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転職の需要と供給

今回は最近友人と話してて出て来た話題から。

最近あるブルーカラーの仕事にまったく応募が無いのだそうです。給与条件もいいし、勤務地も大都市だし、その他の福利厚生や残業管理なんかもしっかりしていて、名前の知れた財閥の系列なのにダメなんだそうです。

今はどこでも人手不足の話は聞きますが、ここまでの話は久々に聞きました。これには2つの理由があるのではないかと思います。

知らない

まず、そういう職業があって、そういう待遇で人を募集しているということを知らない可能性があります。世の中には本当にたくさんの仕事があります。「13歳のハローワーク」という本が度々話題になりますが、その理由はやはり「こんな仕事あるとは知らなかった」という驚きは尽きることが無いということですね。新しい仕事が増えるということもあるでしょう。例えばUberEatsの様なフードデリバリーなんて数年前には飲食店の店員さんの出前以外にはありませんでした。

さらに、その職業がそんな好待遇で人員募集しているとは知らないということも有るでしょう。求人情報はハローワークもしくは転職斡旋企業に行かないと入手できません。最近はハローワークの情報はネットで検索できるようにはなっているようですが、常に最新というわけではありません。しかし検索できることもご存じない方は多いのではないでしょうか?ハローワークに行ったことが無いし、行くのも恥ずかしい、なんて方も居るかも知れません。転職斡旋企業が持っている求人案件は公開されていませんので、こちらは行って見ないと分かりません。

やりたい仕事ではない

自分がやりたい仕事はコレコレな方面なので、やりたいもの以外は拒否、というのも1つの理由だと思います。つまり、多くの人たちが先入観の有無は別にしても、人がやりたがらない仕事が、結果的に不人気で高収入になっている可能性があるということです。

また、昨今学生の間では「営業職はノルマとか厳しそうで嫌、ブルーワーカーよりも体がキツそうで嫌、異動も少なそうだし事務職がいい」という様な風潮が一部であります。実際は事務職はERPとかソフトウェアに取って代わられていたりするので枠が減っている上に、そうそう辞める人も居なくて全体のパイが少ないのですが、そうとは思わないのか事務職を希望する人は多いです。それと同じように、「なんだか体力的にキツそう」と思われているブルーカラーの職業が、福利厚生が整備されていても振り向いてもらえないという可能性もあります。

人気の職業は収入は高くなりにくい

事務職の現象をすこし厳しい言い方をすると、人気が高いということは、雇う側からすれば「替えが効く」ということです。募集すれば人は来ますからね。そうなると給与面の待遇はなかなか上がって行きません。その最たる例が、子供たちの憧れyoutuberで、今では参入者が多すぎて広告の単価が下がってしまい、収入が大幅減している話が最近よく出てきます。動画の撮影・編集の手間は変わらないわけですから、youtuberも低収入職業になるかもしれません。

人気があっても給与面がいいのは特殊な経験や資格、知識が必要な職業に限られます。例えば最近話題になったところの「データサイエンティスト」は、しっかりとした統計の知識があることや、統計ソフトウェアの使いこなし、実際にビッグデータを扱った経験があるかなどが求められるわけで、AI人気に伴ってイメージが先行する職業ですが、活躍するのは簡単ではなさそうです。

仕事に何を求めるか

何かしら仕事をしていなければ生活できないわけですが、今では価値観も多様化して、家族との時間を大事にしたいとか、お金はほどほどで良いとか、仕事に対するスタンスも人によりけりな時代になりました。当社は残業はかなり少ない方だと思いますが、それが気に入っている社員も居る一方で、残業したいという人も居て、そのバランスは難しく、企業が全ての従業員の働き方バランスの期待に応えるのは困難だなぁと改めて思うことも多々あります。
他方で仕事をなんでも減らせばいいのかというと、仕事で得られる刺激や様々なチャンス、自己肯定感などは他では得難いのもまた事実です。ですから、ひたすら減らしたいというスタンスがまた正解なのかというとそれも難しい。(仕事がいやでいやで仕方がない人が居ることも承知しています)

結論を先に言ってしまうと、仕事(収入)とプライベートのバランスをどう取るにしても、もうちょっと幅広く調べてもよいのではないか、というのが今回のエントリの趣旨です。

今の立ち位置と行き先

転職理由は人によって様々です。新しいことにチャレンジしたい人もいるでしょうし、結婚や親の近くが良いなど家庭の事情の人もいます。残業が厳しいので身体を壊すなら転職しようという人もあり、収入を増やしたいので転職を志す人もあり、私が見聞きしたケースだけでも実に色々です。

転職斡旋企業でもハローワークでも、門を叩けば、「貴方は何が出来ますか?」「どんな業務を経験しましたか?」ということを聞かれます。それに従って、手持ちの求人情報と突き合わせ、コーディネーターが合いそうなものを勧めるわけです。この時、よいコーディネーターや相談員を引ければいいのですが、そうとは限りませんので、ここではちゃんとアピールすべきなのです。

