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”深海の呪文”



”深海の呪文”



渇いた唇

右手の小指でそっとなぞり

誰も知らない呪文のせる


孤独は透かし

深海魚にし

闇へ沈む


海よりあげれば

押されつぶされ歪む魚よ


孤独は透かし

深海魚にし

闇へ沈む


痛みも悲しみもぺっちゃんこ

冷たく透ける身のすみずみの

シナプスだけが全てだって

うそぶいて

うそぶいて

うそぶいて


潜在意識の底に静かに横たわる

深海魚の髭の鐘は

こゝろの震えを予知し

震度計の針もとらえぬ余震を察す


深海魚の音なきサイレン鳴り響くとき

子守唄のしとねに包まれていよう


そう

いつかの

そう

何処かの

そう

誰かの


さゞなみ寄せる子守唄


眠りにつけなくっても

子守唄にくるまってれば



二つの鬼影小躍りす

仲直りのしるしにと


ひょろり

ひょろりこ

ぴーひょろろ


赤と青の笛の音で

目覚めの そのとき 知らされるまで






2015/09/13記

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