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忘れてたもの。

僕は書くことが好きです。
でもそういえば、もうひとつ好きなことがあったなぁと思い出して。

少し前に部屋の大片付けをしていた時に、これはもう使わないかな、でも捨てられないなあ…と思って、処分しなかったものがありました。
僕にしては珍しく、昔からいろいろとため込んでいたものを、思い切って処分しまくった大掃除だったのです。でもそれは、それでもやっぱり捨てられなかった。
水彩色鉛筆と、透明水彩セットなるものです。

そうはいっても、後者なんて使ったこともない。
箱には「固形透明水彩」と書いてあって、水を含ませたペンで溶かして色を塗れる絵の具、みたいな…。
百円ショップで買った安いそういうので遊んでいたら楽しくなって、ちょっとガチめのを買ったことがあったのでした。
使ったこともないくせに、そういうものをいろいろ処分していたというのに、結局、手放せなかったのです。

思い返せば、僕は「書く」こととはまた別に、「描く」こともすごく好きだった。
原稿用紙を渡されたら延々と好きなだけ書き続けた小学生低学年の頃。
画用紙とクレヨンがあれば延々とおえかきしていたという幼稚園児の頃。

情熱を注いだ量は「書く」ことの方が多いかもしれない。
物語も書くし、日記も書く。好きなものへの想いをひたすら書き綴るだけのブログも長年続けて来ています。
その傍らで、「らくがき」と言って真面目に技法を学ぶでもなく、そのくせペンタブは2代目まで購入したしお絵描きソフトも複数買って、何かを「描く」ことも続けていたのに。
「書く」ことへの情熱は認められるのに、「描く」ことへの情熱は、なんでだか「いやぁ所詮ただのらくがきだから…」みたいな感じで自分を誤魔化していた気がします。

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数ヶ月前、ある曲を聴いていたら頭の中にイメージが浮かんできて、アウトプットせずにいられなくなって、勢いのまま手元にあったコピー用紙に描いたやつ。
「完成させる」つもりは最初からなかった。でもとにかく、頭の中にあるものを、形にしたくて仕方なかったんですよねえ。
それだけでいいのかも知れないなあ。表現したいものはいろいろある。ただ僕が形にしたい。自分に納得できる形で表現したい。
誰かに評価される必要もない。ならば、背景を描いたりペン入れをしたり色を塗ったり、作品として「完成」させる必要性は、僕の「描く」という行為には必要ないのかも知れないなあ。

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こっちは昨日、やっぱり辛抱堪らなくなって描いてたやつ。
いやぁもう、デッサンとかもろくにやったことないし、後から見返したら「あああバランス悪いなぁ恥ずかしい」ってなるとは思うのだけど(´ワ`;)w
でも多分、「描くなら上手く描かなきゃ」「完成させなきゃ」みたいな気持ちがあったんだろうな、それがブレーキになってたんだろうなぁという気もするので…。
そのうち色鉛筆とかで塗ってみても楽しいのかな。そういうとこはデジタルのがやりやすい気もします。
でも、やっぱり紙にざかざか描くのが楽しいなぁ、とも感じている。

別に上手く描ける必要はないのだ。
もちろん上手に描けるに越したことはない。イメージ通りに描けるようになるには、技術を磨くのが一番の近道だろうという気もするし。
でも、思いついたまま、とりあえずただただ描いてみる。そういうのが、思えば昔から好きだった気がするなぁ…なんて、思っていたりする今しがたです。

ところで先程、情熱を注いできた量は「書く」ことの方が多いとか言って、僕の「描く」ことの技術についてつらつら語ってみたのですが。
むしろ「書く」ことを学んだことって、ほぼない気がする。
強いて言うなら義務教育での国語の授業くらい…? そして文章書きにあるまじき僕の読書率の低さ。まじかっていうくらい読書しないんですよねえ。
その割に、「書く」技術についてはそれなりに自信があるのです。

たとえば物語を書く時ならば、自分が読んだ時に面白いと感じるか。
書き手の自分に見えている「キャラクターが感じているもの」を、いかに生々しく描写できているか。
その辺りは拘って拘って書き続けてきた気がします。そこは妥協しなかった。愚直に向き合い続けてきた。

で、そうして書いた物語を読んでみると、面白いんですよねえ。
そして有難いことに、それをネット上で公開することで、見知らぬ多くの方に評価して頂けてきた。
それらを受け取ろうと努力してみて、受け取れるようになっていった。
「書く」技術についてそれなりに自信があるのは、この辺りかも知れません。強いて言うなら語彙と表現力が自分でも物足りない。でも、それこそ読書すればまた補強できるとこなんじゃないかなあ。
こんなこと書いてたら久しぶりに「読みたい」と思って注文できた本が届いたと通知が来ましたので、これ投稿したら取って来ます。

ここまでつらつらと書いて、改めて思うこと。
「書く」ことに関しては、特に物語という形だと、面白さや完成度の高さを求めている自分がいて、自分で納得できるクォリティのものを既に書けていて、それが楽しいと感じてる。もっと技術も磨いていきたい。
でも「描く」ことに関しては、自分が自分に求めてるのはまた別のものなんだろうなあ。
頭に浮かんだイメージをざかざかと描くのが楽しい。できれば紙に描きたいのかな。
完成度の高さを求めている部分は間違いなくある。でもそれはきっと、技術的なことよりも、「自分が表現したいものを表せているかどうか」という方なんだろうなあ。
というか、「書く」方で自分に求めてる「完成度の高さ」も、結局のところそこなのではなかろーか?w

「描く」のが好きという表現をすると、自分の中でハードルが上がっちゃう気がするな。
「おえかきするのが好き」と言う方が、僕の本音に近いのかも知れません。

鉛筆や絵の具と一緒に置き去りにして、でもやっぱり手放せてなかった、僕が忘れてた大切なものの話でした。

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