例えば「経理をしていました」ではなく「請求書の会計士訳をして入力整理をして月ごとの支出会計を〆て、税務調査にも対応しました」とか、「新規開拓営業をしていました」ではなく「提案資料をつくって取引先企業のビジネスを拡大する形で取引先の紹介をお願いし、双方から感謝されるような営業活動をしていました」とか、自分の業務をきちんと客観的に理解して、相手に具体的に伝える必要があります。コーディネーターや相談員は、転職者の仕事を経験したことがあるわけではないからです。
そこを努力しないとどうなるかというと、彼らは求人企業に良く見えるように書類を作ったりアドバイスしたりするので「経理実務の一端を任されていました」とか「自発的に新規開拓営業をし、年間~件の実績をお持ちです」みたいなよく見る表現になるのです。(採用担当をやっていたので掃いて捨てる程この書類を見ました)
もっと詳しく書いてあれば「ああ、ちょっと違うけど探してるのはそのすぐあとの業務工程だから理解は早いかもしれないな」といった想像が企業側に容易なのです。きちんとアピールすることは採用されやすさに繋がりますから、大切なのです。「出来るって言ったのに出来ないのかよ」って後から言われるのが怖いかもしれませんが、その細かい部分は面接でキチンと確認すればよいのです。それが出来るだけでも企業側からは好印象です。まずは面接までこぎつけることが最優先です。

事程左様に、自分の仕事内容をキチンと理解しておくことはとても大切です。仕事は往々にして上司から与えられるものですが、それが企業活動の中でどんな位置を占めるのか、世間で言う所の何という業務なのか、近い業務にはどんなものがあって、自分が興味を持てる方向に行くにはどっち方面に行けばいいのか、など改めて考えておきましょう。転職が必要じゃなくても必ず生きてきます。

出来れば人のいない方に

転職を志すのであれ、今の仕事での進歩を考えるのであれ、やはりライバルは少ないに越したことはありません。Youtuberの下りでも触れましたが、参入しやすく派手なジャンルというのはあっという間に仕事の取り合いになるものです。当然人が居ない方へ行くのが正解になりますが「無くなっていく仕事なので人が居ない」というケースにだけは気をつけましょう。それ以外は「何がしか手間がかかるのでやる人が居ない」「専門知識が複雑なのでやる人が居ない」というケースが多いので、引く手あまたです。例えば私の場合、実は中途採用の状況確認の為に会社に隠れて転職サイトに登録したことがあります。その際に「労働組合との交渉や残業管理といった労働政策」という業務が刺さって何社からもオファーを貰いました。労働政策業務は面倒な交渉ごとの多い業務ですし、必要だけど沢山業務担当者が存在する仕事ではない為、引く手あまたになったんですね。「どうしてもこれがやりたい」という仕事が無いのであれば、こういう業務を選んでいくのは一つのやり方です。

面倒な仕事もしたくないし余りに多い専門知識も嫌

とはいえ、面倒な仕事をしたくないというのは分かります。また、担当者が少ない業務を探すのもそこまで簡単ではないのも事実です。ではその場合はどうすればいいか、私が勧めるのは「掛け算」です。法人営業のスキルや知識、とか溶接のスキルや知識といったもの単独ではなく、相性のよいものを掛け合わせるということです。「経理の仕事をしているがExcelの簡単なプログラムが組める」「電気技師をやっているけど、簡単な溶接作業も出来る」といった調子です。皆さん自身の仕事において、こういう人がいたらなあと思う人材を想像してみてください。こういう掛け算の形になりませんか?この場合は後からつける知識やスキルは基礎のレベルでもいいのです。掛け算の形の良さはそこにあります。

人手不足の時代はさらにチャンスが倍

現在人手不足の話を聞かない日はありません。当社でも採用したいけど出来ていないポジションがいくつかあります。こういう時代は少し見方を変えてみたり、努力してみるだけで、大きな果実が得られます。この人手不足はしばらく続くでしょうから、転職するしないにかかわらず(転職しなくても面白い業務につけて貰えたりするチャンスが増える)、チャレンジしてみるにこんないい時期は無いと思います。

10年前20年前あたりと比べても、転職は本当に一般的になりました。職場が変わるということは相応にストレスがあるので、抵抗感がある人も多いかと思いますが、合わなかったり失敗したらまたすればよいのです。逆に転職活動をしてみることで、今の職場の良さに気付くことも有るでしょう。それもまたプラスです。

検索してみたものの科学的な調査論文が見つからなかったのですが、どうやら「趣味でも健康管理でもなんでも、思いついて実際に行動に移す人の割合」は結構低い様です。半分どころではなくもっと低そうです。そこに先々を考えた業務やスキルを加えたら貴方の存在がどれだけ貴重かはかり知れません。

自社の社員に対しても常々思っていることですが、多くの人が自分の可能性の評価が低すぎです。もちろん怠惰なだけというケースもあるでしょうけども、やってみるだけでも全く新しい世界が広がったりするものです。というか、大半の人がやらないんだから、やるだけで評価爆上がりなんですよねホントは。

もうすこしで年も明けますし、転職して環境を良くしたいと思っている方、ホントに何かちょびっとだけチャレンジをしてみませんか?

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