ヤンデルカラー現象と呼ばれる諸現象について
病めば病むほどSNSへの投稿が増える。この現象を誰が言い始めたのかヤンデルカラー現象というふうに言うそうだ。ヤンデルカラー効果という呼び名もあるが今回はより一般的になっている現象という呼び方を使用する。
この言葉は「病んでいる」+「〜だから(理由)」という言葉を足したものだとされていて、詳細な初出は不明であるが2022年6月頃5ちゃんねる掲示板で多く使われるようになったことが確認されている。
ヤンデルカラー現象という語句が入ったスレッドタイトルを持つスレッドは6月時点で22件存在し、8月には100件を超えるスレッド数となっている。名前をつけられて共感が多く寄せられ定着する、この流れは1985年2月発刊の「本の雑誌 40号」に寄せられた体験談を発端として広まった青木まりこ現象を思い起こさせる。名付け、認知、共感の順で広まった言葉は最近であれば親ガチャや蛙化現象などがあげられる。これは民俗学の話になるが妖怪が認知される際も名付けられないことには何も始まらず、それが物語りとなることで一気に広まると民俗学の創始者、柳田國男氏の『故郷七十年』で語られている。
さてこのヤンデルカラー現象、心理学の観点から見るとフロイトのとなえる防衛機制(自分が傷つかないようにする心の働き)の逃避、もしくは置き換えに当たる。
逃避は現実逃避をすることである。他のことに目を向け問題から距離を置こうとする心の働きがこれに当たる。
置き換えは代償と昇華の二つに分けられる。代償は別の物事を満足する形に収めることで本来の物事での不満を埋めること。昇華は社会的価値のあるなにかに熱中したり情熱を向けることで不満を埋める方法。病んでいる時にSNSに投稿をするだけでは承認欲求は満たせても社会的価値のある活動には繋がりにくいため置き換えの中でも代償で不満を埋める方がヤンデルカラー現象では多い。
これは私見であるが、この二種の防衛機制の完全にどちらか一方であることはないだろう。
またヤンデルカラー現象にはSNSという場に考えていることをアウトプットすることにより気持ちの整理をつけることが出来るという側面もある。アウトプットによる自己客観視によって落とし所を見つける。これは合理化と呼ばれる心の働きを促しているのである。
合理化とは最もらしい理由を見つけて納得するという心の働きでこれによって心の傷を最小限に抑えようとしているのだ。
さてここまで、ヤンデルカラー現象の言葉とその心理について考えた。人である限り傷つき、誰かに縋りたくなる日も少なくはないだろう。
話は変わるがヴェルツバーグ大学によればポジティブであるかネガティブであるかはセロトニントランスポーター遺伝子の型によって決まるという研究結果がでている。SS、SL、LLという三種の型があり欧米人に多いのがLL、これはポジティブな人に多いとされその逆がSS、これはネガティブな人に多いとされ日本人はSS型であることが多いそうだ。
民族的にネガティブ思考が根付いているのだから精神的苦痛に感じる事象も欧米人より多いだろう。だからこそ、溜まってしまった膿を吐き出してしまえる場所がどこかに必要なのだろう。
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