見出し画像

Listening力が飛躍的にアップしたStepシャドーイング


第二言語学習習得理論

英語の情報はたくさんあるけれど、いったい自分にはどの方法があっているの?効率的に英語を習得したいという方は多いと思います。
そんな方に、第二言語習得理論(Second Language Acquisition: SLA)を用いて、「シャドウイング」の適切な方法を用いて、英語学習を最適化するのが3ステップシャドウイングです。

まず、第二言語習得理論とは、どんなものかご紹介します。
第二言語習得論は、主に大人が外国語を身につけるプロセスを研究したものです。
R.Ellisによれば、第二言語習得の枠組みは下の図のようになります。


第二言語学習習得理論


図のように、「インプット→インテイク→アウトプット→インプット・・・」というサイクルで外国語習得が進みます。

インプット
リスニングやリーディングを通じ、外国語に触れることです。当たり前ですが、インプットがなければ外国語を身につけることはできません。また、これまでの第二言語習得論の研究結果から、インプットが重要だということは強調されています。

インテイク
インプットした外国語を知識として蓄えるプロセスです。外国語のインプットは重要ですが、単に聞き流せばよいわけではありません。なぜなら、「わからないことを、いくら聞いてもわからない」からです。「理解可能なインプット」を通じ、知識として蓄えることが必要です。一時期、「聞き流し英語」というものが流行りましたが、「聞き流し」ではこのインテイクがないため、なかなか定着せず、次のアウトプットにつながりません。

アウトプット
スピーキングやライティングを通じ、外国語を使うプロセスです。外国語習得には「インプットが重要」ですが、インプットのみでは第二言語を習得できません。なぜなら、「アウトプットも重要」だからです。
アウトプットが重要な理由は、「良質なインプットをするため」です。つまり、実際に自分で話したり書いたりすると、「ここはこの表現でよかったのかな?」、「こういうとき、どのような単語を使えばよいのだろう?」と気づきが生まれます。この気づきが、質の高いインプットにつながります。

これらの「インプット」と「アウトプット」を適切にやっていくのが効率のよい言語習得です。

日本に住んでいると、「インプット」と「アウトプット」の距離が遠いと感じたことはないでしょうか?
どういうことかというと、せっかく頑張って「インプット」をしても、それを「アウトプット」する機会に恵まれない、たとえアウトプットする機会があったとしても、必ずしも「インプット」したものをすぐに使えるわけではない、ということです。

この「インプット」と「アウトプット」の距離をなるべく短くして、実践で「アウトプット」する場面に備える、つまりいつでもレースに出られるように「ランニング」をしておくというのが「シャドーイング」です。

シャドーイングとは

「シャドーイング」とは「聞いた音声の内容を、聞いた通りに発音する」勉強法です。
影(シャドー)のように、音声を追いかけるのでシャドーイングと呼ばれます。

シャドーイングは、もともと同時通訳者のためのトレーニングでしたが、英語力アップの効果が明らかになってきっため、多くの英語学習者に知られるようになりました。

シャドーイングには、以下の4つの効果があります。
1. リスニングスキルの向上~音声知覚の自動化~
2. 文法や定型表現が定着~無意識に使えるように~
3. 発音が改善する
4. 英語のリズムやイントネーションが身につく

リスニングスキルの向上~音声知覚の自動化~
シャドーイングは実際に英語の音声を自分で発声するため、英語の音に敏感になります。このプロセスを繰り返すことで、次第にネイティブの英語の音声を聞き取れるようになります。

個人差はありますが、2ヵ月くらい続けると効果が目に見えるようになります。

文法や定型表現が定着~無意識に使えるように~
何度も繰り返し口にするため、文法や表現が自然と身につきます。スポーツの練習をイメージしてみてください。繰り返しバットを素振りするうちに、自然とフォームが身につくのと似ています。
ですので、シャドーイングの教材には、あなたが英語を必要とするシーンの教材を使うのが効果的です。

発音が改善する
正しい英語の発音の音声をモノマネするため、シャドーイングによりに発音が改善されます。
シャドーイングをするときのポイントは、「教材の話し手になり切って、モノマネをする」という点です。
さらに効果的なのは、シャドーイングをする際に、自分の声を録音して、教材の音声と聞き比べることです。どこを正しく発音できていないか自覚すると、発音の改善効果が高まります。(私のコーチングではシャドーイングの添削も行っています。)

