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相席食堂

メルマガ 2022・3・14

何かと話題の「相席食堂」という番組を初めて観た。
今更「テレビを観ないのがかっこいいのだ」なんて話はどうでもいいのだけど僕の周りにはテレビを観ない人達が多い。
久世や赤座なんかは「テレビそのもの」を持っていない。

一方おっくんやしみちゃんは変わらずにテレビと共に暮らしている。僕はその間で「時にはテレビもつける派」でテレビは捨てていない。

なのでヤングサンデーでは「知っている人や事件」の話で分断が起こる。

この前の放送ではおっくんが「ためしてガッテン」が終わってしまった・・・と騒いでいたのだけど、そもそもその番組を観ている人がいないので彼だけが「タイムスリップしてきた人」みたいに浮いていて面白い。

「テレビとネットのどちらが生き残るか?」という話題はずっとされてきたけど、どうも「テレビ観てる人」と「観てない人」が故郷が違う外国人カップルみたいに「双方の面白いもの」を情報交換している、みたいな感じに落ち着いているように見える。

テレビでは「ネットで話題のコレ!」とお約束の情報番組を流し、
ネットでは「お笑いグランプリ」などの話題で盛り上がる。


もちろん「テレビ」は利権で固まった「洗脳装置」でもあり「大本営の愚民化兵器」ではあるのだけど、嫌なら観なければいいだけだし「マシな放送」を選択する事も出来る。


【相席食堂】

そんなわけで僕の好きなミュージシャンが最近やたらと話題にする「相席食堂」という番組が気になってきたので観てみた。
この番組はサブスクで配信もされているので遡って観ることもできる。
MCの「千鳥」は知っていた。昔のM1で惜敗を続けつつ深夜バラエティーに合流していたのもなんとなく覚えている。
「東京(業界)の嫌な感じ」に染まっていない雰囲気がいいし、方言を使い続けているのもいい。

僕は「方言をそのまま使う人達」が好きなのだ。

それはともかく相席食堂は有名人が地方ロケに行って地元の人達と相席になってみる、という番組だ。

その出演者のセレクトが面白い。
なんとなく観た回には「IZAM」が出ていた。懐かしさに「すみれセプテンバーラブ」だ。一風堂まで思い出す。
大友康平や長州力やGLAYのヒサシも出ている。
おそらく「あの頃みんなが好きだった人達」の感じでセレクトしているのだろう。
今話題の人で固めるより「知ってる人」を挟んだほうが沢山の人が観てくれる、という実にテレビ的な戦略だ。

そしてその人達の多くが「なんかズレている感じ」を持っている。
昔のテレビのノリで地元の人に絡んでは滑った感じになるロケのVTRに千鳥の2人が絶妙なツッコミを入れる。


【入れ替わったボケ】
その昔「田舎者いじり」という芸が流行った。
萩本欽一さんなどが地方出身の「普通の人」の所作言動に細かくしつこくツッコミを入れるお笑いのパターンだ。

僕が子供の頃はこういう笑いが多かった。
欽ちゃんは宮城県気仙沼の女性の「普通の話し方」を笑いにした。
「出身は?」「気仙沼」というやりとりだけど、彼女がなまっているのでドカンと笑いが起こる。
この手の「田舎者いじり」は80年代を通じて続いた。
意味なく「牛」が舞台に出たりする。靴に土がついていると笑われる。
その背景には番組制作陣にいる上京組の「都会ものにならないとバカにされる」と怯えていた意識があったのだと思うけど、僕は好きになれなかった。

相席食堂になるとこれが入れ替わっているのが面白い。
有名タレントの多くが「あの頃の都会病(業界病)」にかかっているので、どこか浮いていて滑っているからだ。

有名人の多くが「悪い人」ではないのは伝わるのだけど、地方で「普通の暮らし」をしている人達のほうが「まとも」に見えるため(例外はあれど)ほとんどの有名人が「迷えるモンスター感」がある。

その「変になった有名人」にスタジオでツッコミを入れるのが「地方感」と「シラフ感」を持った千鳥の2人なのだ。

千鳥は「欽ちゃんの時代」では確実に「田舎者いじり」で笑われていたであろうタイプの芸人さんだ。

笑われる者は入れ替わり「有名人達」の多くが「あの頃の病」を笑われるようになった・・・なんて思った。


【BARがないと?】

この番組は観ていてハラハラするシーンも多い。
日本芸能界のアイコン的存在の「和田アキ子」さんが千葉県のいすみ市をロケする回での事。

美しい自然と都心へのアクセスとサーフスポットとして人気の「いすみ」は住みたくなるくらい魅力的に見える。
単線「いすみ鉄道」も実にいい感じだ。
和田さんはその電車に乗り、数人しかいないお客の1人に話しかける。
声をかけられた若者は20代の男性で「いすみ鉄道が好きで移住してきた」と言う。
その発言が理解できない和田さん。
「なんで?何もないのに?」「考えられない!」みたいな事を言って「いすみの魅力」を否定してくる(ように見える)
和田さんは「私はネオンがないとダメ」「スナックとかBARとかの文字が光ってないと」と言う。

双方に悪意はないと思うけどハラハラする。
和田さんの生きた「あの頃」は終わったのだろう。
移住組の若者はにこやかに「良いところですよ」みたいに言う。
田舎はすでに「恥ずべきところ」ではないのだ。


【錦鯉】

そんな番組にM1キングの「錦鯉」が出たという。
観ていないけど色々想像がつく。錦鯉の2人は「あの頃の東京(業界)」追いかけているうちに「宙に浮いたまま」になったアベンジャーズの1員みたいだ。

この話・・・芸人論として長くなるんで、いずれまた。


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