図書館は紙のAI(キイナの入力、フィリップの検索)

図書館で、こんなことができたらいいな〜というビジョンが、いくつかあるがテレビドラマの中でそんなビジョンに近いシーンがでてくると、とてもうれしくなる。これもまた、図書館は紙のAIづくりのひとつの妄想の蓄積だったりする。

キイナの入力(読書術)

 テレビドラマ「キイナ〜不可能犯罪捜査官〜」という番組があった。丸山のお気に入り女優ベスト3の一人である菅野美穂さん主演。サヴァン症候群をご存知の方もいると思うが、瞬間的に記憶する能力を持ち、犯罪捜査時大量の文献を読む(他人からは単にページを規則的にめくっている姿にしかみえないが、本人的には全てのページを記憶している)。サヴァン症候群は一種の発達障害・知的障害として捉えられているようだが、驚愕すべき能力だ。日本のドラマでは中居正広さんが出演した「ATARU」に登場するアタル/チョコザイも同様の能力を持っている。凡人にはなかなかたどり着けない境地ではあるが、訓練すればある程度の力を身につけることも不可能ではないらしい。ある程度の訓練が必要だが、速読術フォトリーディングなどというものもある。

 私たちが学校教育の中でどうしても「熟読」を要求されることが多いが、本をたくさん読む人にとっては「スキャニング(斜め読み)」と「スキミング(キーワードを拾い読み)」と言われている方法がある。これは誰でもできることなので、意識しながら「いまはスキャニングしているな」「いまはスキミングしているな」「ここは熟読だな」という読み方をしてみるとよいかもしれない。またもう一つの読み方として「デッサンや彫刻のように本を読む」という方法もある(もしもどなたかこれに呼名があることをご存知でしたら、教えてください)。デッサンはまず大まかな全体像を描き、そこから徐々に細部を描いていく全体を見ては細部を、細部を描いては全体を確認する。彫刻もほぼそんな感じ。読書もまた一回の通し読みではなく、まずはざっくり全体のページをめくり、徐々に気になったところを集中して読むなど、読み方を変えながら何回もページをめくる読み方。時間がなければとにかくまず全ページをめくってみる。次に気になった章を読んでみるそれもざっと、時間があれば部分部分を集中して読む…とか。

 でここまでが今できること。「図書館は紙のAI」を目指す中で、これをどうやるか…ということでいえば、図書館で購入した本はすべて「図書館が読む」のだ。スキャニング、デジタル化…まぁ、いろいろあるかもしれないが「図書館が入手し所蔵している本はすべて読む=デジタル化する」どこが紙のAIだと言われそうだが、本という紙資料があればこそできることであり、さらにいえば、これまでの数百年という紙の本の蓄積を死蔵で終わらせず、貴重な古い物として終わらせず、今を生きる私たちの日々の暮らしや仕事に活かす資料として活用するためにも、未来の図書館においては「入手した資料はまずは図書館が全部読む」ということを考えていきたい。

フィリップの検索

 「アーカイブ」という言葉が子供向けのテレビドラマに登場したのは、「ウルトラマンメビウス」(2006年)と「仮面ライダーW(ダブル)」(2009年)だ。メビウスの中では過去にウルトラマンと戦った怪獣が記録され、それぞれのアーカイブから出現した怪獣を端末で照合するという作業が描かれている。それとは全く違うビジョンで描かれているのが仮面ライダーWだ。主題歌『W-B-X ~W-Boiled Extreme~』にも「検索する無限のアーカイブ」という言葉が登場するほどだ。仮面ライダーWは二人の主人公によって一人の仮面ライダーに変身するが、その生身の人間 左翔太郎の相棒のフィリップ(菅田将暉さん)が記憶の中から検索するシーンがなかなかいい。

検索するたびに、情報がどんどん絞り込まれていく。物語の設定にある「地球の本棚(ほしのほんだな)」から「本」を検索している。物語全体が、地球の記憶(ガイアメモリ)とか、秘密結社「ミュージアム」とか、なかなか興味深い。
 図書館で、いきなりフィリップのようなことはできないが、ある意味でVR技術を用いた「仮想空間図書館」を構築すれば、視覚的なイメージとしては不可能ではない。

 またこうして、ドラマや映画の中に登場する「図書館は紙のAI」をイメージしやすいビジュアルを紹介していこうと思っています。

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だいたい、山中湖畔の図書館にいます。 『図書館は紙のAI』連載開始。 フォローしてね!
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