英語のリズムやイントネーションが身につく
英語は、発音よりもリズムやイントネーションが重要です。なぜなら、日本語と違い英語は音の強さ・弱さ、速さ・遅さ、高さ・低さなどを調整して話し手の意図を伝えるからです。

日本人にとって、英語のリズムやイントネーションを習得するのは簡単ではありません。しかし、シャドーイングを繰り返すことで、リズムやイントネーションが身につきます。

リスニングスキルの向上~音声知覚の自動化~について、具体的な例で、確認してみましょう。


ライト

この2つの単語は、カタカナで書くといずれも「ライト」です。
日本語では音の違いはありませんが、英語では

rait とlait のように区別して発音をします。
r とl の音の仕組みがわかっていれば、それだけでListeningができます。


ラナウェイ

「ラナウェイ」と聴こえます。
これも音の仕組みがわかっていれば、Run away.だということがわかります。

意味は「逃げろ!」です(意味理解)

これもシャドウングを練習することによって、
「ラナウェイ」→「run away」→「逃げろ」
ということを瞬時に処理できるようになります。
これが
文法や定型表現が定着~無意識に使えるように~
発音が改善する
英語のリズムやイントネーションが身につくということです。

会話のための3つのステップ

ここで、外国語を発話する3つのステップについて考えてみます。

私たちが、外国語(英語)を話す際、脳内でどのようなことが起きているかを説明していきます。

まず、日本語で考えてみましょう。
例えば、眠いときに「眠い」という概念、思いがまず浮かんできます。

2つ目に、その概念をメッセージにする必要があります。
「眠くなった」「そろそろ寝たい」と言語化する必要があるのですね。

そして、3番目に私たちはメッセージを「音」にして発話します。
先程の例であれば、次のように言うことができます。


会話のための3ステップ

これは、母語である日本語なので、これらのプロセスを無意識に、ほぼ同時進行で行っているわけです。

これを英語で話そうとすると、私たちにとっては外国語なので、3つのプロセスのうち、どこかの段階で詰まってしまうと発話が遅くなったり、あるいは止まってしまうのです。

言い換えると、私たちが外国語の発話能力を向上させたいならば、これらの3つのプロセスをスムーズにできるようにしようということになります。

まとめますと、Listeningは、音声知覚、内容知覚、Speakingは、概念化、メッセージ化、音声化のプロセスを経ることがわかりました。

これらをコンパクトにまとめて練習できるのがシャドーイングです。

シャドーイング効果をデータで読み取る
シャドーイングは、英語の音声を聴きながら、それをワンテンポ遅れで復唱するトレーニングです。

音声を聴く際、Listeningに必要な音声知覚と内容知覚が向上します。また、復唱によって、用意されたメッセージを音にする能力の向上がはかれるのです。そして、音声が流れている最中、前の音声を復唱するのっで、英語を記憶する力も上がってきています。

シャドーイング効果をデータで読み取る

シャド―イングの効果を少しデータで紹介していきたいと思います。


シャドーイング効果1


シャドーイング効果2

TOEICのスコアアップを狙うのならば、TOEIC教材でシャドーイングを行うとよいと思います。
特にこの分野というものがない場合は、私はTOEICをお勧めしています。
TOEICは、ネイティヴがノンネイティヴが英語を活用するために必要な要素は何かということを必死に考えてくれている問題です。ですから、実践的な英語が多く使われていますし、TOEICのスコアは今はいろいろな場面で求められています。いざ、スコアを提出というときのためにもTOEICの明るめのビジネスの世界に慣れておいた方がよいと思います。

ここまでお読みいただいて、シャドーイングが理論的にも実証的にも英語学習を最適化する
ということをお判りいただけたかと思います。

シャドーイングは、効果的な学習方法ですが、正しいやり方をする必要があります。自己流の、コンフォートゾーンを抜けきらないやり方でやっていては効果が出ないからです。

それでは、シャドーングを正しく行うための3ステップをご紹介していきます。

ここから先は

5,871字 / 4画像

¥ 500

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?