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読み書きそろばん検索能力

リテラシー(literacy)とは何ぞや?

「読み書きそろばん」という言葉があります。最近ではあまり聞かなくなった言葉ですが、主に明治~戦後くらいに言われた言葉ではないかと思います。『「書いてあることを読んで理解」し、「自分の名前や考えたことを書いて表現」し「そろばん(算盤)を使って計算する」ことが生きて行く為には必要であるので身につけねばならない。』という趣旨で使われた言葉です。

この「読み書き能力」を英語でリテラシーと言いますが、現代ではこれが高じて「専門性があるものに対して理解し、表現する能力」という意味で使われるようになり(会計リテラシーとか科学リテラシーとか)、私は先述の日本での「読み書きそろばん」になぞらえて「生活する為に必要な能力」という意味も含めて「リテラシー」という言葉を使います。

生活に必要な能力は時代とともに変わる

当然のことですが、「生活する為に必要な能力」というやつは、時代や環境によって変わります。そろばんは今や必修より習い事として存在する傾向にあり、電卓ついでパソコン・スマホにとってかわられました。数年前にスマートスピーカーが発売された時には子供が宿題の計算ドリルの答えを聞くという笑い話もありましたw 「アレクサ、12×5は?」

私は「そろばん」に代わるものは「検索能力」だと思います。ただし、検索結果の目利きが出来るところまで含めての「検索能力」です。

総務省の平成30年情報通信白書によると、2017年時点での世帯ベースでのスマートフォンの普及率は75%、パソコンの普及率は72%だったそうです。個人ベースだともっと高くなりそうです。ネットと切り離した生活なんてあり得ない時代になりました。しかし、Googleを使うのであれ、Instagramを使うのであれ、Twitterを使うのであれ、検索することが前提になりますが、検索結果は往々にして検索語設定によって異なります。言葉の選び方、並べる順序によっても異なりますし、実は検索結果から特定の言葉を含むサイトを削除する方法などもあります。(例えば、「りんご -青りんご」と検索すると、りんごについて書かれたサイト群から青りんごに言及したサイトを除いた結果が表示されます)

そして検索結果には専門性の高いサイトから個人が妄想で書いたブログ、独自のお作法で冗談言い合ってる掲示板まで幅広く提示されます。その時自分の見たいサイトか判別しなければなりません。さもないと、しょーもない陰謀論の情報などに踊らされることになったり、不必要に傷つくこともあるかもしれません。

お手本が無かった時代から教える時代に

私は親の理解?もあって、90年代からインターネットの世界を覗いていました。光ケーブルはもちろんADSLもなく、電話線のモデムでピーガリガリーなんて音を聞かされてた時代です。その頃はGoogleも始まる前で、検索結果も少なかった頃です。今のルールも存在しておらず、ヘタなリンクをクリックしたらダイヤルQ2で請求が来るような、一歩先に危険がある謂わば中世時代でした。今に至るまでのネットの拡張を見てきたので、ネットの危険性は勿論検索用語の設定まで、割と肌感覚で培ってきた自負があります。(こういうこと言い出すと老害って言われるんだよなぁ)

ところが、今の子供たちは生まれた時からネットがあり、親はみなスマホを持っており、タッチすれば何か出てくる魔法の板に見えるはずです。見よう見まねで始めることは出来ても、何を見てるかは親や先生、友人にさえ知られたくないから、「行かない方がいいエリア(危険性)、近道(検索方法)」について聞いたりしません。最近では学校教育でインターネットも触る様ですが、教師に私みたいなインターネットをオヤツにして育った人も多くは無いだろうと思うので、教えるのも苦労されているのではないでしょうか。

検索の仕方で割と人生変わってしまう時代

しかし、検索リテラシーは子供たちに教えねばなりません。今やネットが便利すぎて「直接人に聞く」ということをしなくなってきました。例えば、何かの行政サービスを調べる時、市役所に行きますか?市役所のサイト見て判断しますよね?だから、出来るだけ正しい情報を引っ張り出せなければなりません。(本当は直接見聞きしたり原典にあたることはとても大切なのですが、それはまた別の機会に)

就職先を調べる時、何かあって社会保障を受けることになった時、子供が進学する時、などなど人生において重要なポイントで気軽に検索結果を参考にして判断することが往々にしてあります。その時に適切な情報に触れていないとその先の人生が変わってしまいます。検索を利用する気やすい気持ちに対して、その影響は何十万円何百万円なんて経済価値に換算されることはザラですが、あまり意識しない人が多いのではないかと思います。

欲しいと思った情報が載っているサイトを弾き出せるか、これは色んな語句の組み合わせや順番を変えると分かってきます。そしてその情報が「ホントかな?」と判断できるか、これは1つで判断せず、いくつものサイトを見ることである程度は見えてくると思います。この2点はとても重要です。親子でも職場でも是非話題にして頂きたいテーマだと思います。

私は製品開発会議でどこから引っ張て来たか良く分からないデータを、開発経緯の説得材料として出してこられると、端からなで斬りにして社員の恨みをかっています。笑

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