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エッセイ「近代能楽集/三島由紀夫著」(新潮文庫)を読んで ※全文掲載(拙書「たいよう十七」より)

 僕は、三島由紀夫の公威さんの大ファンなんです。好きな小説は沢山ありますが、その中でも、この「近代能楽集」を本当に気に入っています。何故ならば、ウィットに富んだ作品だからです。 僕は、丸山明宏さん(※美輪明宏さん)の舞台で知り、すぐに本を買い求めました。舞台も最高でした。また見たいです。

 この中でも、特に気に入っている所を紹介します。

・美女「あなたったら素直な女が好きなのね。ずいぶん古風でいらっしゃるのね。すこし抵抗のある女じゃなければ、おもしろくないでしょう。」(P23)

・次郎「新婚旅行なんてただの道具だめしじゃないか」(P26)

以上 「邯鄲」より

・岩吉「恋というものはそういうもんじゃない。おのれの醜さの鏡で相手を照らすもんだ。」(P63)

・マダム「奥さまはおっとりお育ちだから、きっと議論がおきらいなんですよ。」  戸山「でも人を苦しめるのは大好きですよ、奥さんは。」 マダム「美しい方にありがちな趣味ですわ。」 (P76)

・華子「(笑う)あたくしに祟ろうとしておいでだわ。不器用な男はいつでもこうなんだわ。」(P87)

以上「綾の鼓」より

・老婆「若い者はほんとに理屈が好きだ。」(P98)

・老婆「…昔、私の若かった時分、何かぽうーっとすることがなければ、自分が生きてると感じなかったもんだ。われを忘れているときだけ、生きてる気がしたんだ。…。」(P102)

・男A「容易に男になびかないから、うがった噂も立つ道理さ。」(P106)

以上「卒塔婆小町」より

・光「…。男の好奇心を利用した女が、どんな罰を受けるか、もうおわかりでしょう。」(P131)

以上「葵上」より

・清子「…。…もしかしたら私の愛があの人を追い立てたのかもしれない、もしかしたら。あの人はやさしい安楽な、公明正大な愛よりも、不安だの秘密だの恐怖だの、そういうもののほうが好きだったんだわ。…。」(P181)

以上「道成寺」より

いかがでしょうか?

参考図書:拙書「たいよう十七」


#読書の秋2020

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