて深く理解するには、

バーバラ・ミントの『考える技術・書く技術』

が完璧に網羅していると思っている派ですので、他の本を読む必要性を感じなかったのです。


とは言え、最近は文字通り「1分で話す」場面が増えてきたので、ちょっと読んでみようかなと軽い気持ちでポチったのですが、想像以上の良書でした。


ゴールは相手の行動
「理解してもらう」はゴールにならない

考えるとは結論を導き出すこと
事実やデータは結論ではない

1章~2章で、このようなプレゼンの本質がわかりやすく説明されていて、とても好感が持てました(何目線?)。

また、

人はあなたの話の80%は聞いていない

考えるつもりで悩むな

プロセスを話すな

通じないときは前提を揃えよ

このあたりも、意外と皆さんが見落としがち、陥りがちなポイントで、テクニックよりもはるかに大事なことだと思っていたので、とても同意することが多かったです(だから何目線?)。

難解なバーバラ・ミントを読まずとも、ほぼ同じ内容が、圧倒的に分かりやすく書いてあるので、「伝える」という観点では、『1分で話せ』をお勧めしてもいいかなと思いました。
一方で、ピラミッドストラクチャーについて触れられてはいるものの、「考えを深める技術」についてはそれほど詳しく説明されていないので、そもそもロジカルシンキング(伝える内容を考えること)が苦手という人は、この本だけ読んでも実践的ではないかもしれません。

私にとってはとても良い復習になると同時に、新たな学びもあり、久しぶりにスーッと頭に入ってくる読書体験でした。

ここでふと思ったのですが、知っている内容が7割くらいの本は、読みやすいからこそ、新しい知識である3割をしっかり学べるのかもしれません。
逆に、7割知らない内容の本は、読み進めることにエネルギーを消費してしまい、吸収するところまで、頭の余裕がない。だから無理に読んでも、頭に残らない。
同じような内容の本をいくつも読むのは無駄だと思っていたのですが、意外とそうでもないのかもしれませんね。
むしろ、こういう読み方をしていった方が、新しい知識が吸収しやすいのかもしれないとも思いました。特に、直近10年くらいで研究が急速に進んでいる分野については、それ知っていると思っても、あえて手を出してみることで、知識をアップデートしていくのが良さそうです。

オッさんになると、たいていのことは「かつてどこかで見聞きした」ことになり、「あぁ、それね、知ってる」と受け止めがちです。
そうではなく、以前と何が変わったのか、新たに明らかになったことは何か、今注目されているポイントは何か、という視点で見ていくのが大事なんだな、とあらためて実感しました。


『1分で話せ』は、ポイントはしっかり押さえてあるのに、とても読みやすく、比較的短時間で読めると思いますので、もしまだ読んだことがないなら、ぜひ一度読んでみることをお勧めします。
すでに読んだ方も、久しぶりに復習してみると良いのではないでしょうか。


②も出てるんですね


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