実はみんな大好き空気のような人とガンダムの関係

 よく身近な人のことを空気のような存在と表現することがありますね。「うちの奥さんは空気みたいなものだから」などと言ってるおじさんを見ると、そうかそうか、このおじさんにとって奥さんは空気のように大切な存在なのだなと、微笑ましく生暖かい目でみてしまうのは私だけではないでしょう。

 そう!空気って大事なのです!空気が無ければ呼吸ができない。そして、空気が無ければ冷却ができないのです!車に使用されている水冷エンジンだって、最終的には冷却水を空冷しているのです!

 ところで空気が無いといえば宇宙です。宇宙といえばガンダム。
 ガンダムは最近も新しい映画が上映されました。CGなのか、作画技術が進歩してとても綺麗な映像作品となっていますね。予告編しか見てないけど。

 そのガンダムの舞台である宇宙ですが、私たちが暮らす地上と何が違うのでしょう?真空技術屋として気になったので少々考察してみたいと思います。

 まずは重力の有無。無重力では地上より真円に近い加工ができるそうです。因みに国際宇宙ステーションがある高度400kmは、まだ地球の重力圏内だそうで、軌道を回る遠心力と釣り合って疑似的な無重力状態になっているそうです。

 次に異なるのは空気の有無。これはガンダム作品に出てくるモビルスーツと呼ばれるロボットの設計思想に大きな影響を与えている、という見方ができます。まず主人公側のガンダムですが、胸部に排気口があります。これは主人公側が地球側に所属しており、ガンダムも地球または大気のあるところで開発されたことを示しているといえます。つまりガンダムは大気(空気)による冷却が取り入れられているということです。しかし兵器なのですから破片などが飛び交う現場に赴くことは多々あるはずです。そしてこの破片が機器に損傷を与えてしまったら、と考えると出来るだけ開口部は減らすべきです。にも拘わらず、ガンダムは胸部に排気口がある。それだけ熱を発する機器が内部にあるはずで、このガンダムが宇宙へ行ったら冷却はどうなっているのか、少々疑問です。

 対する相手側のザクには排気口はありません。これは大気による冷却は使用しておらず、別の冷却方法を使用していることを示しています。開発が空気のない場所、宇宙空間で行われたということが想像できます。ただパイプ?のような物が外に飛び出しているのは冷却のためだと動画かなにかで見たことがありますが、本当なら理に適っていません。

 空気が無いということは熱を渡す相手がいないということです。例えば普段意識せず使っている掃除機などのモータも真空中では使用できません。モータの内部はコイルと回転部などが入っています。電流を流すとコイルはジュール熱、回転部分は摩擦熱を生じます。空気中であればこれらの熱を空気に逃がすことができますが、真空中ではできません。真空中で使用するには専用に設計製作された真空モータを使わなければ、すぐに焼き付いて壊れてしまいます。ザクのパイプも外に出したところで真空中では冷却には何ら寄与しません。
 このように考えてみると、宇宙と地上の違いとして大気の有無も影響が大きいことは容易に想像できると思います。

 さて冒頭に戻って、あなたにとって空気のような存在を目の前に、または思い出してみてください。この駄文をここまで読んでしまったあなたには、その人がきっとモビルスーツに見えることでしょう。それが敵のモビルスーツに見えたなら、距離をとって冷却に努めましょう。地球上では、それが可能なのですから。

これはドラえもん

これはドラえもん

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