韓非子 外儲説左下 第三十三上

韓非子 外儲説左下 第三十三上

吉成学人(よしなりがくじん)
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韓非子によれば、法を執行するときは公平でなければならないそうです。
罪に応じて罰を与えれば、だれも上を恨むことはないそうです。
その一例で、孔子の弟子が出てくる説話を紹介しています。

孔子が衛の国で宰相を行なっていたとき、弟子の一人である子皐が裁判官となり、ある人を脚切りの刑にします。
脚切りの刑を受けた人は都の門番をしていました。あるとき、衛の君に「孔子が反乱を起こそうとしている」と讒言する人が出て、孔子とその一門が逮捕されそうになります。
孔子と弟子たちは逃走しますが、子皐は逃げ遅れます。
しかし、脚切りの刑を受けた人にかくまわれ、追手を巻きます。
夜中になり、子皐は尋ねます。
「自分は主君の命で、お前を脚切りの刑にした。今は復讐をするまたとない機会なのに、なぜ私を助けるのか」。
脚切りの刑を受けた人は答えます。
「私が脚切りの刑を受けたのは、自分の罪によるものだから、仕方がありません。しかし、あなたさまは裁判のとき、法令をあれこれ吟味したり、言葉をはさんで私を助けようとし、罪を免れるように心遣いをしてくれました。裁判が終わり刑が確定したあと、悲しそうな顔していました。私にもわかりました。私に特別目をかけてくださったわけではなく、生まれつきの温かい心からそうなさったのでしょう。これこそ、私があなたさまに満足し、恩を感じたことです」。
孔子によれば、「すぐれた官吏は恩徳を植え付けるが、適確ではない者は恨みごとを植え付ける。升掻とは升に盛った穀物を平らにならすが、官吏は法令の実施を公平にする。国を治める者は公平を失ってはならない」。

最近、熱いですね。