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「恋みくじ」ロミジュリ 5章

第5章:過去からの伝言

澪は、ある日、ロミオ名義のSNSにとある男性からの個人メッセージを受け取りました。

少し疑わしく思っていた澪だったが
呼び出された場所に行くと、そこはもう使われていないとある教会で、薄暗い場所にロレンス神父の子孫と名乗る男性がいた。
ロレンスは神父でもあり、科学者でもあり預言者でもあったという。
今日この日、ロミオと名乗る日本人の水彩画家に600年以上にわたって受け継がれてきた過去に戻るための秘薬を渡すように言われていた。



男性は、この秘薬を澪に託し、彼らが前世の運命に立ち向かうための力として使うようにと伝えました。
澪は男性から、いや遠い過去のロレンス神父から秘薬を受け取り、樹里と瑛音を呼び出しそのことを告げました。
突然の出来事に戸惑う2人ではあったが
ここまで奇跡が続くと信じざるを得なくなり
警戒はしながらも男性の言葉を聞く。

遠い過去、ロレンスは自分のミスによって結果的に2人の若者の未来を奪うことになり、後悔に苛まれていた。
そこから、時間の研究を重ね、過去に戻ることは現段階では不可能であるが
未来視は可能となり、樹里と瑛音、澪を見つけた。
彼、彼女達に過去を託すと。

3人は男性に促され
教会の奥に進み、壁には古い絵画が掛かり、部屋全体には前世の記憶を呼び起こすような雰囲気が漂っていました。

「ここが、前世の世界への入り口だ」と男性が静かに言いました。
光の扉のような場所では、色んな時代の人々が通り抜けていく。
不思議な感覚を持ち、その様子には何故か希望が溢れているように感じられた。

喧騒の中、樹里は瑛音と手を取り合い、緊張と興奮が胸を満たしていました。
男性は3人を見ながら続けた。
「正直君たちと対面する迄、祖先を疑っていた。私の先祖たちは時代を受け継ぎながら、このある意味異空間潜入システムを構築していた。1つだけ。過去に戻り何かをしてもこちらの世界には何も干渉しないのは実証済みだ。なので君たちが過去を変えても変えなくてもコチラの世界での物語は何も変わらない。それでも君たちには是非見てきて貰いたい。」
そう言って、何か役割を終えた様に微笑む男性。
3人は前世の運命を超え、新たな結末を迎えることを願っていました。

「準備はいい?」澪が尋ねると、
樹里と瑛音は頷きました。

彼らは一緒に手をつなぎ、「秘薬」と呼ばれる薬を躊躇いながらも飲み、不思議な光の中へと歩みを進める。
その光の中には、新たな可能性が待っているような気がした。
そして、彼らの愛と絆が前世の運命を眼に焼き付けることができると信じて。

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