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「恋みくじ」ロミジュリ第6章~

第6章:運命の過去へ

次第に光が強くなり、彼らの周りがかすかな霧に包まれていきました。そして、目の前に広がる景色は、彼らが知る現代の東京の風景とは異なるものでした。
それはまるで、時間が逆戻りしたかのような、中世の町並みが広がっていました。

樹里と瑛音、そして澪は驚きの表情を浮かべながら、その光景を見つめました。
彼らは前世の世界に戻ったのです。

「これが、我々の前世の…過去の世界だ」
澪が静かに語りました。

彼らは歩き出し、ジュリエットが暮らしたとされる場所へと向かっていきました。
樹里はそっと壁に手をあてる。
手に触れた石の壁から、前世の記憶が鮮明によみがえってくるのを感じました。愛と悲劇、そして絶望の物語が、彼女の心を揺さぶり涙が溢れてきました。

一方、樹里の隣で立ちすくんでいる瑛音はこの時代に来てすぐに気付いた事がある。
樹里と澪にも言えない。自分だけが
気付いたこと。
気付いたからには覚悟を決めなければいけないと自覚しながら泣いている樹里の横を手を繋ぎながら歩いている。

第7章: 新たな結末


やがて彼らは町の中心に辿り着きました。そこにはかつての城の跡地があり、壮大な姿を見せています。
彼らは城の廃墟の中を歩き、その壁にはかつての愛の誓いが残されているのを見つけました。

その時、瑛音が突然立ち止まり、樹里と澪を見つめました。
彼女の表情は静かで、しかし決然としていました。

「あのね。私はこの世界に残る。うん。残って過去を変える。」と瑛音が宣言しました。

樹里は驚きの表情で瑛音を見つめ、何故なのか問いただしました。
瑛音は樹里に真実を告げた。
この世界に戻ってきた瞬間に、自分の役割を思い出した。
瑛音と樹里は元々1人の女性。1人はそのままの時代を過ごし1人は運命を変える存在。
別の世界線となるので過去の運命を変えても、未来には何も影響を及ぼす事はないが
運命を変えた存在はその世界に取り残される。
そう。ジュリエットという存在となって。
イタリア語でジュリエットは「若さ」という意味になっているのもその能力が由来しているのかもしれない。

話を聞きながらも、懇願するように瑛音に寄り添い、彼女を失いたくないと伝えましたが、瑛音は自らの決断を許して欲しいと。

3人は互いを見つめ、新たな誓いを交わしました。
樹里は瑛音の決意に敬意を表し、彼女の決断を受け入れることを決心しました。
そして澪も2人の決意を称え、2人の愛情と勇気を静かに尊敬した。

樹里と澪は前世の世界を後にし、現代の東京へと帰っていきました。
瑛音の愛と勇気が前世の悲劇を変え、新たな結末を切り拓くことを願いながら。

エピローグ

瑛音はそこでロレンス神父に会いに行き、転生の秘薬を作ってもらう。
悲劇の物語が再び始まることに不安を感じながらも、彼女は前世での愛と絆を忘れることはありませんでした。
樹里との別れは彼女の心に深い穴を残しましたが、同時に遠い異世界に居ても彼女との日々から勇気を貰えることにも感謝しながら、、

彼女は無事ジュリエットとして再度生まれ変わり、穏やかな家族とまた、それを取り巻く人々との交流を深めていきました。


彼女は現代での記憶を持ちながらも、西洋文化その全てを受け入れ、美しく教養のある女性に成長していきました。

ある日、仮面舞踏会が開かれることになりました。瑛音は美しいドレスに身を包み、会場に降り立つと周囲から歓声を受ける
その夜、彼女はとても特別な出会いを経験しました。一人の男性が彼女の手を取り、優しく抱きしめました。

その男性の存在は、彼女に懐かしい感覚を呼び起こしました。

男性は瑛音に微笑みかけ、「あなた様のお名前は?」その言葉に、瑛音の心は温かな感情で満たされた。
彼女はこの男性に懐かしさを感じ、同時に新たなる愛情の芽生えを感じてしまった。
「私はエト…ジュリエット」

その瞬間、瑛音は樹里と澪への感謝と愛情が溢れてくることを感じ、彼女は彼らの幸せを願いながら、新たなる物語が始まることに胸を躍らせました。
(どうか2人も幸せに…)

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数年が経ち、樹里と澪は和やかな日々を過ごしていました。
樹里はパティシエになることを目指し、澪は喫茶店でバイトをしながら画家として日々努力をしていた。
前世の記憶と、あの時の異空間の記憶は彼らの心に深く刻まれていたが
あの時以来、前世の夢を見ることはなくなっていた。彼らは新たな未来を切り拓くために前に進んでいた。
いつしか互いを特別な存在と認識していた。

 ある日のこと、樹里は澪と公園を散歩していました。そこで、ふと目にした風景が彼女を前世の記憶へと連れ戻しました。
 樹里は若いカップルを見つけました。その二人は愛に溢れ、幸せそうに笑い合っていました。樹里は彼らの姿を見て、ふと瑛音を思い出しました。



その時、樹里の隣に澪が静かに立っていました。彼の目には温かな微笑みが宿っていました。


 二人は互いの手を取り合い、遠い過去の思い出を一瞬の間に振り返り
 二人の出会いが悲劇を乗り越えて一筋の希望が繋いだ運命だとしたら、互いを大切にしたいと想うように…。
 樹里と澪は手を繋ぎ歩いていく。


 彼女達の物語は新たな節を刻み始め、この世界では悲劇の物語として。
そして別の世界線では真実の愛の物語として、永遠に語り継がれることとなった。

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